”遊び”を設計図から読み解く
WILDE BICYCLE CO.の中で、最も“悪ふざけが真剣”なフレーム、それがDark Star。
このハードテールは、どこまでも走れて、どこまでも笑える。
その秘密は、見た目ではなく、その奥にある設計思想に詰まっているのです。
さて、今回も恒例の「ジオメトリーから読み解くシリーズ」、始めていきましょう。

「今、なぜハードテールなのか?」という問いから始めよう
バイクパッキング、トレイルライド、ジャンプ、街乗り、そして時には押し歩き。現代のライドスタイルは、どんどん境界を超え、自由に混ざり合ってきています。
そんな今、WILDEはあえて「ちょっとイナたいけど、ずっと楽しい」ハードテールという選択肢を、見事に現代的にアップデートしてきました。それがDark Starです。

66.5°のヘッドアングル──下りでの“イケる感”を演出する角度
Dark Starのフロントまわりは、66.5°というしっかりと寝たヘッドアングルで設計されています。「ちょっと寝すぎでは?」と古くからのライダーなら思うかもしれませんが、これは130mmトラベルのサスペンションフォークを基準に設計されたもの。
現代的なトレイルジオメトリーがもたらす恩恵は絶大で、
「うおお、イケるぞ!」と思えるあの瞬間を、この角度がしっかり支えてくれます。
しかも、フルサスのように頼りすぎない。自分のスキルで遊ぶ余白がある。その“ちょうど良さ”こそが、このバイクの醍醐味です。

74.5°のシートアングル──漕ぎのキレと登坂力
一方で、シートアングルは74.5°とかなり立っています。
これは、「登れるハードテール」であることを強く意識した設計です。
ペダルに力をかけた瞬間に反応し、長距離でも疲れにくい。
荷物を積んでもペダリング姿勢が崩れにくく、バイクパッキングとの相性も良好。
実際に走れば、脚の回転がスムーズで、漕ぎ続けたくなる感覚を味わえるはずです。

425〜440mmのチェーンステイ──“自分のリア”を選べる喜び
Dark Starのユニークなポイントのひとつが、スライダーエンドによってチェーンステイ長を可変できること。
最短425mmでクイックな乗り味、最長440mmで安定感重視のセッティングが可能です。
これはつまり、シングルスピードにもギア付きツアラーにも対応可能ということ。
リアセンターの変化によって「こんなにも性格が変わるのか!」と実感できる一台です。


最大29×2.6インチまで対応──走破性と遊びの幅を担保する
Dark Starは、最大29×2.6インチのタイヤまで装着可能な余裕の設計。
これは、トレイルライドにおける浮遊感や安心感を高めるだけでなく、バイクパッキングなど荷物を積んだ状態での走破性にも貢献します。
さらに、専用の“Future Proof Fork”との組み合わせも魅力的。
ラック・フェンダー対応で、ロングツーリング仕様にも仕立てることができます。

“Future Proof”──10年後の自分も乗れる設計
Future Proof=未来への備え。
Dark Starは、その名の通り「時代に取り残されない設計」を持っています。
- ハブはBoost規格
- BBはBSAスレッド(ねじ切り)
- UDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)対応
- ドロッパーポストは内部ルーティング仕様
そして、素材はクラシックなスチール。
普遍的なものと最新の技術が共存するこの設計こそ、Dark Starの真骨頂です。

で、実際にどうなの?──Stumpjumperから乗り換えた人の声
Wilde本家のサイトでのレビューでは、こんなものがありました。
「Stumpjumper(フルサス)から乗り換えて、もう戻れない。よく走るし、手がかかる感じがまた楽しい。」
フルサスからのステップダウンではなく、“選んでハードテールに戻る”という価値、Dark Starは、それを体現できるバイクです。

設計図は、感性に従って描かれる
Dark Starのジオメトリーを見ていると、ただの設計ではなく「感性の表現」に思えてきます。
数値が語るのは性能だけでなく、どんなふうに遊びたいかという気持ちそのもの。
このバイクは、ただの移動手段ではありません。
乗る人の“あそび心”を引き出すために、図面の段階から遊びが仕込まれている。そう断言できます。
興味が湧いたら、Circles TokyoかNagoyaに遊びにきてください。
Dark Starと一緒に、あなたの“設計図にない冒険”が始まるかもしれません。