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食にまつわる意地(愛)らしい話

食は何よりも大切だと思っている。

まったくもって本文や自転車には関係がないかもしれない話なのだけど、私たちのような一般庶民では到底手に入れれそうもない高級外車が牛丼屋とかに止まっているのを見ると、他人の事とは言えかなり残念な気分になるタイプだ。

色々と深く考えること、物事にこだわって若干意地になることのほうがとても自分らしく、しっくり来ることが多いの方なのだが、この移ろいやすく変わりやすい時代の中で生まれる旬な言葉があったりもする。

最近ではスローライフやサスティナビリティーとか、こんな流行り言葉を宣伝広告などに、あまり深く考えることなく流行り言葉だからとして使っている24時間営業の大型スーパーで売られている野菜たちの姿を見たりすると、これまた同じくらい残念に思ったりもする。

美味しくて健康的なものを都会で手に入れようとするためには、ちゃんと努力をしなければならないということだと思うのだが、これらの努力に対して人はこだわりと言う言葉をちょっと小馬鹿にする意味を込めて使われていたりもする。

とどのつまりこれもまた違う意味で残念なことなのだろう。

サークルズにはアーリーバーズ、カルチャークラブにはパインフィールズマーケットという2つの飲食店が私たちの自転車店には隣接されている。

飲食業と自転車業のふたつのマーケットを単純に比べるということは難しいかもしれないが、単純にその規模と多様化から生み出されたその文化量の違いは誰にでも理解はできるはず。 例えばサークルズの飲食店アーリーバーズへ来店してくださるお客さまは飲食店に自転車屋が併設してあると考えている人がほとんどだと思っている。

飲食店を始めた初めの頃は私も若く世間知らずだったこともあって、心のなかで『いやいや、ふざけるなよ』って思っていたのだけれども、やはり飲食業における単純コンペティター(競争相手)の数を自転車産業と比べる必要もなく圧倒しているし、それを理解した上で、その同業内のライバル同士が互いの仕事や現場をリスペクトしあって、そして困ったときほど助け合っているそのコミュニティーを体感させられると、やはり悲しいほどの力の差を見せつけられてしまったのだった。

衣・食・住をしっかりと考えてみる

単純な趣味として向き合ってきた自転車という乗り物の枠組みを一度白紙にして、衣・食・住の『 住 』として何ができるのだろうとしっかりと向き合って、考えてみたことが、サークルズという自転車屋の原点となるのだけども、これまた食と同じくらい大きな『 衣 』の世界を過去に経験し、それなりに導き出した個人的な仕事の本質や方法論、さらには販売につなげていくイメージを組み合わせることができれば、自転車という道具に普段はあまり関心がない人たちにも、最低限その便利さだけは伝わるのではないかと考えたことがお店づくりの核になっている。

複合産業は決して珍しいことではなく昔は百貨店に始まり、最近では多くの服飾業が家具やお皿を売っていたり、無印良品は『 家 』や『 キャンプ場 』というアウトドア アクティビティー施設すら運営をしていたりもする。 そんな数多くの企業が行っている、とてもふつうの事業形態だと私は今では思っているのだけども、飲食店をサークルズで展開するとは、この事業を始める前には想像すらしていなかった。

ではどうして始めようかと思ったのか? という何十回も過去に聞いた質問の答えはとてもシンプルで、一緒に仕事をしてみたいな、一緒に誰もやっていないことをやってみたいな、とそう思わせてくれた仲間がサークルズの最初期のお客さんにたまたまいたということなのだ。 彼はとにかく何事にも前のめり気味で、そっちはどうだい、うまくやっている?ってひとつ聞くと10以上の答えが返ってくるそんな気概のある男が、私たちサークルズに挑戦のチャンスをくれたのだった。

私たちにとって大切なこと

アーリーバーズ ブレックファストはアメリカンスタイルの朝食屋というコンセプトで営業させていただいているのだけれども、一番大切なコンセプトは提供するメニューやその内容以上に、何時から営業を始めるのかだった。

