WILDE / ワイルドのサポートライダーであり、BMXとシクロクロスを行き来しながらユニークな活動をしているコッシー(@vhlg)。シングルスピードで参戦して上位にランクするスピードと、遊び心やかっこよさなどのスタイルとをどうバランスさせているのか。色々と話を聞いてみました。

シクロクロスシーズン序盤にインタビューをしたんですが、すでに終盤になってしまいました。コッシーごめん!

自己紹介お願いします。

本名は腰山 雅大といいます。38歳になりました。
兵庫県尼崎市に住んでいます。車の整備工場を営んでいます。

コッシーは速いだけじゃなく車の整備もしてくれます。

整備もするし販売もします。自転車を積載するためのラック機材なんかも用意できます。
仕事の宣伝はちょっとダサいなと思ってしないようにしてます(笑)

そんなことないよ。俺の車はコッシーのとこで買いました。

お買い上げありがとうございました(笑)
問題なく乗っていただけてるようで。

おかげさまで!

自転車の話に戻して、まず自転車歴を教えてください。

物心ついた時から自転車で走り回っていたんですが、競技を始めたのは中1で、最初はMTBのクロカンレースでした。その時にお世話になってたお店の人がBMXに乗り始めて、BMXはもう24-25年ほど乗ってます。

コッシーといえばBMXとシクロクロスのイメージやけど、最初はMTBなんですね。

最初はMTBクロカンもチームに所属して熱心にやってたけど、BMXが面白すぎてそれだけになってました。スポンサーがついてた時期もあったんですが、トップになるのは無理そうと分かってからはBMX大会を主催したりしてました。
すると今度はBMXダートジャンプ周りのおっさんたちがシクロクロスが面白いからやるぞ!って言いはじめて、最初は頑なに断ってたけど、仕方なしに買うことになって…2014年ですね。

怖いおじさん達(笑) その辺りはピストブームもあったと思うけど、それは通ってない?

いや、当時僕たちBMXライダーはノーブレーキ問題でとばっちりを受けて、かなりアンチピストでしたね。今から思えばめちゃくちゃな論法やけど(笑) でもBMXの大会やってたらピストの子達も参加してくれるようになって、仲良くなっていきました。

シングルスピードで走ってるのはピストの影響かと思ってたけど、BMXもシングルや。

最初にシクロクロスを買う時に、スペシャとかジャイアントが良いのは分かってたけど、今さらこれに乗るのかーっていう退屈さもあって。
そんな時にBMX大会つながりで、モトクロスインターナショナルさんからオールシティを紹介してもらって買いました。シングルで速かったらちょっとカッコよくないか?ぐらいの感じで選びました。

ちなみにBMXの時はどうやって選んでたの?

かっこいいライダーに憧れてとかですね!性能がどうとかそういうのは考えたことはなかったですね。重さとかも知らないまま。サイズは一応気にしてるぐらいかな。
細かい数字とかはあんまりよく分からないけど、それよりもビビッとくる何かみたいなんで選んでますね。

かっこいいとかスタイルがあるかどうかっていうのはBMXにとって重要な要素やもんね。

たとえばスケボーのデッキなんかもそうやけど、かっこいい以外に選ぶ理由はほとんど無いじゃないですか。
車に携わってるから工業製品としての性能の良し悪しはもちろん理解しているけど、軽いとかのスペックでモノを選ぶことはあんまりないなという感じですね。

コッシーが凄いのは、そうやってスタイル重視の文化で育ってきながらも、それだけに閉じこもらずに、レース順位というシクロクロスの評価基準でもしっかり結果を残そうとトレーニングするところだと思う。今どれぐらいの位置で走ってるの?

