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【Someday, I’ll be there】高倉峠編

行ってみたい場所はたくさんあって何処に行こうか決断するのに結構悩んでしまうことが多いのだが、決め手になるのは誰かしらのSNSの投稿だったりする。 先日赴いた高倉(コウクラ)峠もまさにそれ。 OTAKUHOUSEくんが投稿した画像に目を奪われ、それから少し時間をおいて仲の良いお客さんから送られてきた画像に興奮したことが決め手となったのだ。 同時に「優柔不断」「影響を受けやすい」のだと改めて自身の事を理解した。
(もしかしたら同じ日に走っていたのか?とさえ思ったがその事については未確認。)

行く先を高倉峠に決めたものの、どのルートで走るか悩んでいた。そして、地図を眺めているうちに、「あ、海見たいなぁ…。」とひらめいてからルートはすぐに決まった。

今回はアリバシェフの恵太くんとの二人旅。決行したのは先月、11月17日のこと。


樽見鉄道終点の樽見駅へ

JR東海道線大垣駅でローカル線樽見鉄道に乗り換え終点樽見駅まで輪行。

以前自転車で走ったこともある根尾川沿いをどんどんと進んでいく列車には紅葉狩りのお客がいっぱいだったのだが、その雰囲気もまた車窓から見える美しい山々の景色と同じくらい列車旅の良きエッセンスとなった。

ペダルを漕ぎ出したのはAM10:30頃。できるだけしっかりと寝たかったこともありスタート時間は遅めにしたのだ。
その先は補給ポイントは皆無なので、まずは駅からほど近い「道の駅・うすすずみ桜・ねお」で食料を調達。 そして程なくすると馬坂峠に入り、徳山ダム湖を目指す。

 

馬坂峠を越えて徳山湖へ

視界に飛び込んでくる山中の景色は美しく、何度も足を止めそうになるのだが、まだまだ序盤も序盤。 「この先にもっと素晴らしい景色が待っている!」と言い聞かせ、ペダルを回したのだが、結果何度もシャッターを押していた。

峠のピークとなる馬坂トンネルを抜けると徳山湖まで一気に下るのだが、これまた見応えのある景色が続く。 丁度先を走るサイクリストも足をとめて撮影をしていたので挨拶をすると、なんとサークルズに来ていただいた事もある方々でビックリ。しばし談笑をし、お先に失礼しますと先へと進む。

 

長いトンネルとインターバルトレーニング

徳山ダムまでは行ったことがあるのだが、今回は初めてその湖畔の先まで進んだ。

徳山湖畔は長い長いトンネルをいくつも抜けるのだけど、 暗く、景色が変わらないトンネル内ではただただペダルを回し、普段気にも留めないのにキレイなペダリングを心がけてることに意識を集中しだす。 しかし、トンネルを抜けるとそのたびに表情の異なる美しい気色が飛び込んでくる。その都度気持ちをリセットする。まるでインターバルトレーニングでもしているかのような気分になってくる。

ちなみにトンネルは前半3つが1200m前後、最後の一つは2400mを超える長さ。
さすがは日本一の貯水量を誇る徳山ダムが作り出す湖だ、こうも長く続くとは思ってもいなかった。

その長い長い湖畔を過ぎると一気に道幅が狭くなる。 ここからがこの日のお待ちかね、メインディッシュの峠越えだ。

 

才の沢、うそ越え、高倉峠。レッツらクライム!!!

高倉峠は岐阜県の揖斐町から福井県の越前町を繋ぐ峠道だ。 高倉峠頂上までは冠山峠との分岐となる才の沢、うそ越えと2つの峠を越えることとなるのだが、そのピークからさほど下ることはないので、また登り返すという事はない。

静かで車もほとんど通らないどころか、人の気配さえ全く無い。 聞こえるのは風の音と水の流れる音、そして獣の鳴き声だけ。

実はこの日の天気予報はしっかり晴れだったのだけど、走り始めからずっと晴れたり曇ったりしていた。
途中、確実に雨が降った後だとわかるほど濡れた路面が所々に現れ、雨が降るのでは?という不安に駆られる場面もあったが結果的に雨に見舞われる事は無かった。 晴れていれば最高だったろうなという思いもあったけど、そのおかげで様々な表情の景色を目にする事ができた。

 

高倉峠頂上到着からのダウンヒル

ひたすら登り続けた道が平坦になり、一気に視界が開ける。 やっとこさ高倉峠頂上に到着だ。

もちろん登り続けた達成感もあったし、ここまで来る途中に見た景色も凄かったので既に沢山のご褒美をもらった気でいたのだけれど、高倉峠から見渡す山々の景色は最高でしかなかった。 なんて言っていいのかわからないけど最高だった。 一緒に走るアリバ店主とともに、「うぉ〜!やばぁ〜い!」の連続だ。 申し訳ないのだがそれしかない。 その気持ちを少しでも味わってもらいたいのだが残念ながら写真では伝えられない。 写真を過度に着色したい気持ちもあったが、実際目にしたものとは違うからそうはせずにおこうと思う。

そんな景色を眺めながらひたすら下り続けるのだが気を抜く事はできない。 少しでも油断したら谷底に真っ逆さまだ。 それでもこの景色を見逃してはいけないと、視線を四方八方へ移しながらも慎重に、慎重に下り切る。
(この日の晩、この時の感覚が脳内をリフレインする事となり、途中何度も目を覚まし次の日は寝不足だった。)

 

目指せ日本海!