もちろん名古屋やその近郊にはモーニングという文化がしっかりと根づいていると多くの人は言うのだけども、その文化とは単純に大量にいまだに存在する純喫茶であり、基本的に純喫茶とは40年くらい前の成長期に多くが作られ、現状はそのほとんどに跡継ぎが無く、多分文化として終わりに近づいているのがわかっていて、そのちょっとしたメランコリックさがメディアにとりあげられたりとかしているのだと思う。 簡単に言うとそこまで多くの人が日常的に純喫茶に行っているという事実は少ないのではないだろうか。

しかしながら、都会に住む多くの若者たちも朝食は必要としていて、その多くは大手のコーヒーチェーン店に早朝からタンブラーを片手にベーグルでも食べていると思うし、コンビニエンスストアは至るとこに存在、かつ安価でバラエティー豊かなインスタントフードを提供している。 少し個人的な話になるのだけども、海外旅行において一番好きなアクティビティーは何と問われると答えはいつも朝食探しと答えることにしている。 なぜならならば、本当に大小を問わずどんな街にでも多くの個人商店(インディペンデントショップ)のローカル レストランがあり、さまざまな個性あふれる豊かなメニューで、早朝(だいたいAM5:00くらい)から気持ちの良いサービスを行ってくれていて、そんなお店で朝食を取ると本当に嬉しくなるのだ。 そして他国は個人事業の人の割合が非常に高く、時間が自由に使えるのか平日といえども多くの店が結構賑わっていて、そんなローカルの日常に自分が同じように溶け込んでいくという行為はなんとも言えなくて本当に気持ちのよいものなのだ。

そんな個人的な経験がアーリーバーズという場所を生み出したのだったのだが、しっかりと地域に根付き、朝早くから若者たちが腕をふるい、しっかりサービスをして、来てくれた皆さんに気持ちよく『 おはよう 』、『 行ってらっしゃい 』、『 ありがとう 』と元気良く言っている場所が私たちの自転車店内にあれば、競争相手の少ない産業である自転車店のスタッフに、仕事において何が大事で大切なのかを、長ったらしい説法無しで伝えることができるなと考えたし、逆に飲食店から見える風景の中で、実際に人が物を『 直したり 』、『 作ったり 』しているあまり普段ではなかなか遭遇できない風景を飲食店のお客様にも見てもらいたかったのだ。 そして8年の月日の中で本当に多くの人がその意味を正しく理解し始めてくれていることが本当に誇らしい気持ちにもなれる。

新たな出会いは挑戦のはじまり

何れにせよ、材料を選定して、下ごしらえ、調理、それをおもてなしの気持ちで提供する現場というものは、本当に何事にも変え難く、素敵なことなのだなって思えるようになってからは、なかなかセントラルキッチン系のお店を好んでは行かなくなったし、価格だけで物事を図る必要もなくなっていった。 そして飲食店という、そこを切り盛る現場の人たちが人生をかけて一生懸命に作り上げた店内と厨房を眺めながら、客として体験できるということ事態がとても贅沢で豊かな行為だなって心から思えるようにもなった。

そんな豊かな場所を名古屋にもっと増やしたい、自転車店の運営だけを一生懸命に考えていたときには微塵も思わなかった考え方を、飲食業を始めてから胸を張って言えるようになったってことは以前の私が本当にこの業界にありがちな? 個人主義的な若輩者だったのだと考えさせられてしまうのも事実だった。

