「セブンのスチールでオーダーをしたい。」
正直なところ、耳を疑った。
僕はこう答えた。 「今のあなたにそれは必要ですか?」と。
なぜなら、僕にこのリクエストをくれたのは、SimWorksで不定期連載中の RIDE IS LIKE HAIKU でもお馴染み、オームラトモクニ a.k.a. パイセンだったから。
このブログを読んで頂いている方はご存知かもしれないが、彼はすでにチタンのAxiomを乗り倒している男だ。
もちろん、彼は今所有しているバイクに満足している。 それでも彼をそうさせたのは、自転車に乗り始めた頃から慣れ親しんだ素材である 鉄 / スチール という素材への愛着。 そして原点回帰ともいうべきか。 いずれにせよ、過去に2台のフルオーダーバイクをセブンにお願いし、サイズ的な部分だけでなく、ライドの目的やスタイルなど、乗り手に合わせて作られるセブンのバイクの本質的な良さを身を以て体験している彼が、「セブンが作るスチールとは如何なものか?」 という好奇心があったことには違いない。
「セブンの考える、とにかく硬いスチールを作って欲しい。」 今回のオーダーに対する彼の目的はとても明確だった。
そもそもパイセンの言うことに対して、首を振るなんてもってのほかである。 こうして、Axiom Steelをオーダーしたのだった。
できるだけ硬く。 そして、その中でできるだけの軽さも。
セブンはそんな相反する二つの要素のバランスをうまく取り、一つの形にしてくれた。
あたかも当然のように自社内で行われるアウトバテット加工もさることながら、ちょうどタイミングよくリリースされたセブン新型のPureRoad Forkを用い、それに合わせてヘッドチューブは44mmHTを選択、また使用するチェーンリングの大きさに合わせてギリギリまでチェーンステーを太くし、ペダリングの力を余すことなく推進力へと伝えるためのしっかりとしたドライブ周りの仕上がりにはセブンの製造に対する執念と凄みを感じたのだった。
Frame | SEVEN CYCLES | Axiom Steel |
Fork | SEVEN CYCLES | PureRoad Fork |
HeadSet | CHRIS KING | Inset7 Matte Jet |
Main Group | SRAM | Ultegra R8000 |
BB | CHRIS KING | ThreadFit24 Matte Jet + ConversionKit #8 |
Tire | PIRELLI | P Zero Vero 700x25c |
Handle | SIMWORKS BY NITTO | Misirlou 410mm |
Saddle Bag | SILCA | Seat Roll Premio |
何事も、目的が明確であることはとても重要である。 自転車を探されている方がいらっしゃった時に、僕らはとにかくこう聞く。 「どんな使い方をしますか?」 「その自転車でどんなところを走りたいですか?」 別に事細かくなくて、漠然としていても良いので、みなさんがどんな目的をイメージしているかをお聞きしたい。
決してカスタムオーダーでなくてもそれはとても重要なこと。 だからぜひご相談にいらした際にはみなさんの目的を聞かせて欲しい。
そして、ハンドメイドフレームは、そんな目的のある特定の人のために作られるものだから、それはカタログに載っている完成車と呼ばれるモノとは違い、あなたの日々の暮らしに寄り添った唯一無二の自転車なのである。
早速ライドを終えたパイセン、想像以上の硬さを持ったバイクに、「硬いなぁ」という言葉をこぼしながらも、これから乗り込んで仲良くなっていくんだという笑みが溢れていたのが印象的だった。