近くにある未開の地「紀伊半島」。いや、近くない。那智の滝で有名な那智勝浦に行こうと思うと、名古屋から西伊豆に行くのと同じぐらい時間がかかる。だからなかなか行けないし、だからこそ憧れがある。現代でもそうだし、かつて熊野詣で流行った中世も同じだったに違いない。巡礼の道なのである。
森、道、市場の和歌山エリアを見た?
全国から選りすぐりの名店が集まる森、道、市場。今年も凄かったけれど、その中でひときわ大規模で強烈な出店をしていたのが和歌山チームのArcade/アーケードだった。元からそこに建てられていたかのような大型の移動式長屋を使った商店街、雰囲気の良い照明と植栽がしっかり配置され、正面には同じ和歌山のアーティスト石田延命所による巨大ファサード、衣食住全てまかなう多彩な出店者など、圧倒的な物量とクオリティで強烈な存在感と賑わいを生み出していた。
その独自の出店スタイルは、毎年和歌山で開催しているArcade/アーケードというマーケットイベントを丸ごと持ってきているのだった。Arcade/アーケードは、毎年1回和歌山県内で開催されていて、3年ごとに県内の別の街に移動している。和歌山の名店が集まるだけでなく、全国各地からのゲスト出店もあり、今年も錚々たる出展者が集まっている。
アーケードに自転車で行ってみよう!
光栄なことにサークルズも声をかけていただいたのだけど、モノを販売するよりも先に、その地域を自転車で走って理解を深めたいと考え、”BIKE to Arcade”として、自転車での来場を促すアクティビティとして参加する事にした。自転車好きな人達は、アクセスの大変さを乗り越えて集う事ができるフットワークの軽さを持っていると思うので、関西方面からも東海方面からも、ぜひ自転車で遊びに来て欲しい。
サイクルクロークも設置します
自転車でのアクセスに重要な駐輪場サイクルクロークも運営する。会場でしっかり自転車を預かるので充実のマーケットをしっかり楽しんで欲しい。
自転車をそのまま電車に載せる事ができるサイクルトレインを使ってみよう
和歌山沿岸を走るJRきのくに線は、自転車をそのまま持込めるサイクルトレインになっている。ラッシュ時以外はどの電車も輪行袋なしで自転車を持ち込めるので、ぜひ利用して欲しい。特に関西方面からのアクセスは良さそうだ。
きのくに線サイクルトレイン
https://www.jr-odekake.net/railroad/kuroshio/cycletrain/
現地スタートのライドツアーを開催します!
那智勝浦や熊野方面は本当に初めて!という方に向けて、地元新宮の名自転車店「Wheel Action」さんにルート情報をご協力いただきライドツアーも開催します。Arcade会場スタートして、サイクルトレインで戻ってくる20-30kmのルートで、世界遺産の熊野古道を感じられる道も走る予定だ。
その他ノーサポートですが、山へ入るハードコースなど他のおすすめルートもご案内予定。ライドについての詳細は追ってお知らせするので、まずは日程の確保をお願いします。
Arcade in 那智勝浦 2023
2023年10月7-8日(土日)
和歌山県那智勝浦町 勝浦漁港
https://www.instagram.com/_arcadeproject_/
紀伊半島の曼荼羅
個人的に、和歌山というか紀伊半島に対する憧れが強くある。以前は伊勢にもう一つ家を借りて拠点にし、南下して遊ぶ足がかりにしていたほどだ。新宮のお燈まつりへ行ったり、梅雨の大台ヶ原に雨のバイクパッキングへ出かけたりした。
「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に認定されているものの、高い山があるわけでもなく、フォトジェニックな街並みがあるわけでもない。日本には他にも風光明媚な場所がいっぱいあるのに、なぜここが巡礼の終着点になったのかという事が気になっていたけれど、紀伊山地の山々にに登って眺める景色を曼荼羅に見立てていたと知って、とても腑に落ちた感じがした。南方熊楠も和歌山の風景こそが曼荼羅だと書いていた。絶対的な中心がなく安定した構造を持ち、細部に魅力が遍在している紀伊半島の風景。そこにシンプルにして奥深い日本の原風景を感じているのだと思う。
和歌山で自転車に乗るきっかけがあるのは嬉しい。ぜひご一緒しましょう。