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カーゴバイクは災害時に役に立つ? CMWCカーゴバイクレースのストーリー

先日のCMWC横浜2023は本当に凄いイベントだった。自分自身の20~30代前半の全てを費やしたメッセンジャーという仕事。そのピークは2009年のCMWC東京で、あとはもう緩やかに衰退していくのだろうと考えていた自分を恥じたい。仕事と生活と遊びが結びついた職業文化を持つメッセンジャーのDNAは見事に街に根付き、多くのフォロワーを生んでいたという事実をこの目で見る事ができた。他のどんな自転車イベントとも客層が違っていたし、そんな参加者達が自転車に様々な新しい価値観を持ち込み、それに自転車の世界は大いに助けられている。

変化していくメッセンジャーの役割

どんなにイベントが盛り上がっても、日常業務とはまた別のものだ。仕事の中心だった書類の急送はFAXやネットの登場でどんどん数を減らしていった。しかしどんなに情報化社会が発達しても、食事だったり、商品だったり、素材だったりといった物質は必ず運ぶ必要があり、物流が止まる事はない。世の中のニーズに合わせてメッセンジャーのサービスも変化していく必要がある。

カーゴバイクメッセンジャーとは

そこで注目されているのが、大きな積載量を誇るカーゴバイクを使ったデリバリーサービスである。今回のCMWCのWTNB(女性とその他性別)で三連覇を果たしたエマや、OPEN(男性他)で2位になったヨヨなどが所属するコペンハーゲンの”世界最速”メッセンジャーカンパニー バイエクスプレッセンは、カーゴバイクのメッセンジャーカンパニーであり、オムニウムカーゴというオリジナルカーゴバイクも制作している。

本来は車で運ぶような大量の荷物も自転車で運ぶ事ができ、速く環境にも良く、都市交通の諸問題も解決につながる方法として今後日本でもカーゴバイクは広がっていくだろう。

「防災」がテーマのカーゴバイクレース by BIKELORE

CMWCではそんなカーゴバイクを使ったレースのオーガナイズを担当した。30人以上の参加者が制限時間100分で荷物を運びまくるレースを運営するには、まず荷物の用意が大変だった。

荷物のテーマは「防災」。災害時に必要な荷物運搬を想定したレース内容である。それは3.11東日本大震災の強烈な記憶からスタートした。

地震発生時は東京でメッセンジャーの仕事中だった。その夜の都心は交通が大混乱。電車は止まり道路は大渋滞。多くの人が帰宅難民になり、数時間かけて徒歩で家に向かう人で歩道も埋まっていたが、自転車はいつも通りに移動できて全く問題なかった。

街は大混乱しているけど自分はいつもと同じという不思議な感覚を強烈に覚えていて、その体験をベースに、カーゴバイクで色々と面白い事をやっている筑波大学の原先生に相談したところ、ポートランドのカーゴバイクレース「Desaster Relief Trials」を教えてもらい、災害時の物流を想定したレースを企画することになった。

運ぶ荷物は、水、食料、衣料、資材など。震災発生直後というより、救援物資が届き避難所間を輸送するようなイメージのデリバリーオーダーを考案した。想像以上に重い衣料が入った箱や、横浜の港湾地区で使われる大きなパレットなどの大型荷物の積み込みに苦労しながらも、しっかり固定して走り出せば速いカーゴバイクの姿は、その積載量や機動力を象徴するシーンだった。

我らが名古屋のデイジーメッセンジャーのいずる君はお馴染みハンターのカーゴバイクで2位。古くからの仲間である大阪のしたっちが優勝!と、上々の結果だった。

カーゴバイクの利便性

災害で道路が寸断された時や燃料が乏しい時などに機動力の高いカーゴバイクの利便性が活きてくるだろう。

とはいえ、基本的には都市部で個人所有するには置き場所に困る事が多い。願わくば、カーゴバイクこそシェアできる仕組みや、自治体が緊急時に使用するために配備する仕組みがあるとより良いではないだろうか。また、企業やお店にも配備されると活躍の場が広がるはず。

モビリティという交通の新しい概念の中で、都市のマイクロ物流やラストワンマイル物流といった部分でカーゴバイクが活躍する事で、よりヒューマンスケールに近い賑わいのある安全な街づくりが可能になってくるはずだ。

防災というとなんだかお堅いテーマのように思えるが、単純にカーゴバイクレースとしても面白くなりそうである。これまでもバイクロアの中でカーゴバイクレースを開催してきたが、引き続き面白いレースを通してカーゴバイクの実験と普及を進めていければと考えている。

サークルズで手に入るカーゴバイクやトレーラー

ものを運ぶだけでなく、様々な場面で活躍するカーゴバイクがサークルズの周りにも溢れている。日常に使いたい、子供を乗せたい、商売に使いたい、旅行に使いたい、施設備品として配備したい、などの要望に合わせ、簡易なものからフルカスタムまで様々に対応可能。色々な面白いアイデアを一緒に実現していきたいので、まずはお気軽にお問合わせを。

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武井良祐

もんじゃです。CirclesやSimWorksのWEBまわりを担当しています。その他にバイクロアを開催したり、駐輪サービスCYCLE CLOAKなど色々やっています。祭りや建築、温泉、山、イベントなど面白い目的地を目指してライドに行くのが好きです。
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