いつだって見知らぬところに行ってみたい。
ここではないどこかに思いを馳せるってことは、誰にでもあることで。
それって音楽を聴いたり、映画を観るモチベーションだったりするんだけど、自転車だって同じことが言える。

自由気ままにペダルを踏みながら、どこか知らない土地を走ってみたい。
夏の暑さには嫌気が差していたから、できれば涼しい場所がいいな。なんて思って札幌に行く用事があったので、そのついでに道東に行ってきた。
北海道の東側
道東って言葉は聞き慣れないかもしれないけれど、それは北海道の東側の地域のこと。
網走のあるオホーツクエリアと、帯広のある十勝エリア、釧路エリアと根室エリアの総称を道東と呼ぶ。
特に釧路地域は8月の平均最高気温が21.2度(!)と驚異的に涼しいのが特徴。ちなみに札幌は26.4度。道東地区は北海道でも涼しいエリア。(実際寒くて夜は長袖で過ごした)
道東だけでも、兼ねてから自転車で行きたい場所がたくさんあった。
サロマ湖、天へ続く道、野付半島、美幌峠、シゲチャンランド、屈斜路湖、納沙布岬、霧多布岬、知床峠、羅臼、釧路湿原・・・挙げればキリがないが、実はこのエリアだけで九州よりも大きい。しっかり滞在して全部回ろうと思ったら、ひと月くらい必要であろう。
無茶なライドは計画したくなかったので、行き先を絞る。女満別空港から斜里へ向かい、そのまま南下して釧路空港から帰るルートとした。
旅のハイライトは
- 天に続く道(斜里町)
- 美幌峠(弟子屈町)
- 屈斜路湖(弟子屈町)
- 摩周湖(弟子屈町)
- 釧路湿原(釧路市)
この辺りに設定して道東を縦断する計画を立てた。
ただし、ルートはあくまで目安。結局のところどんなルートであろうと目的地につけばそれでいい。積極的にその時の気分で気ままにテキトーな道を選んで走った。
よってここに示したルートをそのままトレースしたわけではないことをご承知おきください。
ただひたすら走る
特にオホーツクエリアは身体で感じる空気、路面、景色、匂い。あらゆる環境がいつもと違う。
自転車旅の中心は「自転車に乗る」ことであるが、それはイコール「移動」を意味しない。
自転車に乗ってその土地を感じることが目的であり、それはあらゆる環境を身体で吸収する行為である。
小さなアップダウン、少しのカーヴ。地図を見ただけではよく分からないことを体全体で体感するのが自転車旅の醍醐味である。

北側のオホーツクエリアはグラベルの宝庫。
ひたすらに畦道や林道を走る。
時間があればもっと探索して様々なルートヴァリエーションが楽しめそうなエリアだった。
ここは再訪してもう少し時間をかけて走ることを誓う。

女満別空港を出発するとひまわり畑が迎えてくれる。

そして、絵に描いたかのような北海道の景色。
ほとんどが砂利や乾いた土の路面で、さすがに手首に疲労が出るので、途中でオンロードに切り替えて海へ出た。

海沿いへ出ると、釧網本線(釧路〜網走間)の藻琴駅が。高倉健の名画「網走番外地」のロケ地。

海沿いの単線に風情を感じてしまう。
この旅のハイライト
そして、今回1番行きたかった場所が美幌峠。屈斜路湖を見下ろすこの景色を見たかった。

実は午前中に到着する予定が、道を間違えてしまい結構な時間になってしまったが、それもこの旅のご愛嬌。
美幌峠やその他の峠でも感じるが、本州の山にはない、ゆったりとしたスロープで少ない勾配をただひたすら登っていくヒルクライミングはとても楽しい。あと、くだりで服が全部乾くくらい、めちゃくちゃ涼しい。

