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【BLACKCAT BICYCLES】Swami

一昨日11月2日(日)はInternational Single Speed Dayということで、サークルズからはRALブランドで目下準備を進めているExposureというバイクのお披露目がありました。

このバイクについてはまた追って詳細をアナウンスしていくので是非楽しみにしていただきたいと思いますが、実はInternational Single Speed Dayを祝うべく、もう一つ仕込んでいた企画があるので今回のブログではそちらをご案内させてください!

初開催となったMADE2023から2年。まさかBLACKCAT BICYCLESのトッドがMADEにブースを出してくれるとはと驚かされたあの伝説の初回。もちろん久しぶりの再会に私たちは喜んでいたのですが、そこでお願いしていたフレームがついに皆様にお披露目できることとなりました。

ここで改めておさらい。カリフォルニア州サンタクルズ近郊のアプトスという小さな町に拠点を置くBLACKCAT BICYCLES

(少し古い記事ではありますが、BLACKCATについてはぜひこちらの記事もご一読ください。)

SANTACRUZ BICYCLESに長年勤めて培った多くの自転車製造の基礎と最新のマテリアルまでの知識と知恵をフル活用しながら、シンプルかつ丁寧にフレームビルディングを行うトッドは、あのHUNTER CYCLESのリックハンターのもとで修行をし、更にはビルダーでありながら自分自身でペイントワークもしてしまうという稀有なフレームビルダーです。

そんなトッドにお願いしていたのは、彼がここ数年力を入れているプロダクションモデル(といってももちろん一つ一つ完全のトッドのバイハンドによるフレームです)・Swami / スワミー という名を冠したフルリジッドMTB。

90年代のクロスカントリーマウンテンバイキングにおけるジオメトリーへの回帰でもなく、かといって無理にジオメトリーの限界を押し広げようという試みでもなく、できるかぎり様々な地形において快適なライディングを可能とする、トッドの考えるニュースクールなジオメトリーを踏襲したバイクがこのSwamiなんですが、日本向けのサイズ展開でお願いしていたフレームが遂に全て仕上がって着弾です。

サイズごとに最適化された異なるチュービングを用い、フォークブレードやステアリングコラムもサイズに応じてチョイス。ストックモデルではありますが、それぞれトッドが考え抜いた最適なジオメトリー・素材選定により作られたもの。

Sサイズは27.5インチホイール設計、Mサイズは29インチホイール設計で、いずれもタイヤクリアランスはしっかり2.6″を確保。

オリジナルのユニクラウンフォーク、そしてその美しいラウンドトップに加えて、タイアクリアランスを確保しながらも、トッドの思い描く最良のライドを可能とするリアバッグのセクシーなS字ベンドステーなど、トッドらしさが全開に織り込まれたバイクに仕上がっています。

その中でも特に特徴的なディテールに迫ってみます。

ヘッドチューブ : オリジナルラグ + フィレット仕上げ

オリジナルのラグを用いたフィレット仕上げのヘッドチューブは、もちろんその見た目が美しくなるだけでなく、ステアリングの精度を保ちつつ、接続するトップチューブやダウンチューブ、またフレーム全体の柔軟性を確保しながら、しっかりと強度的な機能を果たし、他にはない乗り心地をもたらします。

写真はSサイズ

また、Mサイズは上ワンEC34 / 下ワンEC37のヘッドセットを用い、またフォークコラムも1-1/8″→1-1/4″へとテーパードすることで軽さを維持しつつ強度を確保することに一役買っています。(Sサイズはヘッドチューブが短く十分な強度が確保できるため、1-1/8″のストレートです)

Swinger Dropout / スウィンガードロップアウト

2005年にトッドが設計したこの機構は、チェーンテンションの調整において他には類を見ない最良の方法であり、以降多くのマスプロダクションブランドが模倣したという事実がそれを物語っています。

もちろんこの構造ゆえにシングルスピードでの運用も可能ですし、ディレーラーハンガー付きのドロップアウトも付属するのでお好みでシングル・ギアード運用が可能です。

Sベンドシートステイ

かなり攻めているゆえに、タイヤを履かせたホイールを装着するときにちょっとクリアランスが心配になってしまうくらい、とてもセクシーなこのS字ベンドのステイはもはやトッドの十八番といえます。

