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冬山シーズンイン!!八ヶ岳に登ってきました!

この時期はどうしても、登れる山やできることが天候によって大きく左右され、行く場所をぎりぎりまで決めることができなかったりします。また装備もどうしようかとても迷うのですが、今回は週末寒波が来て雪が付くことを期待して八ヶ岳の赤岳主稜というバリエーションルートに1泊2日で登ることになりました。赤岳主稜は、八ヶ岳冬期バリエーションの中でも入門ルートのため特に気負いせずに挑んだのですが、降ったばかりのサラサラの粉雪とルートの間違いによりなかなかの痺れる登攀になりました。

DAY1

金曜の夜に名古屋を出発をし美濃戸口で3時間程の仮眠をとり5時起床。冬山ってぬくぬくとしたシュラフからでる瞬間が本当につらい、しぶしぶシュラフから出て準備を始めます。すると外からざーという音が。外を見るとしっかりと雨が降っていて雨対策をしてこなかった我々は朝から一気にテンションが下がったのですが、次第にその雨があられと変わりホッとしました。6時頃に美濃戸の駐車場へ車を移動させて準備をはじめました。

この重たい荷物はこの間の錫杖岳ぶりで、なかなかしんどい。けれど八ヶ岳のいいところはテント場までが3時間ほどで行けるので、お酒や食料をがっつり運べます。

途中に一気に開ける場所があり八ヶ岳にぎっしり雪がかかっている姿を見てやっとテンション上がってきました。

行者小屋に到着するととりあえずテントを設営し、登攀の準備を始めました。この日はまだ11月だったのですが、寒波がきておりテント設営時も手も足も痺れる寒さ。今日登るには時間的に少し微妙なラインでしたので、みんなで議論を始めました。今日登ってしまおうという意見もあれば、とりあえず偵察にいき、時間的にいけるのであれば登ってしまおうという意見。はたまた明日天気がいいし今日はもうここに停滞して早々にお酒を楽しもうという意見。(実はこれは私の意見。笑) こんな議論をかわし、とりあえず明日の偵察兼ねて取り付きを確認しに行くことになりました。

取り付きまでは文三郎尾根を行きます。ここは夏も冬も何度も歩き慣れたところではありますが階段の登りが続き急登でなかなかしんどいのですが、汗をかかないようにゆっくりペースで歩きます。1時間ほどで取り付きの分岐に到着し、そこでまた議論が始まりました。時間的には確実に登っている最中に日が落ちるし、雲の流れが早く強風とガスというコンディション。また気温も低くとても寒かったのでリスクを考えてアタックは明日にすることにしました。

下山は足早になりあっという間にテント場へと戻って来ました。到着はまだ14時頃ですがやることもないので持ってきたおつまみとともにちびちびとお酒を飲み始める事にしました。山でのこの時間が大好きで、途中昼寝を挟みながら自由な時間を過ごしていました。今日の晩御飯は焼酎とも相性の良い火鍋で、こんな寒い日にはぴったりで体ぽかぽになりました。お酒も底をつきましたので20時には就寝し明日に備えることとなりました。

DAY2

4時半起床。いつもならシュラフからなかなか出られないのですが、今日は暖かくすっと抜け出せました。テントも全然凍っていません。昨日と比べだいぶ気温が高そうです。朝食に暖かいそうめんを食べ、準備に取り掛かり5時半頃出発。

まだ日が昇っていませんが昨日の日中と比べるとだいぶ暖かい気がします。また天候も良さそうで絶好のクライミング日和となる予感。昨日と同じ道を汗をかかないようゆっくりと行きます。1時間程で分岐点に到着しアイゼンを履きバイルを準備して取り付きへと目指します。

ここから取り付きまでしっかりと雪が付いていたらだいぶ歩きやすいのですが、がれがれの足場に粉雪が積もっているだけなのでとても歩きにくく、バイルもかかりません。急な斜面では両手両足を使いトラバースしていくのですが、雪に手がうもりとても痛くて、自分の体温で温めながら少しずつ前へと進みました。

トラバースしている途中に日が昇ってきて振り返るとお隣の阿弥陀岳がモルゲンロートという現象で赤く染まっていてとても綺麗でした。

取り付き点へ到着するも、今回1番の難所と言われる1ピッチ目のチョックストーン。1ピッチ目を行かせてもらったのですが、降りたての雪で積もっていなかったので、岩の下を潜ってクリアーしました。特に難しくなかったのですが、私がひいたラインどりが悪かったらしくフォローで登ってくる相方は垂直の壁を登ったようでからかったーと言い登ってきました。そこからは特に難所もなくツルベ(交互)で、途中危険な場所がないピッチはロープ担いだまま登り5ピッチ目へ突入。

5ピッチ目では相方がリードです。長い補助ロープがかかっていたので、左側から登り始めたのですが、かなり苦戦している模様。こんなからいところ事前情報では聞いていなかったので、一気に気が引き締まりました。雪でホールドが隠れてしまっているので、ホールドを探しながら登っていくのですが、垂壁をトラバースする場面や手がかりがほとんどない場面をドライツーリング(岩をアイゼンとバイルで登る)で登る場面があり、フォローで登っていたのですが、相方のところへ到着する頃には心身ともにヘロヘロになっていました。

そこからは特に怖い場面もなく、最後のチムニーも問題なくクリアーして登りつめたところに登山道が見えてきましたので合流して5分程で山頂へ。取り付きから約4時間程で到着です。

頂上へ付いた頃には疲労感でいっぱいでしたが、良くみる赤岳山頂からの景色も不思議とその日は一段と綺麗で感動し、達成感と清々しさとで満ち溢れていました。

天候や雪の状態などで山は変化しますが、こういう難しい場面を経験でき、次に繋がる登攀となりました。今回の山行でやっぱり山頂を踏むことができるアルパインが好きなんだなーとしみじみ感じました。持っていた行動食を食べて山頂にて記念撮影をして、テント場に戻りテントの撤収と荷物の片付け等をささっと済ませ下山開始しました。

帰ってから再度ルートの確認をしてみると、5ピッチ目の一番難しいところはルートを間違えていたようで、だからあんなに厳しかったのかーと納得。何より無事戻ってこれた事にホッとすると同時に、こんなに充実感でいっぱいの山行ができたことを仲間に感謝せずにはいられませんでした。

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kunimitsu
國光香子


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