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【BIKE of the WEEK】SYCIP BIKES / Custom All Road

SYCIP BIKES / シシップ バイクは、カリフォルニアのサンタローザという小さな街を拠点とするカスタム ハンドメイド バイク メーカー。 そのオーナーでフレーム ビルダーであるJeremy Sycip / ジェレミー シシップはマウンテン・ロード・グラベル・コミューターと様々な自転車に乗り、楽しんでいる根っからのサイクリストでもある。

休日は仲間はもちろん家族ともサイクリングやレースに興じる良き父。 そんな彼が作る車体からはそういった優しさというか温かみが感じられ、またそれはSNSを通して伝わってくるのだけど、実際に彼は本当に優しく、暖かな人柄なのだ。

今回SYCIP BIKES / シシップ バイクをオーダーしてくださったオーナーもそんな雰囲気に魅了された1人。そしてJeremy Sycipのように様々な自転車に乗り、通勤や買い物などの日常生活はもちろん休日には風光明媚を求めてペダルを回す根っからのサイクリスとでもある。

そんなオーナーが今回リクエストしたのが所謂オールロード。ロードバイクのように軽快に走ることができ、長い距離を走っても疲れにくいもの。そしてたまに遭遇する荒れた舗装路も難なく走破でき、道すがら気になったグラベルにも踏み入っていける一台。

そしてあくまで”走る”ことに重きをおくため、キャリアやフェンダーなどのアクセサリー類を取り付けるこのできるダボ穴も二つのボトルケージ台座のみと割り切っているのも特徴だ。

SYCIP BIKES セグメンタルスタイルクロモリフォーク

オーナーは身長が高いこともあり、フレームの形状もホリゾンタルに近く、またカーボンフォークではなく1-1/8インチ径のクロモリフォークを選択することで全体的なバランスがとても美しいものになっている。

”速さ”と”軽さ”を求め高い”剛性”を備えるのであれば現代的な44mmヘッドチューブとカーボンフォークという組み合わせが最適ではあるけれど、誰かと競う訳ではなくあくまで自分のペースで軽快に走り、快適性を求めるのであればこのスタイルは最適解となるのだ。 その走りはしなやかで、気づけば『あぁ〜、もうこんな所まで来たんだなぁ〜』と思わせてくれるもの。

ちなみSYCIP BIKESのセグメンタルスタイルフォークの特徴といえばフォークの肩部分にあるアメリカ硬貨だ。またシートステーもセグメンタルスタイルになっていて、その上部にも同じように硬貨が施されているので前後のバランス感がとても良く、SYCIP BIKESの一つの魅力にもなっている。ちなみにパイプ径に合わせてフォークには25セント硬貨、シートステーには1セント硬貨が施される。

WHITE INDSUTRIES x MICRO SHIFT Sword

アッセンブルされるパーツの中でも目を引くのがWHITE INDSUTRIES / ホワイトインダストリーズG30 Crank / G30 クランクTSR Chainring / TSR チェーンリング。最早定番中の定番であるのだけど、その形状の美しさと高い堅牢性は目を見張るものがある。オーナー自身その他のバイクで使用していることもあり、その魅力の虜になっている。

そして同じくドライブトレインの要となるレバー、リアディレイラーにはMICRO SHIFT Swordのレバーとリアディレイラー、そして同じくMICRO SHIFTのリアスプロケット。その設定はフロントチェーンリングは42T、リアスプロケットは10s / 11-48Tとなっている。

ロードバイクといえば、フロントはダブル、そしてそれに伴いリアスプロケットももう少し重めの設定にすることが多いのですが、これまでのオーナーの経験に伴い必要十分な組み合わせとなっている。

走る距離、スピードはもちろん山間部を好んで走るオーナーにとっての最適解なのだ。また加えて言うと10sのチェーンは少なからず堅牢であるのだ。

フルカスタムのハンドメイドバイクと聞くとついつい最新、最上位グレードのパーツを組み合わせなくては?と思ってしまいそう。 しかしそれはあくまでオーナーに寄り添ったフレームなので、パーツもオーナーが使いやすい寄り添ったものを選べばいいのだ。

WHITE INDSUTRIESずくめ

クランク・チェーンリングがWHITE INDSUTRIESということ、また既にCLD Hub x G25A Rimで組まれたホイールを所持されていたこともあり、ボトムブラケットとヘッドパーツもWHITE INDSUTRIESで揃えた。

