待望のデータブックが入荷しました!!
“自転車及び部品・アクセサリーデザインの100年”と名付けられたこの本は、古いヨーロッパの自転車資料(カタログ・雑誌など)からデザイン画や記事を拾い出して本にしたものです。
この蒐集を行ったのは大阪の城東輪業社の当時の社長さん。
個人的に集められたものを4冊の冊子にして会員さんに配ったものがとても評判がよく、それではと一冊の本にまとめたもので、昭和58年に発行されています。
その後日本では残念ながら発行されておらず、現在はアメリカ・サンフランシスコのパブリッシャーが著者のご息女の協力を得て発行しています。
先ごろ話題になったポートランドのビルダー、ブルース・ゴードンによるハンドル”Page 186“はこの本の186ページに出ているハンドルのデザインを使ったものです。
(訂正:ブルースゴードンはもともとオレゴンのフレームビルダーでしたが、現在ブルース・ゴードン・サイクルズはカリフォルニアにあります。)
その他にもどう見てもBobのYakのようなトレーラーがあったり、サスペンションフォークが出ていたりと元ネタ的な探し方も面白いですが、ブルース・ゴードンのように多大なリスペクトを表明しつつ新しいアイデアに結びつけるといったモノづくりのアイデアソースとなりえる本でもあります。
この本のコンセプトは「温故知新」。
見ているとアイデアというものには新しいも古いもないんだなと思います。
大切なのはそのアイデアを形にすること。
ここに出ているモノたちは実際にパーツメーカーによって作られ、カタログにするために描かれたものたちです。
先日紹介したRETRO SHIFTはポートランドの自転車乗りが紙ナプキンに書いたアイデアをビルダー、マーク・ディヌッチ(フレームビルダーでブルースゴードンと並ぶオリジネイターの一人)の協力を得て形にしたもの。
現代の大きな自転車産業の中ではこのようなアイデアは小さなコミュニティが形にしていくものかもしれません。
だからこそブルース・ゴードンをはじめとするビルダーたちのバイブルであり得るわけで、それは日本で作っている人も同じ。
この本を作ったのは日本人、この本に出てくるものを作ったのはイギリスやフランスの人たち、この本を発行しているのはアメリカ人、
タイムラグがあるけれど確実にシンクロしています。
もうすぐNAHBS、年々日本でも注目度が上がっていますが、そんなシンクロニシティをもって見てみたいものです。
家でゆっくり見ようと思う。みんながNAHBSに行っている間にね。