【Golden Saddle Cyclery】その素晴らしさはコミュニティーにあり。

「ゴールデンサドルサイクルリーが閉店するらしい」

そんな話を聞いたのは少し前のこと。なんでも建物のオーナーが変わり、建て替え工事を進めることになり、話し合いの結果お店を閉める決断をしたという。

Golden Saddle Cyclery / ゴールデンサドルサイクルリー (以下GSC)といえば、ロサンゼルスにお店を構えるアメリカ、いや世界を代表するバイクショップ。我々サークルズはもちろん、きっと多くのバイクショップに多大な影響を与えていることは間違いない。そんなショップがお店を閉めるという話は、初めはどうやらそうらしいっていう話に留まっていたものの、日を追うごとにどんどんと現実味を帯びていき、クロージングパーティーの日取りが決まってしまった。

最初にお伝えしておくと、GSCは現時点でも営業しており、12月を目処に完全閉店する予定となっている。「できる限り色んな商材も揃っている状態でGSCらしさをフル体験をしてほしい」ショップマネージャー・カイルのそんな思いから、完全閉店よりも早い段階でクロージングパーティーが開催された。

ライド・パーティー・SimWorks USA & OuterShell POP UPというイベント目白押しの3日間。

パンデミックでここ2年は渡米することがなかったが、SimWorksUSAのリエボーからのお誘いもあり、彼らの最後の瞬間に立ち会おうと急遽アメリカ行きを決めたのだった。もちろんパーティーに参加することは連中には誰にも言わずに。

現地でリエボーと合流して早速翌朝の#TGSCIFrideへ。これは彼らが毎週欠かさずやっている金曜日の定例ライド。過去にも何度か参加したことがあるが、毎週企画されるバリエーションに富んだ様々なライドはもちろん誰でもウェルカム。#TGSCIFrideのハッシュタグを見てもらうとその多様性がよくわかる。そして今回はクロージングパーティーにあわせてスペシャルなライドとなったわけだ。ワクワクしながらGSCへ向かうと、カリフォルニア中からそして中には東海岸からも想像をはるかに越える多くの人が彼らの最後を見届けるために集まっていた。おそらく150人はいたと思う。GSCがどれだけ多くの人に愛されていたがが良くわかる。

サプライズの訪問、そして久しぶりの再会の喜びを皆で分かち合う。最後にGSCを訪れたのは2019年。それから3年経ったが、いつものお馴染みなメンツもいればこの3年の間にニューカマーもいたりしてフレッシュな空気も感じられた。個人的にフォローしていたロッククライマーのAshima Shiraishiちゃんに会えたのは自分のGSCサプライズ訪問よりもずっとサプライズだった。

150人でのライドとなると、ダウンタウンを抜けるまではさながらクリティカルマスのよう。そしてダウンタウンを抜ければシングルトラックやダートを繋いでアーバン+ダートというロサンゼルスならではのルートを堪能。このミックス感がいかにもこの街のライドっていう感じ。

ライドの翌日はクロージングパーティー。もう昼間からみんな盛り上がって夜はすごいことになっていた。ゆえにこの辺の写真は全く撮れていないので悪しからず。GSC随一のパーティー番長ジミーは朝方まで踊っていたらしく、翌朝GSCに行ったらお店に寝袋敷いて寝ていた(笑)。

そして最終日は我々SimWorksUSAそしてOuterShellの合同POP UP。実はSimWorksUSAリエボーも、OuterShellカイルも元々は東海岸へのトリップを計画していたが、GSCのクロージングパーティーということで予定を変更してPOP UPを開催することに。OuterShellカイルも前日のパーティーで相当盛り上がっていたので若干お酒が残り気味だったが、さすがは人気者だけあってオープン直後からバッグをお目当てにしているお客さんの来店に追われていた。

ミネアポリスからこのためにやって来た元ALLCITY・現WILDEBIKESジェフは26インチのHomageタイヤを買ってくれた。なんでもオールドブリジストンのATBにインストールするんだとか。彼はALLCITY時代からローカルのバイクショップをサポートすることをとても大切にしてきた男だ。

SimWorksUSAとしてはもう何度もGSCでPOP UPをやらせてもらっているが、日本でモノづくりをしていること、そして我々のやっていることに本当に多くの人たちが賛同してくれているし、そしてモノを喜んで使い切ってくれているなと強く感じる。それと同時に日本でモノづくりができていることはもっと胸を張っていいことなんだとも気付かされる。

あっという間に3日間が過ぎ、いよいよGSCの皆とのお別れの時。

いつもインターネット越しに彼らの発信を見てきたが、GSCから生まれるバイクはどれもクールだし、スタッフもみんなそれぞれにスタイルがあって本当に色んな刺激をもらっているけれど、やはりこのお店の凄さは、「そのコミュニティーの力強さ」これに尽きるのだと思う。

これはカイルとも話をしていたのだが、GSCに足を運ぶたびにいつも思うのは、ここでは自転車という共通のツールを通して年齢や性別や人種など関係なく皆が楽しみを共有していること。ここへ来れば必ず暖かく迎えてくれる仲間がいるという安心感がとても強く感じられる。このコミュニティの創造こそが私たちバイクショップの使命であり、彼らは本当にその大切さを理解して今まで地道に努力してきたのだと思う。

残念ながらGSCという素晴らしいお店は無くなってしまうけれど、その周りに存在するコミュニティーはこれからも絶対に無くならないし、むしろまた新しい広がりを見せてくれるだろうと思っている。




Avatar photo

Ikeyama Toyoshige
池山 豊繁

Circles / SimWorks / CWD 学生の頃のメッセンジャー・サークルズでのアルバイトを経て、今に至る。 サークルズスタッフ最年少を公言していたが、今ではニュージェネレーションも加わり古参の存在。 でも身長は最小です(#163cmですがなにか)。 CXレース経験もありますが、今はのんびり瀬戸のグラベルを走ったりするのが専らで、過去の面影はどこへやら。自転車で釣り場にアプローチするBikeToFishingのスタイル研究にも余念がない。
池山 豊繁の記事一覧