シクロクロスは速さ別に4つのカテゴリーがあって、それの一番上のクラスで走ってます。速い人が多い関西シクロクロスでもトップ10ぐらいの順位ですね。自分でいうのめっちゃ恥ずかしいけど、まあまあ速いと思う。

それもシングルスピードでね。自分も昔走ってたけど、トップカテゴリーはもう変態の集まりだと思う。

シングルスピードで走ることに関してはネタ的な回答もできるけど、本音としては、これまで話したようなバックグラウンドとかスタイルとかと同じ要素のうちのひとつであって、シングルで走ることで、こうやって面白がってインタビューしてくれたり、オールシティーやWILDEとのつながりができるわけで、そのコミュニケーションを楽しんでます。
一つ基準にしてるのは、前にサークルズさんにも来てたクリスキング(シエロ)のライダーだったジョシュ・ケリー。どれぐらい速ければクリスキングみたいな凄いメーカーのサポートライダーになれるのか?っていうので、彼と同じぐらいだった人と並べるぐらいまで来てますね(笑)
彼は最新カーボンフレームではなく鉄のCieloに乗っていて、どちらかというとスタイル重視だったと思うけど、それでもアホほど速かったので、凄い印象に残ってます。速さっていうのはやっぱり必要で、それをまずは自分でできるところまで真剣にやるって感じです。


前にコッシーに六甲のMTBトレイルと662トレイルというダートジャンプのコースにも連れて行ってもらって、そこが凄く良かった。近くにああやって無料で利用できるコースがあるのがうらやましい。

あそこは全部手作りで誰かがメンテナンスをして維持されてます。諸先輩方が大きく関わっているので自分がって話ではないんですが、手伝える時はスコップ持って整備に参加してます。




尼崎は自転車乗るのに凄くいい環境やなと感じました。

そうですね。冬はシクロクロス、夏は午前中に山のトレイルでMTB、午後から662でダートジャンプという週末のルーティンです。大阪と神戸の間を阪神間というんですが、尼崎を含むこのエリアは自転車にとってはとても良い場所だと思います。

治安が悪いのが問題やけどね(笑)

治安もね、どんどん良くなっているんですよ!尼崎も!(笑)



次はオールシティとかWILDEとの関係を聞きたいんです。どういう経緯でサポートライダーになったの?

シクロクロスを始めて、わりとすぐにカテゴリー2まで昇格しちゃったんです。それでモトクロスさんにサポートのお願いしたんですよ。みんなの憧れのライダーになりたいってより、サポートライダーとして色々な人とコミュニケーションを取るきっかけになるといいなと思って、そういう計画を話してOKをもらいました。

自分から提案しにいったんですね。BMXにはそういうカルチャーがある?

それぞれに違う思惑があると思いますが、スポンサーミーとかってありますね。

なるほど。スケボーとかBMXのサポートライダーってかっこいいもんね。今だとレッドブルとかも。
ロードとかピストはあんまりそういうのが無いというか、無料でモノがもらえるみたいなアンバサダーとかインフルエンサー的な、ちょっと違う文化なのかなと思ってます。SimWorksにもそういうオファーがたくさん来るけど、ちょっと違うなあという感じがします。

BMXのサポートライダーの文化とはちょっと違うのかもしれませんね。一緒に遊べるやつとかローカル的なつながりだったり、実像がある感じがします。
S&Mとかは本当にそんな感じでした。友達ばっかりやんみたいな。仲間をどう作っていくかみたいな。やり方によってはダサいかもしれないけど、やっぱりそれをうまくやる人がいて、めっちゃかっこよく見えるし、いまだにS&Mとかはみんな一流ブランドという認識だしかっこいいですね。
子供の頃は憧れだったサポートライダーに自分がなった時は夢が叶ったと同時に、何をして良いか分からなかったんです。別にサポートしてもらったからかっこいいライディングができるようになるわけでは無いし。ただ本当に色々な人とのコミュニケーションができるようになるのが面白くて、だからみんなサポートライダーになるんだなというを理解しました。

なるほど。モトクロスさんはもちろん、オールシティもBMXとかと同様のサポートライダー文化をちゃんと理解してる感じでいいですね。

そうこうしてるうちに、オールシティの本国の人たちが来日した時に、活動を評価してもらったり、ちょうどアジア人のサポートを検討している時期だったというのもあって、オールシティ本体の方と契約する事になりました。

その後、オールシティがクローズするというので、WILDEのサポートライダーになるわけですね。

オールシティを立ち上げたジェフが独立して作ったのがWILDEで、それに「乗らへんか~?」って連絡がきました(笑)ありがたいことです。
僕をサポートしてWILDEの売上げがどれぐらい上がるかとかではなく、単純に僕のことをフォローしてくれていて、その活動をサポートしてくれているのだと思います。
そして移ってくるにあたって今までサポートしてくれてたところに迷惑がかからないようにしてねって。
BMXの人はビジネスは不得意な分野かもしれないけど、そういう筋を通すということに関してはとてもシビアやからそこは重要なんです。


