少し間が空いてしまいましたが、MADE後のミネアポリス訪問記の大トリ。やっぱりこの人なしでは語れません。

ということで、前回のブログではANGRY CATFISHのショップスタッフたちのバイクを紹介しましたが、今回はWILDEの長・ジェフのバイクを紹介していきます。


本当に彼の家のガレージはちょっとした博物館級のものすごい空間で、これについてはまた後日動画にして紹介したいと思いますが、今回はそんなコレクションの中でも特に印象的だったものと、ジェフが普段一番乗っているというバイクをチェックしていきます。
GALACTIC MYSTERY SOLVERS… / FUJI Suncrest

1台目は彼にとっても最も思い出深いであろうバイク。
ベースはFUJIのSuncrestというバイクで、それをリペイントしたもの。

実はジェフがBIKE JERKSという名前で活動し始める前(つまり、ALL-CITYを始めたときよりもさらにもっと昔の話)に、GALACTIC MYSTERY SOLVERS…という名前で活動していた時期がありました。
これは「シンプソンズ」のエピソードの一つから拝借したもので、「GALACTIC MYSTERY SOLVERSという名前で子供の頃にやんちゃしていた登場人物が解けなかった唯一の謎は、大人にならない方法だった」という話から来ているのですが、ジェフはその言葉が自転車の持つ自由さにぴったり当てはまると思い、当時はその名前で自転車屋を開きたいと思っていたそうです。






フレームとリアラックもマッチしたオリジナルペイントを施し、ホイールは若き頃のジェフが初めて自身で手組みしたものをインストール。
まだファットバイクというものが生まれる前に、彼の生まれ故郷・ウィスコンシンでの冬のライドはもっぱらこのバイクで楽しんでいたようで、BIKE JERKS→ALL-CITY→WILDEとジェットコースターのように人生が回っていった彼の原点とも言えるバイクなので、今でもガレージで大切に保管していました。
SURLY 1×1 Ratride

今はなきSURLYの1×1。しかもこれはVブレーキ台座のみでディスクブレーキ台座がついていなかった最初期のモデルをベースにRAT RIDE 1×1のデカールを貼ってカスタムしたもの。

ちなみに、RAT RIDE 1×1というのはSURLYが始まる前に100本だけ作られたいわば1×1の元となったバイクで、SURLYの源とも言えるバイク(※もちろんジェフはオリジナルのRAT RIDE 1×1も所有しているのですが、それはANGRY CATFISHに大事に飾られています)。
このバイクはオリジナルではないですが、デカールを貼って忠実に再現しているというわけです。






当時SURLYで作られていた1×1ハブに、使い込まれたXTRのクランクとVブレーキ、いかに彼がこのバイクを気に入っているかが伝わってきます。SURLYのSunrise Barを新調したのみで、基本的には彼が持っていたパーツを活かして組んでいるというところにも初期の頃からのSURLY、いやRAT RIDEの精神を引き継いでいるバイクです。

そういえばと思って過去の写真を漁ったら、2019年にFrost Bikeのためにミネアポリスを訪れた際、彼とハングアウトした時に家からこのバイクでダウンタウンまで来ていたのを思い出しました。
ミネアポリスの冬のライドではトラブルレスなシングルスピードの方が快適で、近所の散策やシティークルージングはもっぱらこのバイクの出番が多いんだとか。(ちなみに当時はALL-CITYでバリバリやっていた時期だったんですが、それでもこのバイクに乗ってくるっていうのがジェフらしくて最高だなと今でも改めて思います)
BRIDGESTONE USA MB-1

ガレージだけじゃなく、2Fのロフトにも所狭しとバイクが並んでいたのですが、その中から彼のお気に入りの一台を。

名作BRIDGESTONE USAのMB-1。しかもフォークはトム・リッチーがデザインしたBi-Plainフォーククラウンを用いたもの。




それをダートドロップ仕様にして組んだバイクは、フロントトリプル x リア9速のXTRをバーエンドシフターでアッセンブル。
錆びていたりチューブには小さな凹みがあるけれど、ブリヂストンUSA時代からグラント氏を敬愛しているジェフにとっては手放すことのできない思い出深いバイク。
WILDE Supertramp

そして最後はもちろんWILDEのバイク。その中でも最も出番が多いのはやはりSupertrampでした。泥だらけの様子を見るだけでも、それがはっきりとわかりますね。

近所へぷらっと出かけたり、ショップへの通勤やツーリング、そしてちょっとしたトレイルライドまで本当になんでもこのバイクでこなしていて、今回の訪問で痛感しましたが、ミネアポリスのような街だったらこれ一台あれば本当になんでもできるなと思うバイクです。



パーツは新旧織り交ぜて、タイヤサイズは29×2.2″とSupertrampにしては少し細めにしてスムーズな転がりを意識しているのもポイント。



CEDAERO製の専用設計のフレームバッグとSWIFT INDUSTRIESのZeitgeist Packを組み合わせた普段乗りから遊びの場まであらゆるパッキングシチュエーションを想定。
ジェフが考える、「人生でたった1台しか自転車を持たない人が、サイクリングの可能性を探求できる1台を求めるなら」という問いに対しての最適解が、このSupertrampなんです。

というわけで、4部に続いたミネアポリス訪問記もこれにて完結。
MADEショーの後から続いた怒涛の大移動もひと段落し、このあとポートランドへ戻って帰国の途につくことに。


自分で予定を立てておいてなんですが、なかなかにハードだった今回のUSトリップ(自業自得)、それでもミネアポリスに行って再びジェフに会い、そしてWILDEやそれを取り巻くコミュニティーに直接関わることができ、勉強になることが多かったですし、自分たちが目指すべきところが強くイメージできました。
そして何より、ジェフはもちろんなんですが、それ以外にもWILDEは本当に自転車大好きな仲間たちによって作られている強いチームだなということを感じれたのが今回の旅の収獲。

MADEが終わったばかりに加え、この訪問の翌週にはWILDEが主催するHodag Country Rambleも控えているという忙しい中で僕らをホストしてくれたジェフには改めて最大限の感謝を。
またミネアポリスに行こうと思うし、子育てが落ち着いたら是非日本にも遊びに来てほしいなと思います。
改めて、過去のミネアポリス訪問記を読んでいない方は是非下記よりご一読ください。