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【BIKES OF MINE】KYUTAI’S DOPPO ATB PROTOTYPE

DOPPO ATBがSimWorksからリリースされる約4年ほど前に、1台の自転車フレームをSHIN・服部製作所に注文したのを覚えています。

服部くんがアメリカでのフレームビルディング修業を終え、そして独立を決め、それに伴いじゃあ1台組んでもらおうおかなと、その時イメージをしていた自分なりのユーティリティーバイクを形にしてもらったわけなのです。情熱だけを頼りに、経験を求め、手探りで自身の道を切り開こうと進んでいた、若手ビルダーの練習の足しになればいいかなって、そんな気持ちで彼に頼んだ記憶があります。

それが後々にSimWorks DOPPOコンセプトの礎になっていくなんてことは、その当時はこれっぽっちも思ってはいませんでした。

今まで本当に、何台も何台も数え切れないほどのバイクを所有してきましたが、この仕事にどっぷりと浸かった頃には、自分が乗りたいバイクではなく、他人が作りたいバイクや、やってみたいアイデア任せで、バイクを組んできてしまっていたために、この時ばかりは、せっかく地元の若手ビルダーに頼むわけだし、自分の経験に基づいたALL IN ONE BIKEを作ってみようと思ったわけでした。

あるパートにおいては要望を的確に、それ以外は造り手のおまかせで製図をしてもらったわけですが、ALL TERRAIN BIKE(ATB)という、ホコリの被った古いワードを脳の片隅から引っ張り出し、バイクって実際はこんなんがいいんだよなぁって、そのアイデアとネーミングセンスに自画自賛をした記憶もあります。

もともとのオリジナルフレームには、フレームにフィットする自家製ラックを前後ともに作ってもらい、ツーリング、デイリーコミューター、そして軽い里山ポタリングライドコンセプトなフラットバー仕様になっていました。 2016年にDOPPO ATBをリリースしたタイミングで(もちろんこのバイクがアイデアの基礎になったわけですが)、 若干の細部改修、リアバック形状、スペックの精査、オリジナルフォークの製造などを加えDOPPOは誕生しました。

DOPPO ATBは今年の2月にも新たなスペックチェンジが行われ、よりモダンなATBスペックになりました。

それに伴って、自分のATBも現在のDOPPOと同じカラーへと変更、足りていなかったリアのミッドアイレットを服部くんに頼んで追加をし、より汎用性を高めたバイクになりました。

加えて、今年リリースされたSHIMANO社の秘蔵っ子コンポ、GRX-Limitedを今回新たに組み込んだわけなのですが、最大の難所だったのは、このフレームの製造時には、まだ存在していなかったフラットマウント式のディスクブレーキをいかに、このインターナショナル台座しか持たないフレームに組み込むかだったわけなのです。

そこでワールドワイドウェブの登場なわけでリサーチをさっそく開始、やはり世の中には同じような悩みを持つサイクリストは多くいるわけなのです。


カナダのアルバータ州エドモントンで始まった、Andre SuttonによるガレージブランドのA.S.Solutionsは、少量生産で細部まで精密にCNCで削り出されたマウントアダプターメーカー。変わりゆく規格の波によって取り付けが困難になってしまったディスクブレーキマウントに、フラットマウントのブレーキキャリパーを組み合わせられるBike Hacks的アイテムを開発しています。

愛着を持って乗り続けているMTBフレームなどに、ロードやグラベルモデルのディスクブレーキを取り付けることが可能になるので、カスタマイズの選択肢を広げることができます。

※フレームやフォーク、ディスクブレーキキャリパーの組み合わせによっては別途ワッシャーや調整、特殊な加工が必要になる場合もありますので、この商品自体は店舗のみでの販売になっています。 もし遠方に住んでいて、どうしてもという方はメールなどでお尋ねくださいませ。

実際に最近のフレームとコンポーネントのスペックはとても合理的な規格化が進み、使い手の用途がはっきりしていると、バイクもとても組みやすく、そして使いやすいわけなのです。

しかし、そうは問屋が卸さないのが世の常、近年のアメリカマーケットでのオフロード原理回帰、納屋系オーバーホール野郎、そして日常パパチャリ族などのカウンターカルチャーの出現してきています。

