『カラカラ、カチャカチャ』
自転車に乗っているとたまにこんな音がしませんか? それ、もしかしたらワイヤーが緩んでるのかもしれません。
自転車を構成するパーツ達はざっと数えただけでも40点くらいあります。
自転車の骨組みであるフレームとフォーク。体を支えるサドルやハンドル。ブレーキレバーからブレーキ本体を繋ぐワイヤー。ギアの歯と噛み合い力を伝えるチェーンなど様々です。
その中でも今回は音鳴りの原因によく挙げられるワイヤーについてお話ししていきます。
常に引っ張られています。
なぜ音鳴りの原因にワイヤーが出てくるのか、説明の前にワイヤー自体について知っておきましょう!
車体に張り巡らされているワイヤー、ケーブルやケーシングと呼ぶこともありますがブレーキや変速機を動かすためのパーツで常に引っ張られた状態になっています。ちょっと分解して構造を見てみましょう。
詳しく見てみるとこんな感じ。結構細かい部品でできています。中を通るインナーワイヤーは綱引きの縄のように撚り合わさっており、外を通るワイヤーアウターもコイル状に巻かれた構造をしています。
これらのおかげで僕らが思いっきりブレーキを握っても、何度も変速機を動かしても切れにくい頑丈なものになっているんですね。
緩んじゃいます…
いつも頑張ってくれているワイヤーですが、緩んでしまうことがたま〜にあります。それは僕らが「伸び」と呼ぶ現象。僕らが日ごろ整備や修理をしていてたまにみる症状です。
ちょっと変速機を使って実験をしてみました。
変速調整を終え、適正な位置で固定されたシフトワイヤーに印(マスキングテープ)をつけて…
パーツを壊さない程度の力でワイヤーをグイグイと引っ張ってみます。
そしてもう一度変速機を動かしてみるとカチャカチャ音が鳴って上手く変速しません。変速の音鳴りの原因のひとつはこのワイヤーのゆるみです。
そこで、再度ワイヤーを緩めて丁度良い張力で固定し直してみます。すると写真のように数mmの多めに引張って固定する事ができました。
手でかるく引張っただけで、この隙間の分だけワイヤーが伸びて緩んでいたということ。実はこれ、ワイヤー自体の伸びだけでなくワイヤーの受けやケーブルアウターの小さな隙間が埋まって余った分が伸びたように見えているんです。
数ミリでもワイヤーが緩んでしまうと変速機が正しい位置からズレてしまいます。そうなると変速がうまくいかず、最悪の場合はチェーンが外れてフレームに傷が入ったり、パーツが壊れてしまう恐れがあるためなるべく早く直したいところです。ブレーキも同様に効きが悪くなります。
もちろん僕たちもそうならない様に必ずこの「伸び」をとる作業を行います。
それでもさらに伸びます – 初期伸び
ですがそれでもさらに”伸び”が起こる事が時々あります。特に新車に多く、納車させていただく際に「初期伸び」という呼び方で必ずご説明させていただいております。
症状としては
- ブレーキが心なしか緩くなる
- 変速しても変わらなかったりカチャカチャ変な音が鳴る
など。実際にはワイヤーの伸びだけではなく、新しいパーツが馴染んでくる過程で発生するズレであり、ワイヤーを固定し直して調整すれば解決します。
そのままにしてしまうと咄嗟にブレーキした時、上手くコントロールできなかったりチェーンやギヤの歯を痛めてしまうことがあるので早めにお店に持ってきてくださいね。
乗り手が感じる違和感や気になる音。これは自転車からの重大なサインです。
モヤモヤした気分のまま走っている方はスッキリさせにきてください!