自転車を構成する部品の中でも、特に大切だと私たちが考えているホイール。
そのホイールを形づくる部品のなかにおいても、スポークと呼ばれるパーツはずいぶんと地味目な存在だなと感じています。
ハブやリムのように大きく目立つわけでもなく、完成したホイールを眺めても一本一本の違いや存在価値までがなかなか見えてきません。
けれど、ハブとリムをつないでライダーの力を受け止めながら、ホイールの形を保っているのはスポークです。
細い金属のただの棒に見えますが、その選び方と組み方によってホイールの丈夫さや重量、整備性、そして長く使い続けられるかどうかは変わります。

このたびサークルズでは、ベルギーのスポークメーカー SAPIM / サピムの取り扱いを強化します。
そして、卸部門CWDでも新規ブランドとして取り扱いが始まりました。(プロショップの方はこちらからお問い合わせください。)
スポークとニップルをつくり続けてきたメーカー
SAPIMは1918年にベルギーで創業したスポークとニップルの専門メーカーです。
100年以上にわたってスポーク、ニップル、そしてホイールを構成する小さな部品を専門につくり続けてきました。現在ではロードレースからマウンテンバイク、BMX、ツーリング、E-BIKEまで、様々な用途のホイールに使われています。
スポークが折れない、へたらない「驚異の疲労耐性」
ホイールは走行中、ペダリングのトルクや路面からの衝撃により、何万回・何十万回とスポークが“しなって”元に戻る動作を繰り返します。一般的なスポークが金属疲労を起こして折れてしまうなか、SAPIMが圧倒的な耐久性を誇るのには明確な理由があります。
- 金属の密度を高める「冷間鍛造(Cold Forging)」
加熱せず常温で強い圧力をかけて成形する独自技術により、金属の分子構造を切断することなく引き締めます。これにより引っ張り強度と耐久性が大幅に向上します。 - 衝撃を受け止める「応力分散設計」
ハブ側やネジ部といった負担の大きい部分はしっかり太さを残しつつ、中央部を薄く・細く仕上げることで、路面からの衝撃を中央部が適度にしなって吸収。一番折れやすい首元(Jベンド部)への負担を逃がす設計になっています。 - 最高品位のステンレス素材
不純物が限りなく少ない特注の18/8ステンレス鋼を使用し、厳しい品質管理と何百万回もの自社疲労テストをクリアしたものだけが製品化されています。

ホイールのポテンシャルを極限まで引き出す精度
一本一本の強度のムラや寸法の狂いが極限まで削ぎ落とされているため、ホイールを組み上げた際のテンション(張り)が驚くほど均一に整います。走った瞬間にわかる「進みの良さ」「ダイレクトな加速感」は、この圧倒的な精度から生まれます。
SAPIMの魅力とは、単純に「軽い」「強い」という性能だけではありません。
軽量なエアロスポークから、日常的に使いやすいダブルバテッド、荷物を積む自転車やE-BIKEに向いた高強度モデルまで、用途に合わせてきちんと選べること。そして、それぞれのスポークを安定した品質で正しく供給していることにあります。
速く走るためのホイールと、毎日の移動を支えるホイールでは、必要とされる性能が違います。
その違いに対して無理にひとつの正解を当てはめるのではなく、用途に合った答えを用意できる。SAPIMはホイールを組む側にとって非常に頼もしいメーカーです。

細くすることには理由がある
スポークには全体が同じ太さのプレーンスポークだけでなく、中央部分を細くしたバテッドスポークがあります。中央部分を細くするのは単に軽量化するためだけではありません。
細く仕上げた部分が適度に伸び縮みすることで、走行中にスポークへ繰り返しかかる負荷を受け止めやすくなります。SAPIMのRace / レースは、中央部を2.0mmから1.8mmへ細くしたダブルバテッド構造。プレーンスポークよりも中央部がしなやかで、ホイールを組む際の扱いやすさにも配慮されたモデルです。
一方で、荷物を多く積むカーゴバイクやE-BIKEのように大きな負荷を想定する場合には、首元を太くしたStrong / ストロングが適しています。
スポークは細ければ良いわけでも、太ければ良いわけでもありません。どのような自転車に使い、どこを走り、どれくらいの荷物を運ぶのか。その条件を考えながら適切なスポークを選ぶことが大切です。

