CHRIS KING / GRD23 クリスキングホイールはどのようにレビューされたか

クリスキングのブランド名を冠した初のカーボン製グラベルホイールセットをレビュー。
一見なんの変哲もなく、ロゴのグラフィックも控えめで、ハブのカラーでクリスキングのそれと気づかなければ、見過ごしてしまいそうなホイール。

クリスキングの長いモノづくりの歴史から生まれたこのホイールには、いったいどんな思想と信念がこめられているのか。そして肝心の乗り味は?

今回は CyclingTips に投稿された記事を翻訳してご紹介します。


CHRIS KING GRD23 R45D CARBON GRAVEL WHEELSET REVIEW: BUILT FOR THE LONG HAUL

引用元:CHRIS KING GRD23 R45D CARBON GRAVEL WHEELSET REVIEW: BUILT FOR THE LONG HAUL

ホイールセットの特徴:
熱可塑性カーボンファイバーリム、内幅23mm、クリスキングR45D Centerlockハブ、Sapim CX-Rayスポーク、オプションでクリスキング製セラミックベアリングにアップグレード可能、生涯保証。

重量:
1,505g(フロント698g、リア807g)※チューブレステープとバルブ装着時

価格:
JP¥352,000、US$2,650、AU$3,990、£3,000、€3,100(ステンレス・スチール・ベアリング使用時)。

長所:
滑らかな乗り心地、クリスキングのベアリングの耐久性、リサイクル可能なリム素材、豊富なハブカラー、手厚い保証。

短所:
高価、他のトップメーカーより重い。

クリスキングは1991年からハブの販売を開始し、約10年前から Zipp、ENVE、HED、NoTubes のリムを使用したホイールセットも販売しています。そして、2022年に入ってから、ついに自社製リムを使用した完組ホイールの販売を開始しました。

オールラウンドなトレイル・ライディング向けの MTN30(27.5″と29″の両方をラインナップ)と、グラベルに特化した GRD23(700cのみ)の2モデルをマーケットに打ち出しました。どちらもカーボンモデルですが、一般的に使用されている熱硬化性樹脂のカーボンリムに代わりに、クリスキングは熱可塑性樹脂のカーボンリムを使用しています。これらのリムは、クリスキングのためにユタ州のCSSコンポジットが製造しており、同社は「FusionFiber」というブランド名で、Revel、Evil、Knight Composites、Atomik のリムも製造しています。

なぜ熱可塑性なのか?

従来のカーボンコンポジット素材は、炭素繊維を熱硬化性樹脂で固めています。一方、熱可塑性樹脂は、再溶解が可能です。また、熱硬化性樹脂よりももろいため、衝撃を吸収する柔軟なリムを作ることができます。また、少なくとも理論上は、破損したリムを切り刻んで溶かし、別の熱可塑性樹脂の部品に作り変えることもできます。

GRD23のリムは、実は Revel の FusionFiber リムと同じ形状で、内幅23mm、外幅29mm、深さ24mmと浅く、クリスキングも同じ金型を使用していることを公言しています。そのため、GRD23もETRTOの最新ガイドラインである「チューブレス・ストレートサイド」に準拠したフックレス形式を採用しています。クリスキングによれば、幅28〜50mm のタイヤ用に設計されており、リムの重量は404gとされています。現在、GRD23は700cホイールのみの展開となっています。

リムの形状は他のブランドと共通ですが、クリスキング社のデザイン&イベントマネージャーであるジェイ・シシップは、製造工程はクリスキング独自のものであると言います。

「私たちはグラベルで優れた性能を発揮し、ロードでも並外れた性能を発揮するリムを求めていました。素材の積層は独自のものです。700cグラベル/オールラウンドリムに求められる乗り心地と特性を実現するために、4つのバージョンを開発しました。
また、FusionFiberの熱可塑性技術によるチューナビリティ、耐久性、リサイクル性(米国製であること)を備えることによって、このリムは間違いのないものとなりました。」

GRD23のホイールセットには、当然ながらですが、定評のあるR45Dセンターロックハブが採用されています。リムには通常のスポーク穴が開けられているため、チューブレステープで気密性を確保する必要があります。標準仕様のクリスキング製ステンレススチール製アンギュラコンタクトベアリングを装着したホイールセットの小売価格は、2,650米ドル/3,990オーストラリアドル/3,000ユーロ/3,100ユーロ/352,000円です。クリス・キングのハイブリッド・セラミック・ベアリングは追加費用がかかりますが、ハブは9種類のアルマイト・カラー・オプションを追加料金なしで提供しています。リアハブは、シマノHGまたはSRAM XDRドライバーボディでのみ利用可能です(カンパニョーロのボディは2020年に製造中止)。

ホイールセットの実重量は、チューブレステープとバルブを使用し、シマノHGフリーハブボディを装着した場合、1,505g(フロント698g、リア807g)です。

The ride

クリス・キングは、これが最軽量のカーボン製グラベルホイールであるとか、空気力学的が優れているとか、そういうことはまったく主張していません。なぜならGRD23の性能は、スペック上の数字より、もっと繊細なものだからです。

実際に乗ってみると、軽い…けどそこまで軽すぎることはない。その点では、期待通りのフィーリングです。リムは気持ちいいくらいしなやかで、もちろんですが素早く回転をし、方向転換も機敏に行えます。しかし、よほど重いホイールから乗り換えない限りは、GRD23 が良いとは思わないかもしれません。GRD23 が同程度の重量のカーボンホイールの中で際立っているとは言えません(かといって、そこそこ軽いものよりも、鈍重に感じられるとも言えません)。