サークルズの形態によく似た、でも全く違う新たな店舗をと考えて、松原地区にカルチャークラブとパインフィールズマーケットを展開したいと思ったときも、まずそこには情熱的な仲間たちがいて、豊かな地域と現場づくりの意識はしっかりと根底にまずはありきで、どの地域にも千代田と同じように必ず朝はやって来るので、なるべくなら同じ時間帯、特に朝を中心とした運営をしないといけないとも思っていた。 私たちが選んだ松原地区はたまたま商店の少ない住宅地区ではあったわけだけども、千代田とは全く違うことが一つだけあった。 それが深夜未明からせっせと動き出す、花問屋の市場が松原には多数存在しており、朝と人をテーマにしている私たちにとっては、まさにうってつけな場所だなって直感的に思ったのだった。 また松原においてはもう一つやりたかったこと、それとは名古屋には決して多くはない『 路地 』が作れそうな特殊な物件だったのも、松原に決めた大きな理由の一つでもあるのだけども。(ご来店頂いたことがある人はきっと理解できるはず。)

今までも自分のブログではしつこく何度も言っているように、自身は一度も大きな組織の一員になった経験(自覚?)がなく、組織づくりや運営システム、管理と呼ばれるものを全て手探りで行ってきたということもあり、今回のベーカリーと呼ばれる、小さくとも、1日を通して火が止まらない工場という部隊の運営は、未来の私たちにとても大切になってくるであろう、生産管理や工程管理のイロハを自分たちで学ぶには絶好の機会であることは間違いがなかった。 (逆に言えば成長のスピードが極めて鈍いのだが、これも長所と短所を兼ね備えていると思っている)

そして、ものづくりにとって一番大切なこととは『 情熱 』と『 愛 』だと振れずに信じているし、その強い思いとすべての自転車乗りが持つべきだと信じてやまない『 自転力 』を社員一同で遺憾なく発揮していけば、ゆくゆくは自分たちで作りたいものはすべて自分たちで作っていけるであろう、きっと今までやってきたすべての挑戦はしっかりとどこかで血肉になっているのだと、根拠のない自信すらも感じている。

そしてこの根拠のない自信とは、もともと自転車店を始めるときにも持っていた同類の自信なのだけれども、今回のテーマである意地とに地味につながっていて、まずは何事も楽しんでみて、運良く意地になれることを探し当てれたら、継続を目的とした方法を意地になって考え、納得がいくまで試行錯誤して、失敗も成功もそれは結果と軽く受け流していると、いつの間にかふんわりと浮かんでくる自己の実存とでも置き換えることができるのだと思うのだ。

意固地にならず、やればできると意地を張る。

 

Circles & Co,
田中慎也

 

引き続き、店舗はアポイント制での営業とさせて頂きます。

ご来店予約はWEBでのご予約、そして、ZoomやSkypeを用いたオンライン相談も多く頂いておりますのでこちらも上手にご利用くださいませ。

緊急事態宣言が発令されてから約1ヶ月の間、アポイントでの営業を続けてまいりましたが、常に安全第一を優先し、また、ご来店を頂けるお客様に最良のサービスをご提供するためにも、引き続き現状の予約制の形態を維持しながら、自転車屋として社会に貢献していきたいと考えております。

もしも、お求めになりたい商品が決まっていましたら、ぜひウェブショップをご利用ください。 名古屋市内の方であれば、デイジーメッセンジャーが自転車で当日お届けをすることも可能ですし、店舗でのピックアップサービスも開始いたしました。

もちろん、今後の状況次第ではまた変化を求められる局面もあるかもしれませんが、今は引き続きウイルス対策に配慮しつつ、上記のような形で営業を続けてまいりますので、皆様のご協力、何卒よろしくお願い致します。

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田中 慎也

空転する思いと考えを自転出来るところまで押し上げてみた2006年。自転し始めたその空間は更なる求心力を持ちより多く、より高くへと僕を運んでいくのだろうか。多くの仲間に支えられ、助けられて回り続ける回転はローリングストーンズの様に生き長らえることができるのならば素直にとても嬉しいのです。既成概念をぶっ飛ばしてあなただけの自転力に置き換えてくれるのなら僕は何時でも一緒に漕ぎ進めていきたいと思っているのだから。
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