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【Circles Tokyo】WILDE BICYCLE CO. Supertrampってどんな自転車?

ジオメトリーから見える「遊び方」の違い

新モデルや新カラーが入荷し、注目度が高まっているWILDE BICYCLE CO.

なかでも代表モデル「Supertramp」は、Circles Tokyoでもオーダーが増えており、街なかやトレイルで見かけることが多くなってきました。

お客様からよく聞かれるのが、

「WILDEって、何がそんなに良いんですか?」

という素朴な疑問。

たしかに、見た目はシンプルで無骨なスチールバイク。でも、試乗した人は口を揃えてこう言います。

「とにかく走る」「遊びの幅が広そう」「なんでもできそう」

その理由はどこにあるのか?

今回は、同じく多目的MTBとしてCirclesでも人気の、SURLY Karate Monkeyとの比較を通じて、Supertrampの“乗り味の秘密”を解き明かしていきたいと思います。

【1】なぜこの2台を比べるのか?

両者を比較する理由は、とてもシンプルです。
どちらも「なんでもできるMTB」として設計されており、ツーリングに、バイクパッキングに、日常の通勤に、そしてトレイルライドにも対応可能だからです。

設計思想には違いがあるものの、共通して「1台で多様な遊び方に応えられる」という懐の深さを持っています。

実際にCircles Tokyoでは、「Karate Monkeyとどっちがいいですか?」という相談を受けることも増えてきました。

そこで今回は、スペックだけでなく、実際の走行感や組み方の違いなども含めて、徹底的に比較してみます。

【2】スペックで見る、設計思想の共通点と違い

基本仕様比較

項目SupertrampKarate Monkey
BBシェル73mm73mm
リアエンド規格Boost (148mm)Gnot Boost(142/148/135mm対応)
ヘッドチューブ44mm44mm
タイヤクリアランス29×2.6″29×2.5″ or 27.5×3.0″

両者ともモダンMTBの標準を押さえながらも、多用途での使用を見据えた設計が共通点です。

SupertrampはBoost規格を採用し、リジッドフォークを前提とした現代的ジオメトリー。

対するKarate MonkeyはSURLY独自の「Gnot Boost」によって、142mm・148mm・135mmという旧来規格にも対応できる設計になっており、現代スペックに対する “懐の深さ” が魅力です。

つまり、Supertrampが「今の自転車」を基準にしているとしたら、Karate Monkeyは「過去も未来も包み込む」設計と言えるかもしれません。

【3】ジオメトリーでわかる「乗り味」の違い

(※比較しやすいよう、それぞれのモデルのSサイズを見ていきます。)

ジオメトリー比較(Sサイズ基準)

項目SupertrampKarate Monkey
ヘッドアングル69.5°69°
フォークオフセット50mm47mm
トレイル値約84.3mm約91mm
ヘッドチューブ長130mm100mm
トップチューブ長591mm585mm
チェーンステー長440mm423mm
BBドロップ66mm55mm
タイヤクリアランス最大29×2.6″最大29×2.5″ or 27.5×3.0″

ヘッドアングルとトレイル値で変わる「操作感と安定性」

項目SupertrampKarate Monkey
ヘッドアングル69.5°69°
フォークオフセット50mm47mm
トレイル値約84.3mm約91mm

一見するとわずかな差に思えるこの数値。けれど、実際の走りには明確な違いが出てきます。

Supertrampは、トレイル値が小さめでハンドリングがやや軽快。都市部の信号待ちや曲がり角でも扱いやすく、「マルチに使いたい人」には理想的なセッティング。

一方、Karate Monkeyは大きめのトレイル値により、「どっしりとした直進安定性」を持っています。これはトレイルの下り坂や、ラフな路面での安心感につながる設計になっています。

この違いが、乗った瞬間の“フィーリング”を大きく左右します。

ヘッドチューブ長が導く「姿勢」と「疲労感」

項目SupertrampKarate Monkey
ヘッドチューブ長(Sサイズ)130mm100mm

Supertrampは長めのヘッドチューブ(130mm)により、自然と上体が起き、視界も広くリラックスしたポジションが取れます。
これはツーリングや街乗りなど、長時間のライドにおいて非常に大きな利点です。

対してKarate Monkeyは、より深い前傾姿勢となり、反応の速さや車体との一体感を重視した設計。
トレイルでの俊敏な操作を求める方には、まさに理想的な仕様です。

トップチューブ長とハンドリングの工夫

トップチューブ長は両車とも大きな差はないのですが、Supertrampにはショートステムとワイドハンドル(WILDE × NITTO Country Bar)を組み合わせました。

