Text by Shinya Tanaka Photo by Rie Sawada
ゲイではないと言ったのだが、惚れる事はある。
人間に惚れる事は悪い事じゃない。
そんな人間がそこには “いる” お話です。
そこは幾度となく通った道。
これからも通っていくであろう道。
SFOから続くハイウェイを南下して、ワインディングを抜けて、
Route1に今回もたどり着く。
そしてこの景色はいつも僕のココロをハイにさせる。
海と空と緑。
Hunter Cycles
California北部から続くこのRoute1はOregonやCalに住む
自転車乗りなら必ず1度は通ることになる素晴らしい絶景を持つ道。
多くのアメリカのState HighWayは自転車でも走行が出来るように
上記の写真のように” BikeRoute “の看板が立つ事が多い。
大少のアップダウンを乗り越えて多くのツアラーが目指すは、
遥か遠くのMontereyなのかSantaBabaraなのか。
そんな人々を尻目に目指すのはいつもの山道。
それはTour of Californiaの舞台にも幾度となったBonny Doon Road。
そして左にへとハンドルを切る。
相変わらずそこには誰もいない。
いやWoodyがいた。
でも手前勝手を知った僕は淡々と自分の仕事をして
彼の帰宅を待てば良いのだ。
写真を撮り…
どこまで進んでいるかチェックして…
なにかのプロジェクトなのかを推測して…
吟味して…………ただ彼の帰りを待てばよい。
RickHunterは多くを喋らない。
必要と不必要を見極め、そしてもう一度だけ確かめて、
そしてやっと口にするタイプである。
その事が今の僕にどれだけの影響を及ぼして来たのかを考えると
彼の体と比例するように、とても大きな存在に思えて仕様がない。
そう彼はとてつもなくデカイ。
そのくせ彼のWeldingの痕はとてもシンプルで、とてもキレイで、
余分な事をしない事に集中をしてるんだってうったえかけてくるのだ。
そう彼のつくるバイクはとても素敵なのだ。
何を基準に人はいい物として捉えるのか?
僕には他人の判断基準がどこなのかは分からないが、
僕は彼や彼の作るモノにときめいてしまったのだ。
はっきり明確に。
好きだと思った。
それを見て、そして跨がり、ガツーンと頭を打ち抜かれ、
さらには自転車とは “これでいいのだ” と僕にとっての全ての基準となり、
僕のこころのセンターのポジションを彼に任せたのだ。
自転車でこんなふうに遊べるなとか、こんなふうに使いたいとか、
自らの意思と発想で湧き出る遊び心が少しでもあるのなら、
きっと彼の遊び心や、遊ばせたい心が、
きっちりあなたを理解してくれてそれを形にしてくれるはずです。
(そんな人たちが増える事がきっとHunterやその他のフレームビルダー
が未だに必要とされて、今でもフレームを作り続けていける意味が
きちんと理解され始める時ではないでしょうか。)
そして自転車には難しい事なんて1つもないのです。
遊びたい気持ち、乗りたい気持ち、自分で前に進ませたい気持ち、
そんな様々な気持ちに初心者だからとか子供だからとか
オンナだからとかプロだからとかって全く以てナンセンスじゃないかなって思うのです。
楽しむ事が本当に大事だと彼らを見ているといつも思います。
彼の使う鉄の良いところを言います。
それは “作りやすい” と言う事に尽きるということです。
“人に合わせた物” を作りやすい材料で安価に提供出来ること、
それは僕の考える鉄の素晴らしい魅力であり決して無くなる事の無い事実だと思っています。
それは意外に “責任が持ちやすい “と言う事にも繋がったり、
(直しやすさともいいます。)
そんな責任の中に新しい人間関係が “築きやすかったり” なんていう利点もあるのだなと思います。
(良いビルダーや良い自転車人の多い街には大きくて素晴らしい
バイクコミニティーが必ずと言っていいほどあります。)
ぜひそんな事例を踏まえて、今後の私たちの発想力が
ますます研ぎすまされていって、どんどん新しい人が生まれると良い。
そしてきっと新しい人たちが新しい世界をきっちりと自分たちで
作り上げていく世界は素晴らしいにちがいないからなのです。
それは時として文化と言います。
Rickと僕はそんなつまらない話をずっとしているのです。
でもそれが、僕がここに来る一番の目的なのだから。
Hunter Cycles – ハンターサイクル
( http://www.huntercycles.com/)
Rick Hunterが作るHunter Cycleはカリフォルニアの大地を目一杯走り込んだ男が自身の経験に基づき設計し製造されています。ジャンル、車種、といったいわゆるカテゴリーの枠にとらわれる事無く、自らと乗り手の感覚を探求して最高のモノを作りあげる。もしあなたがHunterに跨がることになった瞬間から、あなたの自転車生活は確実に真実に変化していくことでしょう。
– プロダクトサンプル [FlickrのHunterCyclesセットをご覧ください。