編集の考え方。
感動しないものは取り上げないこと。本音で、自分の言葉で書くこと。
問題があっても、素晴らしければ、問題を指摘しながら薦めること。
取材相手の原稿チェックは、事実確認だけにとどめること。
ロングライフデザインの視点で、長く続くものだけを取り上げること。
写真撮影は特殊レンズを使って誇張しない。ありのままを撮ること。
取り上げた場所や人とは、発刊後も継続的に交流を持つこと。
取材対象選定の考え方。
その土地らしいこと。
その土地の大切なメッセージを伝えていること。
その土地の人がやっていること。
価格が手頃であること。
デザインの工夫があること。
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まず巻頭に書かれている編集方針が素晴らしかったので、書き写してみました。
「d design travel」はD&Department(D&D)が発行する、「デザインの視点を持った旅行ガイド」として、各都道府県を順番に1冊ずつ発行されています。
その最新号が愛知県です。サークルズやアーリーバーズ、カルチャークラブ、グルメセンチュリーライド足助など、私達の事もたくさん取り上げてもらいました。
むかし、環境省の仕事を受けていた時に、D&D代表のナガオカケンメイさんにインタビューさせてもらう機会がありました。その時に何度となく出てくる ”デザイン” という言葉が指す意味がとても広くて、その都度、これは俗にいう、デザインがカッコイイとかカワイイという表層的な意味ではなく、デザインの語源である”計画を記号にする事”つまり、”課題を解決するための方法“なのだと、脳内変換を行ったのを覚えています。
そんなナガオカケンメイさんの考えがよくまとまっているページがあったので参考にリンクしておきます。2004年の内容ですが、今でも変わらない価値観だと思います。
ナガオカケンメイさん(D&DEPARTMENTプロジェクト代表取締役)
レポート|神戸学校|フェリシモ
http://www.kobegakkou-blog.com/blog/2004/03/post-0071.html
アプローチの方法は違うけど、めざすビジョンの先に社会というものがある所はサークルズにとても似ています。今回の愛知特集でお店そのものより、田中慎也という人物がフューチャーされている事に膝を打ったのでした。
実際にd design travel編集部の人達の取材方法はとても素晴らしく、取材する2ヶ月の間の多くを名古屋に滞在し、私達の所にも頻繁に来てくれて、とりとめもない事まで含めて色々な話をし、面白そうな場所があるとすぐに飛んでいっていました。編集部の佐々木晃子さんはグルメセンチュリーライド足助にも参加してくれました。 おそらく行く先々で、そうやって点と線を、人と人をつないで、愛知という場所の魅力を紡いでいると思うと、他に紹介されている場所も間違い無いのだろうなと容易に想像できます。
愛知県の魅力ってなに?
そんな素晴らしい愛知ガイドが出来たすぐ、名古屋人にとっては地元は別に特徴がなくて、他の大都市に比べて魅力が少ないと思っているという調査結果が公開されていました。
「名古屋訪問オススメできぬ」深刻結果に市が危機感
http://mainichi.jp/articles/20160707/k00/00e/040/257000c
名古屋人がそう考えているのは本当です。
でも、実際に魅力が無いかといえば嘘です。
良くマーケティングされた分かりやすい魅力は少ないかもしれないけれども、どちらかといえば保守的な愛知の人達が普段の生活の中で当たり前に行い、楽しんでいる事そのものが、グツグツと沸く味噌煮込みのように、他所の人から見れば驚きの内容とクオリティなのです。そのあたりも、愛知号のあとがきで空閑編集長に看破されていました。
上方と東京というメインストリームの合間で、独自の文化がいつの間に醸されているのが、名古屋メシを含む愛知の特性なんだろうなと、名古屋に引越してきて1年目の身として感じています。
そして、それを浮き彫りにしてくれるこのトラベルガイド。実は地元の人こそ読むべきかもしれないなと思いつつ、まずは自分で自転車に乗ってあちこち行ってみようと思います。
SimWorks Division もんじゃ
愛知号の発売に関連してスタンプラリーなどの様々なイベントも開催されています。
詳しい情報は下記のサイトへ。
d design travel 愛知
http://www.d-department.com/jp/d-design-travel/aichi
d design travel
http://www.d-department.com/jp/d-design-travel
D&Department
http://www.d-department.com/