このセットアップにより、「安定性」と「クイックな操作性」のバランスを実現。バックスウィープの効いたハンドルは手首への負担も少なく、長距離でも疲れにくい仕様となっています。

しっかり上体を起こして快適にクルージングもできるし、ダートツーリングで訪れるちょっとしたトレイルの下りも難なくこなせる安心感も体感できると思います。

【4】“積載力”という隠れた設計意図

チェーンステー長と積載バランス

項目SupertrampKarate Monkey
チェーンステー長440mm423mm

Supertrampの長めなチェーンステーは、ラックやパニアバッグを装着する際のバランスをとりやすく、リアの挙動も安定。
とくにフェンダークリアランスや荷物との干渉回避という点で大きなメリットがあります。

今回展示車に組んだHonjo Flat80フェンダー+29×2.4のTERAVAIL Honchoのように、「太いタイヤ+フルフェンダー」を組み合わせた旅仕様にも対応する懐の深さ。

Karate Monkeyのほうが「よりトレイル遊びに特化した」リア周りの取り回し感がある反面、積載時にはややバランスを取りにくくなる場面もあるかもしれません。

タイヤは走破性抜群のTERAVAIL Honcho Lite & Suppleの29 x 2.4″をアッセンブル。極太タイヤに極太フェンダー。

【5】数値に現れない「乗り味の質感」

シート角とBBドロップが変える“漕ぎ出し”と“カーブの感覚”

項目SupertrampKarate Monkey
シートチューブ角73.5°73°
BBドロップ66mm55mm

SupertrampのBBドロップ66mmは、ライダーの重心を低く保ち、カーブやダウンヒルでの安定性を感じさせてくれます。

また、BBが低いということは、「地面と仲良くなる感覚」があるということ。ロードでも林道でも、安心してスピードを乗せられる要素です。

シート角が立ち気味なのも特徴で、ダートでもスムーズな踏み出しとペダリング効率の良さを感じることができます。

【6】使い方に合わせて選ぶ一台を

ここまで見てきたように、数値だけを見ると大きく違わないように見える2台ですが、実際の乗り味は明確に違います。

使い方の傾向SupertrampKarate Monkey
ツーリング向き
街乗り
トレイルでの遊び
積載
ポジションの楽さ
ハンドリングの鋭さ

Supertrampは、快適、安定性重視のダートツーリングに強く、長い距離走っても疲れにくく、リラックスポジションで街乗りでも使いやすい。日常使いからダートツーリングまで幅広い引き出しを持つ多目的MTB。

Karate Monkeyは、クイックな操作性、アグレッシブなライドが可能。かつ、ショートツーリング用としても対応できるスペック。
よりトレイル遊びに特化した多目的MTB。

【7】あなたの“遊び方”に寄り添うバイクを選ぼう

どちらも多目的MTBとして非常に完成度の高いモデルです。

どんな使い方を中心に据えたいのか。
あなたの「遊び方」に寄り添ってくれる一台を見つけることが、バイクとの豊かな関係を育む第一歩になります。

Supertrampは「引き出しが多く、懐の深い相棒」

Karate Monkeyは「遊びに尖った、頼れる戦友」

自転車は単なる移動手段ではなく、遊びのスタイルを映す鏡のような存在だといえるかもしれません。

Circles Tokyoでは、実際にWILDE Supertrampの試乗車をご用意しています。記事を読んで気になった方は、ぜひ一度乗って、その違いを肌で感じてみてください。

スペックでは語りきれない“相性”というものが、バイクにはたしかにあります。その感覚こそが、あなたとバイクの新しい物語のはじまりになるのかもしれません。

FrameWILDE Supertramp Msize
HeadsetCHRIS KING InSet 7 + CHRIS KING Baseplate Devolution
HandleWILDE BICYCLE CO. Nitto Country Bar
StemNITTO MT-8
CrankWHITE INDUSTRIES M30 Cranks
TireTERAVAIL Honcho Lite & Supple 29 x 2.4
RimASTRAL CYCLING Outback Rim
HubSHIMANO DEORE XT
Main GroupSHIMANO DEORE XT
SaddleBROOKS SWALLOW
SeatpostCANE CREEK ee SILK+ ALLOY
Seatpost CollarCHRIS KING King Seatpost Collar
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ishikawa
石川 大稀

学生時代は野球に没頭。球際の強さに定評あり。 アパレル企業に就職後、販売員、本社人事を経て現在Circles Tokyoへ。 自転車は勿論、服、音楽、家具、植物、ローカル飯、好きです。 その土地の面白いことや店、美味しい食、そこでしか見れない景色、空気を感じるライドが好きです。
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