はじめにも書いたけれどこのルートを取った理由には、海、日本海を見るという目的がある。
下り切って後は平地をひたすら西に向かってペダルを回す。 しかし、素直に海に出てしまうのも味気ないので、その途中、敦賀市と南越前町を結んでいた鉄道旧北陸線のトンネル群を抜ける予定を立てていた。

 

鉄道遺構、旧北陸線トンネル群

はじめのトンネルに到着したのは夕暮れ前の頃。 月がとても綺麗で印象的だったのだが、そのトンネルに突入するには些か勇気が必要だった。 ちょうど到着した頃、数台の車がトンネルから姿を現した。 信号も無ければ一方通行でも無さそうなそのトンネルは車一台がやっと通れるかどうかの道幅しかない。 対向車が来たらと考えるとどうしても二の足を踏んでしまうのだがもう行くしかない。 勇気を絞ってペダルを漕ぎ始める。

明治中頃に鉄道用に造られたトンネル群は、レンガを積み上げて造られており歴史が感じられる。 薄暗く、ところどころ苔の生えた壁面の内部を走っていると、出口を抜けたらタイムスリップして当時の景色が急に飛び込んでくるじゃないかという気分にもなってくる。

 

見えたぜ日本海!?

タイムスリップはできなかったけど、幾つかのトンネルを抜けるとそこで目に飛び込んでくるのが日本海だ。
ここでようやく海がみれた。 いつくらい振りかは思い出せないが、久しぶりに見た海は綺麗で大きかった。

しかし、実は冬の日本海としてイメージしていたものとは違っていた。 もっとこう、荒々しいイメージだったのだが、よくよく考えて見ればこの辺りからそんな海が見れるはずもないのだ。

それでも山を越え、日本海を見れたという達成感はしっかりと味わう事ができた。

いやぁ、我ながら良いルートを組んだなと一人得意気になっていたのだが、ここからが問題だった。結果的に国道8号線に乗ることになり、狭い道幅の路肩を車に追い抜かれながら敦賀駅まで向かうこととなった。

敦賀駅に到着したのは17時半頃。 18時過ぎの特急しらさぎに乗り米原で新幹線に乗り換え名古屋駅に到着したのは19時半頃。 自転車を組み、最後に向かったのは名古屋の老舗JAZZ喫茶YURI。 仕事終わりの互いの妻も合流し、美味しいご飯とお酒を飲み、大満足の1日が幕を閉じた。

 

反省点!!!

今回のルートには補給ポイントが後半、福井の今庄あたりまで皆無。それは事前にわかっていたので樽見駅近くの道の駅でいろいろと購入する予定だったのだがそこにはこれといった食料がなかった。 みたらし団子と大判焼きを道の駅で食べ、羊羹と冷凍の焼きおにぎりが昼食となった。 次回は事前にしっかりと準備をしなければならないいけない。

もう1つは国道8号を走ってしまったこと。 次回は国道8号を迂回するルート設定が必須だ。

それとこれは反省点では無いのだが、次回は紅葉真っ盛りのタイミングで訪れたい。
もちろん見頃を過ぎ、葉が落ちかけているこのタイミングも良かったが、やはり真っ赤の染まった山々を見てみたい。 来年も決行予定である。

 

今回のルート

走行距離約96km、獲得標高約1400m。

 

このRide with GPSのルート上では獲得標高が正確には出ていない。
Ride with GPSでは走った場所の地形をそのまま計測してしまうため、トンネルや橋で渡ったりした場所のデータが正しく反映されていないようだ。徳山湖畔を走っている箇所でかなり標高差があるが、実際にはその区間は平坦なので大きく異なる結果となる。


今回のルート、今からの雪の季節はお勧めしないけど、暖かくなったら一度は試してみてもらいたい。

敦賀で美味しい晩御飯食べるのもいいですよね〜!

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柳瀬公識

サークルズ歴と自転車歴はだいたい同じ。 通勤をメインに自転車を利用するようになり、それまで車や公共交通機関を利用して足を運んでいたいろんな場所へ自転車で赴くように。 それからメッセンジャーなども経験しつつ、今ではロードバイク・マウンテンバイクと様々なアクティビティを楽しんでいる。
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