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【BIKE of the WEEK】BLACK CAT BICYCLES Swami Rigid 29er MTB

怒涛の日々を過ごし、今回の旅もあと数日で終わりと思うとちょっと寂しい気もありますが、同時に日本に戻る楽しみもあったりでなんだか複雑な心持ちです。既にマコさんがブログをアップしてくれていますが、今回のMADE Bike Showでは本当に沢山の収穫がありました。

気になるその様子については、今後いろんな形で記事にして皆さんに報告していきたいと思いますが、僕からはまずBIKE of the WEEKとして、今回のショーで一番刺さったバイクを一台紹介します。

カリフォルニア州サンタクルズ近郊のアプトスという小さな町に拠点を置くBLACKCAT BICYCLES

(少し古い記事ではありますが、BLACKCATについてはぜひこちらの記事もご一読ください。)

SANTACRUZ BICYCLESに長年勤めて培った多くの自転車製造の基礎と最新のマテリアルまでの知識と知恵をフル活用しながら、シンプルかつ丁寧にフレームビルディングを行うトッドは、あのHUNTER CYCLESのリックハンターのもとで修行をし、更にはビルダーでありながら自分自身でペイントワークもしてしまうという稀有なフレームビルダーです。

2019年サクラメントのNAHBSぶりの再会。はるばるカリフォルニアからトッドがこのショーに来てくれたことは我々にとってとても嬉しいことでした。

トッドはといえば、長らくカスタムオーダーという受注スタイルをやめており、サークルズでもオーダーを受け付けていない状態が続いていましたが、その代わりに自身が企画するプロダクションモデルをカスタムサイジングで受注するという形でフレームビルディングを続けています。

その中でも特に昨年の秋くらいから展開していたProject Swamiというプロダクションがあるんですが、今回紹介するバイクもそのコンセプトに則ったもの。

Swamiという名を冠したフルリジッドの29er MTBは、90年代のクロスカントリーマウンテンバイキングにおけるジオメトリーへの回帰でもなく、かといって無理にジオメトリーの限界を押し広げようという試みでもなく、できるかぎり様々な地形において快適なライディングを可能とする、トッドの考えるニュースクールなジオメトリーを踏襲したバイク。

最大で29×2.6″のタイヤを履かせることができるバイクは、オリジナルのユニクラウンフォーク、そしてその美しいラウンドトップに加えて、タイアクリアランスを確保しながらも、トッドの思い描く最良のライドを可能とするリアセンター長を実現するためにカーブされたシートチューブなど、細部を見れば見るほど美しく、写真を撮りながら本当に楽しめたバイクでした。

ペイントも自身でこなすトッドのオーダーを受けていた当時は、基本彼にお任せスタンスでペイントしてもらっていたので毎回フレームが来るたびにそのアイデアに驚かされていましたが、今回のバイクもシンプルながらもさすがトッドと思わせる仕上がり。

正直なところを言えば、ペイントはあくまでお化粧に過ぎず、大事なのはそのフレームがどんな目的を持って作られたかということに尽きると個人的には思っているんですが、それでもやっぱり彼のペイントにはワクワクせずにいられないんです。

セクシーなリアバックはもちろん健在、そしてトッドのアイデアによって生み出されるオリジナルのスイングドロップアウトによりお好みでシングルスピードアッセンブルなんていうのもできるわけです。

程よいライズで幅広めのバーがまさにしっくり来る。

トッド自身の経験に基づいて作られたSwamiは、タイヤのボリュームと、程よいフレームのしなりを活かしてトレイルで共にダンスするような感覚で、サスペンションがなくとも楽しめる、むしろこれでいいよねって思えるリジットマウンテンバイク。道具の進化を深追いせず、純粋に楽しむことと向き合ったらこんなバイクだってあっても良いですよね。

とっても気に入ってしまって、日本の皆さま向けにこのSwamiのコンセプトを27.5″ホイールに落とし込んでサイジングを最適化させたプロダクションを今回トッドにはお願いしましたので、完成まで時間はかかりますがぜひ楽しみにしていてください。

それでは、明日はアメリカ最終日を楽しみつつ、荷物をまとめて明後日の便で日本へ戻ります!

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Ikeyama Toyoshige
池山 豊繁

Circles / SimWorks / CWD 学生の頃のメッセンジャー・サークルズでのアルバイトを経て、今に至る。 サークルズスタッフ最年少を公言していたが、今ではニュージェネレーションも加わり古参の存在。 でも身長は最小です(#163cmですがなにか)。 CXレース経験もありますが、今はのんびり瀬戸のグラベルを走ったりするのが専らで、過去の面影はどこへやら。自転車で釣り場にアプローチするBikeToFishingのスタイル研究にも余念がない。
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