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【PIT TIPS】CHRIS KING Gen4 Hubを深掘り

球春到来。
盛り上がるセンバツ高校野球。
19年ぶりの横浜高校優勝、おめでとう!!
開幕する日本プロ野球。
地元、中日は、、、何も言うまい。
本国開幕のメジャーリーグ。
本国初登板、2回KOの佐々木朗希、目に浮かぶ涙。良いね青春だ!!

そんな華やいだ舞台の裏でひっそりとユニフォームを脱いだ希代のバットマン中島宏之。

おじさんには、この世代交代が胸に刺さる(笑)

そう、世代交代と言えば、今日はちょっと前に世代交代したCHRIS KING / Gen4 Hubについて深掘りしようと思います。


そもそも、キングのハブに世代があったの?というご質問も出そうですので、まずはその辺りから掘っていくとしましょう。

左から順に、Gen1 / Gen2 / Gen3 / Gen4

Gen1~Gen4の大まかな説明

実はCHRIS KINGとしては、今回のGen4以外に明確に世代を分けてある訳ではないのですが、我々の解釈で分類するとすればこのような感じになります。

Gen1:R45ハブの発売前のハブがGen1と言われる第一世代となります。ClassicHubやISOもスルーやブーストが誕生する前のハブは、Gen1ですね。

Gen2:ズバリ初期R45ハブがGen2となりノッチ数が72から45になりドライブシェル内の構造が軽量・効率化された世代のハブとなります。

Gen3:スプロケットの多段化・大径化に伴い取り付け方法がXD,XDR,マイクロスプラインなど各メーカーがそれぞれに創意工夫を凝らしている時代のハブになります。

Gen4:今後発売されていくキングハブが、Gen4となっていきます。

Gen4の大まかな変更点は、下記リンクのブログを読んでいただくとわかりやすいかと思いますが、本当にざっくり説明すると「シャフトやドライブシェルが部品の共用化で安くなって、スプロケットの取り付け方法の変更に対応しやすくなりましたよっ」というもので、性能が爆上がりしたとかではないのでご注意ください。

【CHRIS KING】生まれ変わったキングハブ:INTRODUCING THE GEN 4 HUB SYSTEM

それでは、大まかな違いをイメージしたところで、それぞれの違いについてさらに詳しく見ていきましょう。

写真を見て、「おやっ」と思うかもしれませんが、世代変更が行われているのは、シャフトとドライブシェルにまつわる部分。

キングのキングたる所以のリングドライブが内蔵されたハブシェルは、ISOシリーズとR45シリーズでは、ノッチの数が違うだけです。(この言い方は、語弊があるかな?)

さらに、このリングドライブは発売当初から確立された独自機構で、誕生から今日に至るまでその構造は変わらず、その特許が切れた瞬間にどこかで似たようなものが発売されるほどの完成度の高い逸品ゆえに世代交代の必要がなかったと言う事。

まあ、それは別の物語ですね。

というわけで、各世代のディテールに迫ってみます。

Gen1

最も見慣れていて、触り慣れたモデル。

特徴としては、ニードルベアリングがきっちりとシャフトを支え、ドライブシェルの出入り口をしっかりねじ止めの部品(ニードルベアリングシールリング)で押さえることで泥や異物の侵入を防いでいます。

過酷な使用条件であるオフロードはもちろん、オンロード、そして耐久性の求められるツーリングなど全てをカバー出来る逸品です。

Gen2

たぶん日本では最も出回っているであろう、R45とR45D Hubに採用されている機構。

軽量化を進めるために部品点数を減らし、Gen1の特徴であったニードルベアリングとニードルベアリングシールリングを廃止、シャフトを2個のベアリングで支え、そのベアリングの間をR45シリーズの肝であったスペーサースプリングでベアリングにかかる圧を一定にしています。

また、外側のシールの役割をベアリングが兼ねるため異物は侵入しやすくなってしまいますが、工具なしでほぼ分解できますのでメンテナンス性に大変優れます。

Gen3

マイクロスプラインやXDシリーズのスプロケットに対応するためドライブシェルの形状がまちまちの中、シャフトとベアリングの固定を専用のアクスルウェッジで行っているのが特徴です。

この時代は、ISO・ISO Boost・R45などハブの種類に加え、フリーボデイの形状も様々で、部品数が多くなってしまっていた時代です。ただ、世代としては、一番短命でした。

そしてGen4へ

いよいよ肝心のGen4。まずは、ハブの棲み分けが変わります。R45シリーズとISOシリーズに分かれているのは同じですが、ハブスページングで棲み分けされ、R45シリーズが130mm~142mmエンド、ISOが148mm~157mmと分かれております。

同時にISOと言う名前もほぼ姿を消し、Boost・SuperBoostのハブをまとめてMountainと呼ぶようになっております。

そして、今まではそれぞれ別だったドライブシェルの内部構造が統一され、それぞれ30個弱の部品構成のうち約半数の部品を共用、シャフトに取り付けるオーリングも取り付ける場所によらず共通化するなど、部品点数の削減と共用化によるコストダウンを達成しています。

構造的にも進化し、今までR45の難点であった泥や埃への対抗としてエンドキャップとベアリングで防ぐ方式に変更され、ISOの利点でもあり欠点でもあったニードルベアリングは廃止され通常のキングベアリングを採用することで、メンテナンスの向上が図られています。

左がGen4、右がGen3。

そして、個人的にですが「最高!!」と思ったのは、Gen4以前のハブでは、センターロックのディスクローターを外す際、ハブのアジャストクランプを外さなければローターのロックリングを外すことが出来なかったのが、Gen4からはアジャストクランプを外さなくてもディスクのロックリングが外せるようになった点です。

本当に地味なんですが、これメカニックの現場では称賛の声が上がっていること間違いなしです。

今までは出来なかった、R45にXDRボディを取り付けるという組み合わせ。


そしてもう一点、特筆できることは、このGen4のアクスルとドライブシェルのキットは、過去に販売されたキングのそれぞれのハブに使用することが出来ることです。

つまり、販売当時は存在しなかったGen2世代のR45やR45DのXDRやマイクロスプライン化やISOハブのスルーアクスル化など、今お使いのハブがコンポのアップデートをしてもまだ使うことができるようになるのです。

そう、今回のGen4への世代交代は使えば使うほど良くなるキングのベアリングを最良の状態で使い続けることができる、我々ユーザーにとって最高の世代交代となっているのです。

ご自宅に眠るキングのハブ、是非とも引っ張り出して今一度回し始めようではありませんか、手組みホイールの相談も我らがゴリラスパンにお気軽にご相談ください。





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横山誠

ふと気がつくとスポーツバイクと触れ合い始めてもうすぐ30年。 ゆっくり長〜く乗り続けるためのあれやこれやを考察中。 乗るのも、触るのも、直すのも、作るのも、やってます。
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