タイヤクリアランスという要求を満たしながら、快適な乗り心地をもたらすこのステイは、トッドが拘りのベンダーセットアップによって一つ一つ形にしていくまさにブラックキャットの伝統芸。

オリジナルペイント

フレームビルダーでありながら、自身でペイントもやってしまう稀有な人物であるトッドの生み出すバイクはどれ一つとして同じ仕上がりのものはありません。今回のフレームも全て彼の感性にお任せしました。

僕らも毎回開封する時が楽しみなんですが、上記のディテールとこの美しく特徴的な塗装を含めて、もはや彼の作るフレームは芸術品と言ってもおかしくないレベル。

でもこの芸術品はただ眺めるだけでなく、その所有欲を満たすためだけのものでもなく、ペダルを漕ぎ出せばたちまち最高のファンツールとなってくれるのですから、決して高いお買い物ではないと思うんです。

BLACKCATはまさに、乗ることができるアートピース。アメリカを含めても中古市場にほとんど出回っていない事実を考えると、オーナーの満足度がわかるかもしれません。

BLACKCAT BICYCLES Swami Frame Set

サイズ:S(27.5″), M(29″)
価格:924,000円(税込)

主なスペック

・タイヤクリアランス:Sサイズ / 27.5×2.6″ – Mサイズ / 29×2.6″
・オリジナルユニクラウンフォーク
・モダンなロングトップチューブ + ショートステムを想定した設計
・12x148mm Boost スウィンガードロップアウト
・52mmブーストチェーンライン + 32Tチェーンリング
・30.9mmシートポスト + ステルスドロッパールーティング
・オリジナルヘッドチューブラグ + ダウンチューブガゼット
・Mサイズは 36mm/40mm テーパードヘッドチューブ (EC34/EC37 ヘッドセットが対応)
・73mmボトムブラケット

ジオメトリー

SサイズMサイズ
Head Angle68°68°
Seat Angle74°74°
Effective Top Tube600mm625mm
Chain Stay Length430-445mm435-455mm
BB Drop60mm80mm
Fork Length418mm440mm
Fork Offset42mm52mm
Reach443mm453mm
Stack553mm612mm


オリジナルコンプリートバイクもご用意しました

というわけで、私なりのSwamiのイメージを形にしました。こちらはオリジナルコンプリートバイクとして販売します。

サスペンションレス、そしてシングルスピード。余計なものを一切付けない潔さ。特にマウンテンバイクの世界は機材の進化が著しくその波に付いていくのが大変ですが、むしろそういう大きな波からちょっと距離を置いてみると意外とこんな楽しみ方もあるんだなと気付かされます。

選択肢を減らしていくことは思考を削ぎ落としていくことにつながりますが、そんな限られた状況でペダリングし続けるからこそ見えてくる自由度みたいなものがシングルスピードにはあると思っています。

もちろん、付属のドロップアウトを取り替えることでギアード化もできるフレームとなっておりますが、まずはあえてシングルスピードで組んでみて欲しいなって思うバイクです。

BLACKCAT BICYCLES Swami Frame Set

サイズ : S(27.5″)
価格 : 1,397,000円(税込)

BLACKCAT BICYCLESは現在彼が企画しているモデル(カテゴリー)に対して、オーナーさんに合わせたカスタムジオメトリーを提案するという形でのオーダーも受け付けておりますので、是非お気軽にご相談くださいませ。

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Ikeyama Toyoshige
池山 豊繁

Circles / SimWorks / CWD 学生の頃のメッセンジャー・サークルズでのアルバイトを経て、今に至る。 サークルズスタッフ最年少を公言していたが、今ではニュージェネレーションも加わり古参の存在。 でも身長は最小です(#163cmですがなにか)。 CXレース経験もありますが、今はのんびり瀬戸のグラベルを走ったりするのが専らで、過去の面影はどこへやら。自転車で釣り場にアプローチするBikeToFishingのスタイル研究にも余念がない。
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