サークルズでは、長尺の状態から加工します
今回の取り扱いでサークルズが特に大切にしたのが、スポークを長尺の状態でストックすることです。
一般的にスポークはホイールに必要な長さごとに完成した状態で販売されています。ただしスポーク長はハブやリムの寸法、組み方、交差数などによって変わります。わずか1mm、2mmの違いでニップルとスポークの収まりが変わることもあります。
そこでサークルズでは、SAPIMのスポークは長尺かつネジ加工前の状態でストックし、ホイール組みやご注文に合わせて必要な長さへカットし、ネジ立て加工を行います。
加えてCX-RayとRaceの2モデルは、ネジ立てができる部分を長めに取ってもらうようSAPIMに特別にオーダーしています。この仕様であれば、既製の長さが見つかりにくいハブとリムの組み合わせや、古いホイールの修理、少し特殊な規格のホイールにもより柔軟に対応できます。

必要なスポークを必要な長さで、必要な本数だけ用意する。ホイールを日常的に組み、修理してきたサークルズにとってSAPIMを扱う大きな理由のひとつです。
取り扱いスポーク
たくさんの異なるジャンルのスポークを製造するサピムですが、今回サークルズでは国内における自転車の使用環境を熟考し、その中から4種類のスポークを選びました。
SAPIM CX-Ray 14G J-Bend Spoke
SAPIMを代表するエアロスポーク CX-Ray / シーエックス・レイ。一度は耳にしたこと、目にしたことがある方も多いと思います。

中央部を細く引き伸ばしたあとに専用の金型で扁平に成形し、サイズは首元とネジ部が2.0mm、中央のブレード部分が0.9×2.2mm。標準的なハブのスポークホールに対応しながら、軽量性と高い疲労耐性を両立しています。
ブレード形状には空気抵抗を抑えることに加えて、ホイールを組む際にスポークのねじれを目で確認しやすいという利点もあります。
ロードやトライアスロンだけに限らず、グラベル、シクロクロス、MTBなど、軽量性と耐久性の両方を求めるホイールにおすすめです。

高性能なハブやリムを使い、重量だけでなく、組み上がりの精度や外観まで大切にしたい。そんなホイールに選びたいスポークです。



SAPIM CX-Ray 14G J-Bend Spoke
カラー:シルバー、ブラック
長さ:270mm, 310mm
形状:Jベンド / エアロ
サイズ:14G / 2.0-0.9×2.2-2.0mm
最短加工長 : 240mm(スポーク長 270mm)、
280mm(スポーク長 310mm)
SAPIM Race Double Butted J-Bend Spoke
Race / レースは、首元とネジ部が2.0mm、中央部が1.8mmのダブルバテッドスポークです。


プレーンスポークより軽く、CX-Rayほど価格や軽量性を追求しすぎない、非常にバランスのよいモデルです。適度なしなやかさがあり、SAPIMも組み立て時にスポークテンションを上げやすいモデルとして紹介しています。
ロード、グラベル、マウンテンバイク、ツーリングバイクなど幅広いホイールに使え、何かに極端に特化するのではなく、重量・耐久性・価格・組みやすさのバランスを大切にしたい。日常的なホイール組みではまず候補に入れたいモデルです。



SAPIM Race Double Butted J-Bend Spoke
カラー:シルバー、ブラック
長さ:270mm, 310mm
形状:Jベンド / ダブルバテッド
サイズ:14G / 2.0-1.8-2.0mm
最短加工長 : 240mm(スポーク長 270mm)、
270mm(スポーク長 310mm)
SAPIM Strong J-Bend Spoke
Strong / ストロングは、ハブ側の首元を2.3mmに太くした高強度のシングルバテッドスポークです。

