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【ZODIAC BAGGAGE】背負うは鞄のみならず。

Words By Izuru Shimasaki from Daisy Messenger

「メッセンジャーとして走っているときに使いたかったと僕自身思っているよ」Trevor Beanes

やたら沢山のものが入る、体にぴったりフィットする、完全とは言えないが防水性が高い。
メッセンジャーバッグの大きな特徴といえばこんなところ。そしてその歴史は当然ながらメッセンジャーの仕事に直結している。

メッセンジャーバッグとは

文字通りメッセンジャーが使うバッグであり、この場合のメッセンジャーとはバイシクルメッセンジャーを指し、都市内で書類/荷物を自転車で即日配達することで収入を得る人を指す。戦後ネイションからグローバルまで広がるサプライチェーンへと収斂していく経済の中で必要とされた法的文書や決済文書を運ぶために使われたメッセンジャーバッグの原点がDe Martiniが作るキャンバス生地のショルダーバッグであった。70年代の事である。

彼がメッセンジャーバッグの最初の道筋をつけた後、サンフランシスコのEric Zoは80年代に自身も属するメッセンジャーコミュニティにとって現在まで必要不可欠となる構造のバッグを生み出す。Zoのバッグはソリッド極まりないものだったが、運ぶ荷物の種類を大きく変えたその後のコンピューターやブロードバンド環境の発達、それらに全て対応するものではなかったため、さらなるイノベーションの機会を後進のメッセンジャーバッグ製作者に与えたと言える。

トロントのPac DesignsやフィラデルフィアのReload Baggageをはじめとするいくつかのメーカーがローカルだけではなく世界中のメッセンジャーからのオーダーをこなすようになると同時にそれらのバッグを修理したり、様々な町の特別な事情に合わせたスペックのバッグを作る製作者も増え、今では特徴のあるメッセンジャーバッグ製作者が世界各国、各都市に存在している。

バイシクルカルチャーとメッセンジャーカルチャーのクロスオーバー

メッセンジャーバッグが生まれた70年代はサブカルチャーに勢いがあった時代、それまでの権威的なものに相対するアクションとしてヒッピーカルチャーやパンクロックがあったし、Circlesとも馴染みの深いメーカー、クリスキングのボスのクリスも70年代にオースティンでメッセンジャーをしていたと本人から聞いた。

猛烈な勢いで権威的なものへと突き進む車産業へのカウンターとして自転車を遊びや生活のスタイルとして選ぶ人が増え、メッセンジャーカルチャーともクロスオーバーするようになったのは90年代だろうか。ちょうどサンフランシスコのクリティカルマスは1992年に始まっているし、メッセンジャーのカルチャーも90年代に世界規模の盛り上がりを見せ、最初のCMWC(Cycle Messenger World Championship)は1993年にベルリンで開催された。

バイシクルカルチャーとメッセンジャーカルチャーのクロスオーバーは現在でもずっと続いていて、今ではメッセンジャーバッグを背負って学校に行ったり通勤したりっていうのはなんでもない普通の光景になったし、そしてそのメッセンジャーバッグがワールドワイドなサイクリングコミュニティの誰かの手によって作られたものだとしたら、それはもう自分の街でシクロクロスのワールドカップがあるのと同じイメージで、嬉しくなってしまうのだ。

From San Francisco – ZODIAC BAGGAGE

ZODIAC BAGGAGEのホーム、サンフランシスコは古くからメッセンジャーが多い都市。そのメッセンジャーコミュニティは強固で、彼らは組合を持ち、傷病者のためのファンドを運営し、Zineも発行している。そのコミュニティに属していたTrevor BeanesがスタートしたZODIAC BAGGAGEはそれまでのメッセンジャーコミュニティに欠かせなかったバッグの歴史を踏襲しているのみならず、彼自身がメッセンジャーとして走ってきた事によるフィードバックをふんだんに盛り込んでいる。


Fully loaded! 大きな手提げカバンが何個も収まる容量です。

スリングタイプのバッグには、大きくて形もいびつな荷物のためのサスペンションストラップと背面のパネルパッド、両肩で重さを分散するためのXストラップ(Lサイズのみ)など、昔ながらのドキュメントだけでなく、さらに多種多様な荷物に幅広く対応している。

そして、モダンメッセンジャーコミュニティが生み出したと言ってもいいロールトップ型バッグは、Trevorがメッセンジャーとして一番使っていたタイプのバッグで、彼のメッセンジャーコミュニティにおける師であるFREIGHT BAGGAGEのロールトップを踏襲したデザイン。

さらに彼独自のアイデアを元に施されたユニークな改良、すなわち、ゴアテックスでシームラッピングされたインナーターポリンが内部で独立している独自構造が雨の侵入を防ぎ、ダブルレイヤーのバックパネルとインサートが荷物の体への干渉を防ぐと同時にバッグのフォームを常に安定させる。といった特徴がある。

メッセンジャーはひとりロードノイズを聞きながら、花の匂いや落ち葉の踏みごこちを感じて、暑さに悶え、寒さや雨風に対峙し、トラフィックに突っ込んでいく。それゆえ仲間を大事にし、毎日を楽しんでいる。そうしたライフスタイルを通じて得たものを、コーデュラナイロンやテント生地、シートベルトなどの工業製品を組み合わせてバッグとして作り出したもの。それはメッセンジャーバッグというひとつのアートフォームで、同時にメッセンジャーバッグを他のどんなバッグよりポップなものにしている理由なんだ、と。

で、何が言いたいかというとサンフランシスコのメッセンジャーが作るスリングは横長ってこと。そしてトレバーが作るロールトップはコミュニティの歴史が詰まっているということ。あと、ロールトップ、スリングともにLargeサイズがプロメッセンジャーサイズだ(著者もLサイズを使用しています)。


サークルズでは、サンフランシスコのメッセンジャー&バイシクルコミュニティに属するトレバー・ビーンズが1マン2ハンドで生み出す ZODIAC BAGGAGE / ゾディアック バゲージ の取り扱いを開始しました。

定番のスリングタイプとロールトップタイプがそれぞれサイズとカラー豊富にラインナップされています。

【ZODIAC BAGGAGE】 Sling Messenger Bag

S : 44,550円
M : 47,850円
L : 52,250円
(価格は全て税込価格です)

【ZODIAC BAGGAGE】 Roll Top Messenger Bag

XS : 47,580円
S : 51,150円
M : 55,550円
L : 58,850円
(価格は全て税込価格です)

雨の日も風の日も雪の日も、街の中を駆け巡るメッセンジャーが使用し続けるのに耐えうる堅牢な作りのバッグ、是非お近くの方は店頭で手に取ってみてください。ロールトップメッセンジャーバッグはデイジーメッセンジャーにも在庫がございます。

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名古屋の自転車屋、Circlesです。This is Circles Bike shop in Nagoya Japan.
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