リム寸法に関しては、現状においてほぼ一般的なサイズで、太めのボリュームタイヤにも対応できる適度な太さと、オールロード用タイヤに適した細さを持っています。ETRTOのテクニカルガイドラインに準拠するブランドが増えてきたこともあり、タイヤのフィット感はそれほど重要ではありません。GRD23に装着した各種タイヤは、いずれも手で簡単に装着でき、大容量のフロアポンプで空気を注入して固定し、タイヤレバーひとつで取り外すことができます。いいことずくめです。

クリスキングのR45Dハブは、当然ですがいつもと同じように気持ちよく回転をします。そして、8°のエンゲージスピードは、レスポンスの良さと抵抗のバランスが良く、同社のマウンテンバイク用ハブ(ドライバーは若干異なる)と比べると、怒った蜂(アングリービーサウンド)のような音はしません。リアハブはより静かでけっして賑やかではなく、むしろ少しだけ動き回る蜂の群れのようで、物事を穏やかに保つことを好むライダーには、より良く受け入れてもらえれるはずです。

ベアリングはクリスキングの18番、プリロードの調整も可能で、スムーズな回転を誰もが楽しんでもらえます。また初期のベアリングシール抵抗はライドを重ねることによってすぐに解消され、これまでの実績どおり、ベアリングの耐久性も抜群です。また、クリスキングのマウンテンバイク用ハブに比べると、機械抵抗も減少しています。

では、GRD23 が他のホイールと比べて、何が優れているのかというと、それは乗り心地です。GRD23はご覧のとおり足元がやや控えめな印象です。スムーズで静かに走り、そしてハードヒットしたときには衝撃を和らげくれます。その時、あなたの手のひらには刺さるような激しい音ではなく、もっと鈍い音が響くはずです。この違いに気づくかどうかは、人それぞれかと思いますが。

例えば、 Bontrager Aeolus Pro 3V や DT Swiss GRC 1400、Cadex AR 35 など、大断面のカーボンファイバーリムやカーボンファイバースポークを採用したホイールよりも、GRD23の方が断然ソフトで乗り心地がいいと感じました。しかし、Roval Terra CLX や Enve G23との違いといえばもっと微妙なところです。また、NoTubes Grail CB7(よりソフトな乗り心地を謳う、もうひとつのカーボンファイバーホイールセット)と比べても、基本的には似たような感じだなと感じました。

それよりも、市場的には定番とも言える、DTスイスの GR1600 のようなアルミホイールと比較して、GRD23の乗り心地がどうなのかが気になるところでしょう。(グラベルのホイールセットで、アルミ製からカーボン製に乗り換える人は多いと思いますが、既にカーボン製ホイールを使っている人がまた別のカーボン製ホイールに乗り換えることは少ないでしょう)正直なところ、オンロードにおいてはGRD23とGR1600のホイールがそれほどの違いが感じなれないかもしれません。GR1600に比べると、ダンピングが効いていて落ち着きがあるが、路面がやや荒れたときの感触は似ているかもしれません。しかしながら、GRD23でロックガーデンを駆け抜けるときの不安は、GR1600よりもはるかに少ないと感じるでしょう。また、GRD23のもうひとつの大きな特徴があります。それは、クリスキングの生涯保証です。カーボンファイバーのリムに必要以上の大きな力がかかった時にリムが割れるのに対し、アルミ製のリムは曲がったり凹んでしまったりします。でも最新のコンポジット製リムを壊すのに必要な衝撃は、優れたアルミリムも同じ用に破壊してしまうのは事実です。

そしてジェイ・シシップは加えて言います。
「GRD23には特に手厚い生涯保証を付けています。万が一、あまりにも過酷な走行でホイールが破損してしまった場合は、お近くのクリスキングディーラーまたは chrisking.com にご連絡ください。返送ラベルをお送りしますので、ホイールをご返送ください。ホイールは新しいリムに組み替えられ、ハブの状態を確認します(もちろん無料です)。そして、壊れたリムはリサイクルに回され、お客様はまた快適に愛車へとカンバックすることができます。

カーボンホイールがサイクリストにとて大きな投資であることは承知の上で、このような「送料無料サービス」「ハブのチューンナップ」「優先的なリビルドスケジューリング」を提供をし、私たちは、お客様が生涯にわたって自転車に乗り続け、購入した頂いた製品でライドに常に熱中できるようにしたいと考えています」

In it for the long haul

クリスキングは、人々が同社のハブに惹かれるように、GRD23ホイールセットに惹かれることを期待しています。長期耐久性と保守性の約束、責任を持った素材の調達と製造されているという安心感(クリスキングは自転車業界ではほんの一握りの Bコープ 認定企業 の一つ)、そして長い時間軸で物事を考え、慎重に検討して購入してもらいたい、というのがシンプルな希望です。

繰り返しになりますが、GRD23は額面上(スペック上)は傑出した製品ではないかもしれません。
しかし、平均点よりはるかに高い乗り心地、そして良い作り、好みの外観(多くのカラーオプション)、最新の規格、そして手厚い保証が付いています。それは言うまでもなく、耐久性と長期製品サポートに関して非常に確かな実績を持つ会社によって支えられています。

最新鋭のレースホイールをお探しですか? 残念ながらこれはそういうホイールではありません。それは、高価な価格設定を考えても、クリスキングが量産を目的としていないことは明らかです。

しかし、もしあなたが一度買ったものを、大切に永く、そして楽しく使うサイクリストであるのならば、このホイールは最良の選択のひとつだと言っても過言ではありません。


In Stock – GRD23 Wheelset

即納可能なストックホイールもご用意しております。在庫にないその他カラー、モデルも受注可能ですので、ご希望がございましたらお気軽にお問い合わせください。

Chris King Wheels GRD23

¥352,000

Color: Black, Silver, Matte Slate and Two Tone

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名古屋の自転車屋、Circlesです。This is Circles Bike shop in Nagoya Japan.
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