その傾向は、自転車が持つ本来の自由さへの憧れとともに、ライドエクスペリエンス(経験値)に基づいた想像力を最大に駆使してのバイクビルドの楽しさを知った、新たな自転車人たちが創出され始めた。ということでもあります。

スペックを追求するあまり、現代コンポーネント特有の不自由さと、黒一辺倒になってしまった製品グループ群には、やはり本来の自転車が持つ優雅さや面白みも、やや欠けてしまっていたのかもしれません。

しかしながら、ここで急展開が起こったわけです。 今回のコンポーネントに採用させてもらった、SHIMANO社の競争を目的としないGRXコンポシリーズの登場や、micro SHIFT社のコンポーネント群などの登場などは、今後の生まれ変わりゆく新しい市場をしっかりと支えて行くと、強く感じております。

この流れは、みなさまの満ち溢れ出る想像力の具現化のお手伝いをしてくれると信じており、Circlesでもそのアイデアと懐の深さに強く共感をして、積極的におすすめをしています。

最後になりますが、今回のDOPPO ATBにも採用させていただきました、GRX-Limited(GRX Silver Edition)ですが、いよいよ数に限りが見えてきています。

先程述べたように、近年推し進められる効率性や収益性の追求により、ほぼ皆無になってしまったシルバー系パーツですが、今回のバイクビルドをして、完成にまで持っていくと、金属自体が持つ、なんとも言えない輝きにはやはり喜びすら感じます。

そして車体もブラックパーツのみで構成された車体はクールなイメージになりがちですが、金属系シルバーをふんだんに使うと、いわゆる有機的で温かい雰囲気をバイクから感じることができるのではないでしょうか。

今回の特別なGRX Limitedの企画に関しては、SHIMANO社には尊敬の念が耐えませんが、今後もSHIMANO社を含めた、各コンポーネントメーカーには、モノづくりにおいて機能性スペックの追求はとても重要であると、重々承知の上でお願いをしたいのです。

それは、今のマーケットをしっかりと見ていただけるとはっきりと理解できると思うのですが、そこには競わない系優良サイクリストが多くいるということです。 ロマン優美系スペックはこれからの自転車がモビリティーの中心となる新しい世界にもきっと必要であるという、強いイメージを持ち、様々な角度からの製品展開を強く望んでいます。

きっとこのブログも各メーカー関係者様も読んでいただいていることだと思うので、いちサイクリスト代表として一筆追記しておきます。 ぜひともよろしくお願いいたします。m(_ _)m

BIKE OF THE WEEKCircles Bike Archivesなどで様々なバイク紹介をさせていただいていますが、これからこの【BIKES OF MINE】ではスタッフの愛車自慢をちょっとずつ更新していきたいと思っています。 やはりプロですから、それなりに自分の愛車には思うところがあるはず、皆様の好奇心を揺り動かすことができるバイクを紹介できればと思っていますので、ご期待くださいませ。

それではまた!

Kyutai’s DOPPO ATB Proto type

FrameShin Hattori Fabrication’s Custom ATB (Doppo Prototype)
Handle BarSIMWORKS So Bar
StemSIMWORKS Wendy
WheelsCHRISKING ISO Disc Hub x WTB Ci24 TCS Carbon Rim and Super Yummy 27.5
ComponentsSHIMANO GRX Limited Single Set
Front RackSIMWORKS Obento Rack
PedalSIMWORKS Tiny Bubbly Pedal
Brake AdaptorA.S.Solutions Flat Mount Adaptor International Standard – Flat Mount
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kyutai
田中 慎也

空転する思いと考えを自転出来るところまで押し上げてみた2006年。自転し始めたその空間は更なる求心力を持ちより多く、より高くへと僕を運んでいくのだろうか。多くの仲間に支えられ、助けられて回り続ける回転はローリングストーンズの様に生き長らえることができるのならば素直にとても嬉しいのです。既成概念をぶっ飛ばしてあなただけの自転力に置き換えてくれるのなら僕は何時でも一緒に漕ぎ進めていきたいと思っているのだから。
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