いま乗っているのはWILDEのラインナップの中でもレース寄りのMean Jean / ミーンジーンっていうモデルなんですね。






そう。そういう名前になったそうです。最初に送られてきた時はまだ名前が無かったと思う。プロトタイプでした。
シーズン初戦として湘南シクロクロスに出た時に、普段はピストに乗ってるであろう青年に声をかけてもらって、このバイクがカッコ良かったから、自分も欲しいと思いましたって言ってもらって本当に嬉しかったです。

そういうの嬉しいですね。
そして、今回届いた新しいフレームは、台湾製ではなくアメリカでハンドメイドされたモデルなんですね。それもレース用のモデル?






そうみたいです。
WILDEは基本的にグラベルもシクロクロスもMTBも、台湾製のプロダクションモデルと、アメリカ製のハンドメイドモデルをラインナップしていて、アメリカ製の方は高級やけど、サイズとか塗装とかもカスタマイズ可能になってます。僕はジオメトリとか詳しくないので、ジェフにおまかせで送られてきました。

価格を抑えたプロダクションモデルと、自由がきくカスタムモデルを同じラインナップで展開するっていうのは先進的な試みですね。高いから良い安いから悪いとかではなく、自分にとって何が必要かっていうので選べる範囲が広いというのはとても良いですね。

WILDEの説明することがあるだろうからラインナップをチェックしてたんですけど、今までの常識とちょっと違っていて、最初はよく分かりませんでしたね(笑) でもフレームを2本送ってくれて、そういう事なんだと理解しました。
ジェフ自身は台湾製のものもハンドメイドイン台湾って表記していて、しっかりプライドを持ってやっている感じなので、どっちが良いとかでは無いんですよ。

最後にそのやばいヘルメットの話を聞きたいです。


はい(笑) バンザイペイントにオーダーしました。バンザイペイントの名前はもう無いから、ペインターの倉科さんにオーダーということになりますね。

バンザイペイントの伝説的な仕事の数々は説明が長くなるので割愛させてもらうけど、ピストブームの前にMTBブームというものがあって、そのムーブメントを作った要因のひとつがバンザイペイントのアートワークだったいうイメージ。俺もリアルタイムで知らないのでイメージですが。
それを今やるっていうのも面白いと思った。

僕の中ではそのアート作品を頭に載せて走ってるイメージですね。傷が付くことも含めて作品になるかなと。

ヘルメットとかジャージとかのデザインまではよくやるけど、アートをっていうのはだいぶ違う感覚ですね。

アートとデザインの違いは大きいです。作ってくれた人はアーティストですが、僕のこのやり方自体はデザインであって、90年代に諸先輩方がやってたことが好きだったからそれをオマージュしているという感じです。それを自分の思ったように表現したいという思いはあります。そのあたりは年の功というか(笑)

BMX歴25年の(笑)
いま自分たちがかっこいいなと思ってやっている事を、もっと昔にすでにやってたMTBの人たちがいるっていう事やんね。

そうですね。そういう先人がいるっていう元ネタ的なことは隠さず話すけど、まねできるならしてみてよ!っていう思いもある(笑)

いいね!
シクロクロスの会場でコッシーを見かけたらそこにも注目して欲しいし、自転車の魅力みたいなものを自転車以外のところと繋げて話せる人が増えて欲しいなと思ってます。今日はありがとうございました。

サークルズさんのメディアを見られる方ってあんまりレースに興味ない方が多いかもしれないですが、僕自身は色々な文化を横断しながら参加して、色々な人と出会ったり話したりするためにレース会場にいるので、機会があればぜひ一度会場まで遊びにきてもらって声かけてもらえればなと思ってます。ありがとうございました!
世界的に著名なライダーのサポートだけでなく、コッシーのようなローカルヒーローをピックアップする事も含めて、自転車文化への愛と献身を感じるWILDEはやっぱり良いメーカーだなと思うのです。
ということで、サークルズではWILDEのプロダクションモデルもカスタムモデルも全てオーダーが可能です。納期や価格についても様々なので詳しくはお問合せください。