余談になってしまうけど、WHITE INDSUTRIES名義のリムは製造機故障の理由で残念ながら製造中止となってしまった。今だったらWHITE INDSUTRIES製のハブとASTRAL / アストラルのリムの組み合わせでホイールを組むのが美しい。 CirclesでもプッシュしているASTRALは、実はWHITE INDSUTRIESの子会社。しかもホイールメーカーであるROLF PRIMAから派生したブランドということもあり、ブランドの親和性はもちろんそのクオリティも折り紙付きのもなのだ。

GROWTAC Equal Mechanical Disc Brake Caliper

多くのアメリカブランドのパーツがアッセンブルされた1台だが、ブレーキにはGROWTAC / グロータックEqual / イコールを選択。機械式ディスクブレーキはサイクリング中のトラブルにも対応できるというメリットがあるのはもちろんだけれど、このGROWTACのEqualはレバーの引きもしなやかで尚且つ優れた制動力を備えていて、またそれは誰もが容易に体感できるほど。そしてそのカラーバリエーションの豊富さも魅力の一つ。

調和の取れたパーツのカラー構成

ステムとシートポストはTHOMOSN / トムソンのEliteシリーズのシルバーパーツを選択。そこにSELLE ANATOMICAのサドルとBROOKSのレザーのバーテープをアッセンブルし、クラシカルな雰囲気を醸し出しているんですが、ブラックのリム・スポーク、そして現代的なデザインのMICRO SHIFTのレバーをアッセンブルすることで、シルバーパーツでまとめられた所謂よくある”クラシック”とは異なる雰囲気を纏う。

ちなみにハンドルは以前他のバイクで使用していたSIMWORKS by NITTO Smog Cutter Bar / GSC Limitedを。こちらは残念ながら廃盤モデルですが、名作中の名作。

Kyutai Paint / オリジナルカラー

そしてこのフレームはカラーリングも目を惹く。フレームはロゴのみ、フォークはリムの外径部分を区切りにメタリックのライムイエローをメインにホワイトとワインレッドと3色で塗り分けている。

その3色とその他のパーツカラーがとてもうまくアッセンブルされており、オーナーのセンスが冴え渡っているのが伺える1台になっている。

Specifications / Build Kit

FrameSYCIP BIKES Custom All Road
ForkSYCIP BIKES Steel Fork
HeadsetWHITE INDUSTRIES EC Head Set 34/28.6-34/30
HandleSIMWORKS by NITTO Smog Cutter Bar / GSC Limited
StemTHOMSON X4 Stem
TirePANARACER Gravel King SS 700 x 43(廃盤サイズ)
HubWHITE INDUSTRIES CLD Hub
RimWHITE INDUSTRIES G25A
Spoke & NippleDT SWISS Champion Spoke
CrankWHITE INDUSTRIES G30 Crank
ChainringWHITE INDUSTRIES TSR Chainring
Bottom BracketWHITE INDUSTRIES BSA Bottom Bracket
Shift Brake LeverMICRO SHIFT Sword Drop Bar Shifter 1x10Speed
Rear DerailleurMICRO SHIFT Sword Rear Derailleur 1x10Speed
Rear SprocketMICRO SHIFT Advent X G-Series 10 Speed Cassette 11-48
BrakeGROWTAC Equal Disc Brake Caliper Flat Mount
SaddleSELLE ANATOMICA NSH2
Seat PostTHOMSON Elite Seat Post
Cable & WireSIMWORKS BY NISSEN
Bottle CageKING CAGE Iris Cage

 

今回の1台は、あれもこれも全部をこなすマルチバイクではない。何処でもいけるのだけれど、オーナーが必要とする要素をしっかりと組み込み、不必要なものは削ぎ落としたこだわりの1台となっている。

多くの人にフィットするバイクではないが、オーダーをしたオーナーがこの先にサイクルライフに欠かす事のできないものなのだ。

どうしてもお時間をいただくことになってしまうのだけれど、ハンドメイドのカスタムオーダーのバイクをカタチにしていくのはオーナーはもちろん私達スタッフもとても楽しいもの。

ご興味のある方はお気軽にご相談ください。


これまでサークルズで組んだバイクのフォトアーカイブ公開中。
バイクのカスタムイメージを膨らませてみてください。

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柳瀬公識

サークルズ歴と自転車歴はだいたい同じ。 通勤をメインに自転車を利用するようになり、それまで車や公共交通機関を利用して足を運んでいたいろんな場所へ自転車で赴くように。 それからメッセンジャーなども経験しつつ、今ではロードバイク・マウンテンバイクと様々なアクティビティを楽しんでいる。
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