カーゴバイクやE-BIKE、荷物を積載するツーリングバイクなど、大きな負荷がかかる用途を想定して設計されています。ハブのスポークホールが大きい場合にも適したモデルです。
軽さを優先するためのスポークではなく、まず壊れにくさを優先したいシーンで選ばれることが多く、後輪に負荷がかかりやすいトラックバイク=固定ギアでも指名されることもある、特にタフネスなモデルです。



SAPIM Strong 14G J-Bend Spoke
カラー:シルバー、ブラック
長さ:310mm
形状:Jベンド / シングルバテッド
サイズ:14G / 2.3-2.0mm
SAPIM Leader 14G J-Bend Spoke
Leader / リーダーは、全体を2.0mmで仕上げた定番サイズのシンプルなスポークです。

構造がわかりやすく丈夫で、修理や組み直しにも対応しやすい。華やかなスペックを持つスポークではありませんが、毎日の移動に使う自転車や耐久性と整備性を重視したホイールには、こうしたスタンダードなスポークがよく似合います。
コミューターバイクやツーリングバイク、街乗り用のホイール、補修用スポークなど幅広い用途に使える基本モデルです。



SAPIM Leader 14G J-Bend Spoke
カラー:シルバー、ブラック
長さ:310mm
形状:Jベンド / プレーン
サイズ:14G / 2.0mm
Polyax Secure Lockニップル
スポークとあわせてSAPIMのPolyax Secure Lockニップルを、アルミ製と真鍮製のふたつのモデルをまずは用意しました。
Polyaxは、ニップルの頭部を丸みのある形状にすることでリムのスポークホールに対してニップルが自然に角度を合わせやすくしている構造です。

スポークがリムへ斜めに入るホイールでも、スポークとニップルの角度を整えやすく、接続部分へ無理な力がかかることを抑えます。
Secure Lockは、ニップルのネジ部分に設けた変形によって回転抵抗を持たせ、走行中の振動などによる緩みを抑えるSAPIM独自の機構です。

ホイール全体で見てもニップルはスポークよりも目立ちにくく細かな部分ですが、細部にまでこだわれるのも頼もしさに繋がるポイントですね。
SAPIM Aluminium Polyax Secure Lock Nipple 14G – 14mm
軽量な7075-T6アルミ製ニップルです。ホイール全体の重量を少しでも抑えたい場合や、スポークとニップルの色を含めて仕上がりを考えたいホイールに適しています。


SAPIM Aluminum Polyax Secure Lock Nipple 14G – 14mm
カラー:シルバー、ブラック
長さ:14mm
対応スポーク:14Gauge
素材:7075-T6アルミニウム
SAPIM Brass Polyax Secure Lock Nipple 14G – 14mm
耐久性と扱いやすさを重視した真鍮製ニップルです。アルミ製より重量は増えますが日常的に雨のなかを走る自転車やツーリング、グラベル、長期間の使用を想定したホイールでは、真鍮製の安心感が生きてきます。


SAPIM Brass Polyax Secure Lock Nipple 14G – 14mm
カラー:シルバー、ブラック
長さ:14mm
対応スポーク:14Gauge
素材:真鍮
スポークカットサービスについて
今回取り扱うCX-Ray、Race、Strong、Leaderは、いずれも長尺・ネジ立て加工前の状態でストックします。
そのままではニップルを取り付けられないため、長さのカットとネジ立て加工が必要になるので、加工をご希望の場合は、オンラインストアでご注文時に「スポークカットオプション」を選び、加工するスポークと同じ本数をカートへ入れ、カートの備考欄に指定の長さを記入してください。

ホイールは、部品を選ぶところから始まっています
良いハブと良いリムを用意するだけでは、良いホイールが完成するわけではありません。
どのスポークを選び、どの長さに加工し、どのようなテンションで組み上げるのか。目立たない部分の積み重ねがホイールの寿命や整備性を決めていきます。
軽さを求めるホイールもあれば、荷物を載せて遠くまで走るためのホイールもあります。毎日の通勤を何年も支え続けるホイールもあります。SAPIMにはそれぞれの目的に合わせて選べるスポークがあります。
手組みホイールの製作、現在お使いのホイールの補修、スポークの選び方や長さについても、どうぞお気軽にサークルズへご相談ください。
