今回ご紹介するのは、日頃からCirclesやSimWorksの動画・写真撮影に協力していくれている @_3l05_ によるプロジェクト、FUMIKIRIGANGからリリースされた、バイクの撮影にフォーカスしたバイクスタンド・SHINOBI STANDです。
数多くのバイクポートレートを撮影してきた彼の経験をもとにデザインされたスタンド、その誕生背景を踏まえて彼自身が思いを語ってくれたのでご紹介します。
バイクを美しく撮影するためのスタンド

Words & Photos by @fumikirigang
バイクスタンドは使いたくないです。
誰もが思うように、自転車を撮影する上で美しくありません。

踏切玩具 / FUMIKIRIGANG は、国内外に日本の固定ギア文化を発信する活動を行ってきました。その中でも、メインコンテンツとなる”バイクチェック”における自転車の立て方は、永遠の課題でした。
基本的には、スティック一本でバイクを支えて、後でフォトショップ等でスティックを消すのが一般的です。
しかし、このやり方がとてもリスキーで、少しでも風が吹けば倒れ、少しでもハンドルが回れば倒れ、バイクに傷が入ります。
僕自身も何度も倒し、何度もヒヤヒヤしてきました。
きっと、同じ悩みを持つフォトグラファーは多いでしょう。
とはいえ、スタンドを使うのは美しくない。
そんなジレンマから生まれたのが “SHINOBI STAND”です。



“SHINOBI STAND”はバイクの美しさを引き立てるために、シンプルでありながら、機能的な設計をした、撮影用のスタンドになります。 タイヤのアーチに沿った形状で、26インチ~29インチのタイヤサイズをカバーし、前後タイヤを地面に設置させた状態でタイヤを横から挟み込む構造により、自転車を水平・垂直に保ち、ホリゾンタルフレームの美しさを際立たせます。

さらに、構造をシンプルにすることで、耐久性を向上させ、持ち運び時には分解でき、足のパイプの両サイドに設けた穴にペグを打つことで、芝生や砂利などの未舗装の場所でも安定性を高めることが可能です。



“SHINOBI”は自転車を真横から撮影した際に、スタンドがタイヤに”忍ぶ”ことと、バイクを水平、垂直に立てることができる”術”に由来します。
“Less is More”
トラックバイクにも通ずるこの有名な言葉。
このスタンドは、壊れる要素となる構造や小物パーツを必要最低限に。
さらに車輪受け以外のパーツは規格品なので、もし壊れたり、無くしたりしても代替が容易です。
そうすることで、長く使える製品に。

このスタンドの構造を考える際に、インスピレーションを受けた製品があります。それはPAUL COMPONENTのMOTOLITE のVブレーキです。

シンプルな構造でありながら、26インチのホイールから700cのホイールをカバーし、強力な制動力を得られ、メンテナンス性が高く、20年近く販売されている名作です。
そんな製品を目指して試行錯誤しました。


デザインにも拘っていて、某フィルムメーカーでプロダクトデザイナーをしている @n.shunsuke1くんに構造検討/車輪受けのアーチのデザインで協力頂きました。 彼は、グラフィックデザイナーでお馴染みの @kankobayashi_くんと @jifi_products というブランドで面白い物を作っているので要チェック。(もうそろそろファーストプロダクトが発売されるとか。)
そしてもちろん製造は、創業90年を超える、言わずとも知れたスタンドメーカーの MINOURA さんにお願いしています。
色々なわがままを聞いてくださり、本当にありがとうございました。
発案から今に至るまで約一年半かかり、完全に自己満足でとてもニッチな製品ですが、きっと悩んでいるあなたを支えるスタンドです。

MINOURA × FUMIKIRIGANG / SHINOBI STAND
価格:7,920円(税込)



SHINOBI STAND User Manual
構造は単純ですが、ピストバイクのように慣れるまでに時間がかかるので、使用方法を書いておきます。
①空気圧を基準値の最大まで入れる

タイヤを挟み込み、バイクを立てる構造になっているので、空気圧が高いほど安定します。(長期間の展示には不向きです)
②ステップバーのロゴ位置を基準に片側の車輪受けを固定する

タイヤがロゴの中心に来るように、おおよその位置で片側を固定します。


この時に細いタイヤ(23mm~35mm)の時は車輪受けのアーチが内側同士になるようにステップバーにつけます。 太いタイヤ(35mm以上)は車輪受けのアーチが外側同士になるようにステップバーにつけます。 ボルトを締める時はボルトの頭まで締め切らないでください。これはパイプが潰れても固定力を確保するために3mmほどマージンを設けているので、ボルトの頭は3mmほど浮いた状態になります。
③バイクに装着する

バイクのクランク側からスタンドを装着します。 先ほど固定した車輪受けがタイヤの奥側になるようにセットし、手前側でタイヤを挟み込み、前後を順番に固定します。 この時に横から見た際に、タイヤのアーチと車輪受けのアーチが綺麗に重なるとバイクが安定します。 また、挟み込む力が強いほど安定します。
④馴染ませる


タイヤや、路面の状況により、バイクが斜めになることがあるので、クランク側から出ているステップバーの左右を足で抑え、バイクを真っ直ぐ立つようにサドルなどを押し込みタイヤとアーチに馴染ませます。
⑤確認

・バイクが斜めになっていないこと
・ハンドルが真っ直ぐになっていること
・真横から見た際に車輪受けのアーチとタイヤのアーチが綺麗に重なっていること
・正面から見た際に、ステップバーの中心に、タイヤがあることを確認します。

