小さな時からすごく不思議に思っていたことがありました。
「そっちに出ると危ないよ!」
道端で遊んでいる時に、親によく言われた言葉。
そちら側は車の世界。こっち側は自分達が遊んでいい世界。
道路に敷かれた白い線で二つに分断された世界。
世界にはいろいろな線(それは目に見えたり、見えなかったりする)が引かれていて、そこにはたくさんの分断があるということを、大人になりながら知ったのですが、道路の白線が自分が認識した最初の分断かもしれません。
道路は誰のもの?
道路は誰のものでもない、とても公共的なものです。誰もが使用する権利があり、誰もがそこにいる権利がある。
そして自転車に乗っている我々もそれを使用する権利があります。
しかし自転車という乗り物は、とても立場が弱い乗り物です。生身で、モーターのような動力もなく、スピードも遅い。そういう乗り物である自転車の認知や権利を守っていく活動を “クリティカルマス( Critical Mass ) ” と言います。
今回は名古屋のメッセンジャーカンパニーの Daisy Messenger イズルさんがクリティカルマスについて寄稿文を寄せてくれました。
サークルズでもとても応援し、参加したいイベントだと思っていますので、ぜひみなさんもご参加を!
もし興味を持ってくれたなら、こちらをご覧ください。名古屋だけでなく、全国各地でクリティカルマスは行われています。
WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS
こんにちは!名古屋唯一の自転車便、デイジーメッセンジャーのイズルです!今日も名古屋のあちこち走り回ってる私たちですが、デイジーでは来る6月3日、4日に NagoyaLOCO というイベントを行います。
これは今年9月に横浜で開催される CMWC ( Cycle Messenger World Championship ):メッセンジャー世界選手権)を盛り上げようと全国のメッセンジャーが集まって行う前哨イベントです。
Nagoya LOCOのコンテンツの中でも私たちが一番重要と位置付けてるのが “クリティカルマス / CRITICAL MASS ” です。
クリティカルマス / CRITICAL MASS とは?
クリティカルマスは世界中の多くの都市で自転車利用者の集団抗議運動と考えられています。
非公式でリーダーのいない、参加者が声をあげる自然発生のセレブレーションです。これは組織的な抗議活動のように警察への事前通知を必要としないことを意味します。
目的はシンプル、自動車から道路空間を取り戻すこと。クリティカルマスで自転車が街に溢れ出す、ほんの少しの間だけでも。
私たちメッセンジャーには成功体験みたいなのがあって、それはだいぶ古い話なのですが、1987年のニューヨークで大通りから自転車を締め出そうとした市長案に反対する6人のメッセンジャーが始めた自転車デモが1000人規模になり、最終的にその案は無くなったこと。
ハンガリーのブダペストで街中を毎年数万人の自転車利用者が走る I BIKE BUDAPEST という自転車のパレードは、2001年にブダペストで行われたメッセンジャー世界選 : CMWCでのクリティカルマスが始まりだということ。
もちろんそれらの行動はメッセンジャーだけで成り立つものではありません。そこには少数のメッセンジャー以上に多くの市民の参加がありました。
“ 道路 ” は誰のもの?
現在の交通社会は残念ながらクルマの視点から作られています。自転車の視点から見る私たちの街は、もっと空は広くて、もっと緑は激しい緑色で、匂いがあって、鳥や虫の音、子供達や大人達の声がして、夏の雨はシャワーで、冬の風は心を削り、ちょっとした坂で降りたくなる時もある。
それでも、それでもやっぱりまた自転車に乗りたくなる。そんなふうに多くの人が自転車に乗ることができるような道路構造になって、そこに安全を担保する仕組みを作りたい、それが私たちの願いです。
私たちは今、この日本の社会の中で自転車をこの先どのようにとらえていくか、その分岐点にいると思います。
皆さんの助けが必要です。クリティカルマスに参加することもSNSで連帯を示すことも大きな助けになります。そして何よりのリトルヘルプは自転車を、道路を走る権利主体として、1人でも多くの人が認識することです。