とても美しい景色。

美幌峠はサイクルラックもあって、バイクフレンドリーな場所だった。

湖畔には観光客もたくさんいて賑わっていた。

ちなみにカヌーで有名な釧路川はここが源流となって太平洋に注ぎ込む。

硫黄山

屈斜路湖の至近にある硫黄山。硫黄の匂いに包まれた、すごい雰囲気の場所。例えるなら火星or月面。

ここでの散歩はさながらムーンウォーク。

硫黄山が源泉となって川湯温泉という温泉街がある。川湯温泉は非常に酸性が強い泉質で、虫刺され跡や、藪でついた傷にお湯が染みた。
釧路湿原へ

ここからは(通った道がそうだったのか)牧場が多くなり、今までの雰囲気とはまた違う風情に


いくつかの丘、峠を越えてついに現れたるは釧路湿原。

釧路湿原は東京の山手線内が全て入ってしまうサイズらしく、デカすぎてサイズが理解できない。

スケジュールの関係で叶わなかったが、釧路湿原の散策は次回してみたい。
飛行機輪行で行きました
今回の旅は、自身初の飛行機輪行で行きました。

飛行機輪行はなんとなくハードルの高さを感じていたけれど、預かり荷物は電車と同じ輪行袋でOKなので、電車とほぼ変わらないし、ほぼ変わらない割に自転車に乗る環境をガラッと変えることができて、めちゃくちゃおすすめだってことがわかりました。またすぐしたい。
気をつけるべきことは、
- 工具は機内持ち込み禁止なので、輪行袋の中に入れておくこと(フレームバッグに仕舞っちゃいましょう)
- ライトやバッテリー類は手荷物にまとめておくこと(サコッシュみたいな出し入れできる袋があるといい)
- 空港へは時間に余裕を持っていくこと(焦ると何かが起こる)
これに気をつけていればOK。
LCCだと追加料金がありますが、JAL / ANAだと追加料金なしで運んでもらえます。
バイクフレンドリーな道東
道東はバイクフレンドリーで、帯広、釧路、女満別、中標津、紋別と様々な空港があるのですが、調べたところによると全ての空港でサイクルステーションが完備されています。

自転車を組み立てたり、輪行袋に詰め込んだりする作業を屋根付きの場所で気兼ねなくすることができます。実際、女満別空港と釧路空港でサイクルステーションを利用しましたが、歩道でやるより人目を気にせず作業できるので快適でした。
他にも施設にバイクラックが基本的には置いてあるし、自転車旅するにはとても良い地域です。
旅の装備について
背中に何も背負いたくないので、なるべく最小の荷物で行きました(札幌のイベントも含めると7泊8日)
荷物のパッキングはこんな感じ。

Front Bag | TADE QUI | Cunningham Camera bag |
Stem Bag | OUTER SHELL | Stem Caddy |
Frame Bag | OUTER SHELL | Half Frame bag |
Saddle Bag | OUTER SHELL | Dropper Seatpack |
持って行ったバイクバッグの中身はこちら

BEDROCK SANDALS | Carin Adventure Sandals |
QUOC | Gran Tourer XC |
OSTRICH | L-100 輪行袋エアロ&ワイド |
RAL | Tabby Socks |
RAL | RAL Shirts |
RAL | RAL Shorts |
RAL | Pack It Right |
Houdini | M’s Tree Tank |
Other | パンク修理キット、携帯工具、ポンプ、ロック |
Leica | M-P( type240 ) , Summicron 50mm f2 |
Other | Bose Bluetooth Speaker , 熊鈴 |
Asahi Kasei | Ziplock |
Other | お風呂セット(シャンプー、ボディーソープ、タオル、手拭い、歯ブラシ) |
Anker | Mobile Battery |
Bag | Nobuhiko Tanabe × STUMPSTAMP ” JUMBO ” |
RAL | Merino Wool L/S Tee ( Test Sample ) |
RAL | Wool / Cotton Socks ( Test Sample ) |
これに、下着とウィンドシェルを加えて持っていきました。ウィンドシェルは長距離グラベル走行中にいつの間にか無くなってしまった・・・涙
必需品
とにかく北海道のソロライドで不安なのは熊。

出会ってしまってからでは遅いので、自分の存在に気づいてもらえるような装備をしましょう。
熊鈴や、Bluetoothスピーカーなどを持っているといいです。ライド中にほんと誰にも会わないので、スピーカーで音楽聴きながら走るのも楽しくて◎
でも、できれば2人くらいのパーティで行くのが気楽でいいかもしれません。
宿泊先
いくつかの宿に滞在したが、秀逸だったのは斜里町の Hotel Bothという宿。

価格もリーズナブルで、5月にできたサウナがあるということで予約して利用したが、施設、サーヴィス、ホスピタリティどれも最高で、また立ち寄りたい場所ができた。薪で沸かした露天風呂が最高。



夏の北海道。また自転車持っていきたい🛩
