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「週刊 球体の作りかた」Vol.1

「グローバルとローカルの間で」

こんにちは、Circlesの田中です。
遅くなりましたが、みなさま明けましておめでとうございます。本年もCirclesファミリーをどうぞよろしくお願いいたします。

昨年からの怒涛の動きの中で、日本国内から海外までさまざまな地域を訪れ、その行く先々で「今の現状はどんな感じなの」「あなたは今、何を考えているの」「これから何をしたいの」という率直な質問を受けました。これらに正面から答える場が必要だと感じ、久しぶりにブログを再開することにしました。その名も「週刊 球体の作りかた」。可能な限り毎週、CirclesやSimWorksの取り組み、そして私自身が日々考えていることや感じたことをみなさまと共有していきたいと思います。

変化の中で求められる挑戦

最近、わたしたちCirclesグループは国内市場の成熟と同時に、その限界を感じながら次なる展開を見据えた挑戦を進めています。その一環として、新たな市場・分野への開拓、アメリカでのリテール事業の開始、さらにはメーカーとしてのグローバルな展開を目指し、日々奮闘しています。

これまでの道のりは、ローカルなつながりと信頼関係に支えられてきました。この経験値を活かしつつ、グローバルな市場にどう展開するのか――そこには課題と可能性が混在しています。とりわけ、地域ごとに異なる文化や価値観を理解し、乗り越えることが鍵となります。

たとえば、日本では「丁寧さ」や「手仕事」が高く評価される一方、海外では「革新性」や「スピード感」が重視される場合があります。どちらの視点も尊重しながら、製品の背景にある物語をどう伝えるべきか。これを優先的に考えています。

グローバル市場での学び

昨年からアメリカでのリテール事業に注力する中で、私たちは多くの発見を経験しました。アメリカのお客様は製品そのものだけでなく、その背景にあるストーリーにも大きな興味を持っています。これは「物語の力」が国を超えて通じる可能性を示しています。

一方で、市場ごとに求められるアプローチの違いも明確に感じました。日本では「お客様との信頼関係を築くプロセス」が重視されますが、アメリカでは「迅速な対応」と「具体的な価値の提示」が重要とされます。こうした違いを理解しながら、わたしたちの哲学をグローバル市場にどう適応させるかが問われています。

SimWorksの挑戦

SimWorksの製品は、日東や本所工研といった職人たちの手仕事やデザイン哲学、さらには日本の文化的価値観が凝縮された「民藝品」です。この「民藝」の精神をいかに海外市場に届けるか。それが今後の最大の課題であり、同時に大きなチャンスです。

https://sim-works.com/news/nitto-mingei

少し前にうちの木村くんに書いてもらった、日東の精神と民藝についてのブログ で書かれている通り、SimWorksのハンドルバーやステム、フェンダーなどが単なる自転車パーツではなく、その背景にある物語を共有できるツールであることを、海外のお客様にも感じてもらいたいと考えています。そのためには、製品そのものの魅力だけでなく、それを取り巻く文化や価値観をどう伝えるかが重要です。

昨年、MADEに参加した際、アメリカの多くのお客様や自転車店のオーナー、バイヤーと直接話をする機会がありました。その中で気づいたのは、「日本発」の商品が持つユニークな独自性が高く評価される一方で、それを理解するための情報がまだまだ不足しているという点でした。私たちは、製品の背景や製造プロセスを、より丁寧に説明し、共有する努力が必要だと痛感しました。

ローカルの力を信じて

一方で、わたしたちは「ローカル」の価値を何よりも大切にしていきたいと考えています。Circlesは、名古屋という街で生まれ、育ちましたが、この街でサイクリストのお客様と顔を合わせ、リアルなつながりを築いてきた経験が、わたしたちのすべての活動の基盤になっています。

たとえば、地元でのイベントやグループライド、ワークショップなどを通じて生まれるコミュニティの力。このローカルな直接的なつながりから多くのインスピレーションを得ていることは紛れもない事実であり、一緒に時間を過ごすサイクリストや遊び人たちからの率直なフィードバックや何気ない会話の中に、次の製品やサービスのヒントが隠れていることが多くあります。

また名古屋の市中で、わたしたちの製品を使ってくれているお客様を見かけるたびに感じるのは、「ローカルがあるからこそ、グローバルに挑戦できる」という確信です。この街で築いた信頼関係が、私たちをどこにいても支えてくれる。だからこそ、ローカルを本気で大切にし続けたいと思っているのです。

ローカルとグローバルをつなぐストーリー

グローバル市場での成功を目指しつつ、ローカルな価値を守り続ける。この両立は簡単ではありませんが、「ローカルとグローバルをつなぐストーリー」を紡ぎ続けることがわたしたちの使命です。商品がどこで、どのように作られたのか。そこに込められた思いや哲学を伝えることで、わたしたちの価値観が広がっていくことを信じています。

これからもCirclesやSimWorksは、ローカルから始まり、グローバルへと広がっていくストーリーを紡ぎ続けます。そして、そのプロセスを通じて、日本と世界をつなぐ架け橋になれるよう努力を続けます。このブログもその一部として、みなさんと考えを共有する場にしていきたいと思います。

それでは、また来週お会いしましょう!

Circles 田中

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kyutai
田中 慎也

空転する思いと考えを自転出来るところまで押し上げてみた2006年。自転し始めたその空間は更なる求心力を持ちより多く、より高くへと僕を運んでいくのだろうか。多くの仲間に支えられ、助けられて回り続ける回転はローリングストーンズの様に生き長らえることができるのならば素直にとても嬉しいのです。既成概念をぶっ飛ばしてあなただけの自転力に置き換えてくれるのなら僕は何時でも一緒に漕ぎ進めていきたいと思っているのだから。
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