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コペンハーゲンで見た光景 ~ツール・ド・フランス探訪~

つい先日、電車に乗り込んだ際に浴衣を着たアベックを見かけました。
夏祭りへ向かうことは容易に想像ができましたが、浴衣なんて久々にみた気がします。
確かに今年はねぶた祭が3年ぶりに開催されたりと徐々にハレの日が増えつつありますよね。

自転車の世界にもその非日常な空間や熱狂から「祭」と形容されるイベントがあります。
世界最高峰のロードレースであり、サイクリストの祭典、ツール・ド・フランス(以下TDF)。

咀嚼しすぎた説明をすると、総距離約3000kmを約3週間かけて連日走破し、勝者を決めるというレースです。
ストレートに訳せば「フランス1周」なのですが、レースの開幕地はフランス国外から選出される事も多く、2022年はデンマークの首都、コペンハーゲンよりスタートしました。

そしてなんと縁あって、TDFに帯同する機会を得た私はコペンハーゲンに数日滞在できることに。 レースはもちろんですが、そこで目にした自転車文化が素晴らしかったので少し紹介させてください。

サイクルフレンドリーな都市

ちょっと固い話が続きますが、しばしお付き合いを。

デンマークの自転車文化は古く、1920-1930年にかけて利用者が増加。 コペンハーゲンなどの都市部では主に通勤の足として使われていたそうです。

経済成長著しかった1950年代には自動車やモーターバイクを利用する人が増え、やや下火になったものの、1970年代のオイルショックをきっかけに燃料費が高騰。自動車による交通事故減少への訴えも相まり、自転車の価値が見直されだします。

やがて1980年には安全でエコノミーな都市を目指し、自転車交通インフラの整備に力が注がれました。 さらにその後も低炭素社会を望む気運や健康志向の高まりから、現在も自転車利用を推進する政策が多数進められています。

コペンハーゲンの交通インフラ

デンマークでは自転車専用の「高速道路」や「橋」が建設されたりとインパクトのある整備の話題が目立ちますが、もう一方で、当たり前のように自転車専用レーンが途切れなく続いている景色に驚きました。

コペンハーゲンの道路は以下のようにエリアが設けられていて、自転車も専用レーンを利用しての移動になります。

DANISH CYCLING KNOW-HOWより

さらにコペンハーゲンの信号機には「グリーンウェーブ」という道路状況を考慮しながら、横断のタイミングをコントロールするシステムが採用されています。要は赤信号で止まる回数を減らしてくれるんです。

車、自転車の流れを効果的にコントロールするだけでなく、車両の停車回数を減らすことは、事故の発生を抑える効果があるとも言われてます。
信号機にはさらに新しいシステムが導入され続けていて、2025年には自転車の移動時間を10%短縮する見込みがあります。

事故なくロスなく目的地にたどり着けるのはいいですよね。
街の移動手段は自転車がベストだからこそ、あらゆる人が利用しています。

Way of life


通勤、買い物、家族との移動、etc 自転車レーンには生活する人が多数行き交っています。

そして、彼らの乗る自転車の多くは生活の道具としての特徴が出ていて美しい。
天気の崩れやすい土地柄、マッドガードは必須な模様。ほとんどの自転車についていました。


乗り手の要求に応えたカスタムを提案しているバイクショップも多数あります。

今回は尋ねる事は出来ませんでしたが、Hr. Véloのようなショップが手がけた美しいバイクが街にあふれています。
意味を持つ自転車はかっこいい。

終わりに

今回、自転車を使った「競争」を観に来たが、自転車を最大限活用した「生活」を見せつけられました。
TDF開催にあたり、デンマークサイドも「全世界の人々を招待し、サイクリングが生活の一部となっているこの国を体験してもらう」と述べていました。

生きるために手がけた「自転車を推進する環境」が成熟し、豊かさの象徴とも言える競技を招致することができた。
そして、その街を最先端の自転車が駆け巡った。感慨深いです。
特異なバックボーンがあってこその「自転車」と「街」の関係性ではありますが、自転車があるべき場所で走っている。

自転車に携わる者としては最高に美しい光景を見せてもらった気がします。

@A.S.O/Pauline Ballet

名古屋の皆さんにお知らせ

僕たちが住むここ名古屋市も自転車移動が効果的で日常生活の足として利用している人がたくさんいます。
ただもう少し安心して道を走ることができたら、、、と思ってしまうのも現実です。
市は自転車道、自転車レーンの整備に意思を見せますが、まだ不安の残る道も多く、早急な整備エリアの拡大が望まれます。

そんな名古屋では毎月最終金曜日にCRITICAL MASSが開催されています。
みんなで集まって街を集団走行するクリティカルマスの目的は自転車が安全に走れる環境を得ること。
永く安全に自転車に乗っていくために、願いを意思や行動として表すことが大切です。
自転車に乗るみんなで自転車の未来を少しでもいい方向に進めていきませんか??


参考

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kodama
小玉凌

サークルズの裏方 冬はCXを嗜みます
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