
—WILDEのバイクが、なぜこんなにも気持ちいいのか?—
「このバイク、なんだか不思議と調子がいいんだよね。」
そう口にしたくなるような感覚が、WILDEにはあります。踏み出しが軽くて、でも芯がある。長時間乗っていても疲れにくく、そしてなにより、自分の意思がそのまま走りに変わるような一体感がある。
その秘密は、WILDEがフレームに込めた“ある選択”にあります。
WILDEのラインナップ――Rambler、Rambler SL、そしてSupertramp。この3つのモデルに共通するもの、それは彼ら独自のスチールチュービング、「TLCチュービング」を採用していることです。

TLCチュービングとは、WILDEが独自にブレンドした、シームレスなダブルバテッド・クロモリ鋼のチューブセットです。
TLCとは、Tough(タフ)、Light(ライト)、Compliant(コンプライアント)の頭文字をとったもの。これは単なる理想ではなく、WILDEがバイク作りにおいて具体的に求めている性能であり、価値観です。素材そのものに特別な名前を与えたのではなく、自分たちが大切にしたいフィーリングをそのまま名付けたという感覚に近いかもしれません。
とはいえ、スチールに魔法があるわけではなく、魔法が宿るのは、「どんなチューブを選ぶか」というその選択にこそあるのです。
チューブを選ぶ、それは哲学を選ぶということ
良質なバイク用チューブを製造できる会社は、実は世界に数えるほどしか存在しません。そのひとつが、台湾・台中にあるFOUNDERLAND / ファウンダーランド というメーカーです。

この名前はあまり耳馴染みがないかもしれません。というのも、同社のチューブは様々なブランド名で流通しているからです。SURLYの4130 Natch、ON-ONEのDN6、そしてかつて存在したTRAITOR BIKESのFounderland 4130など── 表記は違えど、同じ起源を持つチューブが、ブランドごとに別の名前で使われているのです。
2006年のMTBRフォーラムで、ON-ONEのブランド担当者がこう語っています。
「我々の使っているチューブは、台中にあるFOUNDERLAND製。同じ素材、同じライン、同じダイスで作られたチューブが、REYNOLDSの箱に入れられると『Reynolds 520』になるんだ。」
WILDEも当初、自社チュービングに名前をつけるつもりはありませんでした。ただ、台湾プロダクションモデルの素材について何度も問われる中で、「Handmade with TLC」という言葉が、自分たちの姿勢をそのまま表していると気づき、この名前をつけるに至ったのです。

ちなみにFounderlandの4130は、WILDEの創業者であるJeffが以前在籍していたALL-CITYでも使用されており、そこでは「612セレクト」と名付けられていました。612とは、ALL-CITYの地元ミネアポリスの市外局番。この名前には、素材を偽らず、地に足をつけた、誠実なアプローチという意味が込められていました。
同じ素材でも、同じバイクにはならない。
「それじゃあつまり、ファウンダーランドの4130で作られたバイクは全部同じってこと?」
──答えは、NOです。

それぞれのブランドには、設計思想や優先順位があります。あるブランドは極限の耐久性を、あるブランドは重量の軽さを、また別のブランドは硬さを選びます。使用するチューブの直径や肉厚の違いで、バイクのフィーリングは大きく変わります。
たとえば、直径38mm・肉厚0.9/0.6/0.9のダウンチューブを使ったバイクと、直径31.8mm・肉厚0.8/0.5/0.8のダウンチューブを使ったバイクでは、剛性感も、しなやかさも、ライドフィーリングもまったく異なるものになるんです。
WILDEの哲学:タフに、軽く、しなやかに

WILDEはすべてのモデル、すべてのサイズにおいて、意図的にチュービングを選んでいます。カスタムビルドであろうと台湾生産のプロダクションモデルであろうと、それは変わりません。
以下のような要素をもとに、最適なバランスを常に模索しています。
- 想定される使用シーン(ツーリング / クロスカントリー / トレイル / バイクパッキング / レースなど)
- フレームサイズ
- ライダーの体格や好み
- 装備の重量と取り付け位置
そして、WILDEが一貫して重視するのが、先にも挙げた3つの要素:
- タフ(Tough):長く乗れること。クラシックと呼ばれるためには、まず末長く乗り続けられる頑丈さが必要。
- ライト(Light):無理のない軽さ。耐久性を損なわず、気持ちよく持ち運べる重量感。
- コンプライアント(Compliant):快適さこそ速さ。硬すぎないしなやかな乗り味で、ロングライドでも疲れにくいバイクを。
これらは、単に素材や製法の都合で生まれたわけではありません。
「どう走りたいか」という問いに、誠実に向き合った結果として生まれたものです。



これらの要素が、Rambler / Rambler SL / Supertramp のすべてのモデルに宿っています。
素材が語るのではなく、選択が語る。
Handmade with TLC──この言葉に込められた思いを、ぜひあなたの走りで実感してみてください。
2025年のデリバリーも、もう間もなくアナウンスできそうですのでお楽しみに。