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17周年目の感謝の思い

世界中のサイクリスト、そして世界中の遊び人の皆様、いつも大変お世話になっております。Circles代表の田中です。

感覚的には2〜3ヶ月前くらいに16年目の感謝をお伝えした気がするのですが、もう17年目の挨拶を頼まれるタイミングが来てしまったのか…と感じるくらい、過ぎ去っていくスピードが今年は特に早かった気がします。 感染症からのパンデミックが本格的に緩和された年だったということもあり、多くのイベントが各地で再開され、今年は弊社の念願でもあったアメリカでのハンドメイドバイシクルショー MADE への出展も無事に達成ができ、本当に長い時間会えていなかった仲間との再会もあって、忙しいながらもとても充実した一年を過ごすことが出来た年であったと実感しています。

17年前に名古屋を拠点に生まれたCirclesは、本当に多くの自転車愛好家とコミュニティに愛され、支えられてきたのだと、普通の生活に戻った今だからこそ、この事実を強く実感しています。 Circlesの始まりは、名古屋市内の吹上地区にあったとても小さな納屋から始まりました。 もちろんやるからにはと創業当初より、Circlesという店を成り立たせようと必死にできることを行い、日々をあがいてはいました。結果、ありがたいことに多くの自転車愛好家や好奇心が旺盛な人たちが毎日のように足を運んでくれ、私なしでもお客同士での会話が始まり、自然発生的にコミュニティが形成されていく様を、同じサイクリストとして、彼、彼女らが携えたその自転力を頼もしく見させてもらっていたことを記憶しています。

自転車は私を含めた Circles のスタッフにとっては人生そのものなので、ときには自分のことを他人に話すことのように、上手い?正しい?表現法が見つけ出せないときも多くあります。 しかしながら、そこで頭を振り絞って、できるかぎりの各々の思いで、私たちが愛してやまない自転車という道具が持っている魅力、可能性、そしてペダリングをし続けることによって確実に得ることができる自転力の大切さを多くの人たちに伝え、拡めることが創業以来の使命になっていると思います。

まずは改めてこれらの思いや考えに共感していただき、Circles のサポーターとして、そして遊び仲間として、ともに歩んでくださる世界中のサイクリストの皆様に対して、17周年目をここに迎えられたことを心から感謝を申し上げます。いつも本当にありがとうございます。

今までの Circles の成長と進化には、さまざまな異なる事業展開が含まれていることをここにお伝えするべきかと思いましたので、ご紹介したいと思います。

Circles の傘の下にある事業としては、2009年に発足した自転車パーツメーカーである SimWorks / シムワークス が代表的かと思います。 そしてCircles とはやや異なった性質を持った D.I.Y (Do it yourself) バイクショップの Culture Club / カルチャークラブ、卸売りと商社機能を兼ね持つ C.W.D / Circles World Distribution、そして飲食業からはアメリカンブレックファーストレストランの EarlyBirds Breakfast / アーリーバーズブレックファスト、サンドウィッチベーカリーの Pine Fields Market / パインフィールズマーケット、そして今年の念頭に始業をしたカジュアルイタリアンレストラン CERCHI / チェルキといった多彩な事業が含まれています。 それぞれの部署には少しずつ異なった性格と使命をもたせていたこともあり、これらの事業展開と発展は、Circlesコミュニティに新たな可能性と進化に対するたくさんの喜びを私たちスタッフにもたらしてくれたと思っています。

2009年に発足をした SimWorks は、長年、日本という国が自信を持って育んできた製造業でしたが、移りゆく時代の中で効率化と生産性を追求し、他国への依存、移行を行いすぎたがゆえ生まれてしまったジレンマを、すでにほぼ失われてしまっている私たちの愛する自転車産業界で、なんとか現在あるものだけでも失わせたくないと考え、同一言語化におけるスピード感とローカル性を常に意識して丁寧にデザインへと落とし込み、製品開発をおこなっているメーカー部門になります。 その甲斐があってなのか、日本よりも先にすでに製造の現場をほぼ失ってしまったアメリカという超大国のエンスージアストたちが、SimWorks のプロダクトに興味を持ってくれ、今では300店舗を超えるバイクショップにアカウントを開いてもらうことが出来ました。 そして流通も自分たちが自ら行うべきと常々考えていたこともあり、その過程で生まれた SimWorks U.S.A の存在を忘れることは出来ません。

一人の勇敢な娘は自分の夢でもあったアメリカでの生活を達成するために、日夜勉強をし、類まれなコミュニケーション能力を駆使しアメリカ自転車コミュニティに飛び込んでくれたのでした。 そして過去2度の NAHBS への出展などを経て、今年はアメリカサイクリストの聖地、SimWorks U.S.A の本拠地でもある オレゴン州 ポートランドで開催されたハンドメイドバイシクルショー MADE へ参加することができたのは私たちにとって、とても意味が大きかったのです。 その現場にて世界中の自転車愛好家から、本当に多くの感謝と新しいアイデア、意見を頂き、その製品群に厚い信頼と期待が寄せられていることを直接的に強く体感できたことは、本当にひとつの階段を登れたのだなと感じましたし、これからの成長のために与えられた、より大きな使命をイメージすることが出来たのでした。

D.I.Y バイクショップであるカルチャークラブは、自転車愛好家が自分の自転車を自身で組み立てたり、メンテナンスを行ったり、そして足りない知識やスキルをサイクリストの仲間と補い合う現場として存在しています。 先ほどから何度も繰り返している自転力に基づく、D.I.Yの精神はこれからの日本の成長と文化形成において、特に必要とされる課題ではないだろうかと考え、7年前に中区 松原に立ち上げたのでした。 その活動は捉え方によっては一般的に非営利団体が行うような内容も多いので、決してその道程が楽であったかと問われると、決してそんなことはなく、いまでも毎日が綱渡り状態。 しかしながら今後の自転車文化発展と充実のためにも、継続して運営ができるように、サイクリストの皆様のサポートが必要不可欠なので、ぜひ一度足を運んでいただき、自分の自転車を自分で直すという”楽しみ”を見出していただけると幸いです。 そして”自分の力で最後まで成し遂げる”という自転力にとって最も大切な意識をサイクリストのみならず、一般社会にも正しく落とし込んでいけるようなコミュニティスペースになれるように引き続き精進していきたいと思っていますのでぜひご協力をよろしくお願いいたします。

飲食部門である EarlyBirds Breakfast、Pine Fields Market、および CERCHI は、食と自転車の文化、感性が交差する場所として常にコミュニティの発展へ貢献をしてくれています。 自転車はもちろん基本が人力ですから、とにかく食事とは本当に密接に関わっているのだと感じ、10年前に Circles の敷地内に壁を立て、EarlyBirds Breakfast を立ち上げました。 今では今年創業した CERCHI も含めた3店舗がそれぞれしっかりと自転力を持ち始めてくれましたので、今ではサイクリストのみならず、各々が持つ豊かな個性と魅力を社会が感じ取ってくれ、本当に多くのお客様が訪れるようになってくれています。 これからも食事、そしてコミュニケーションの重要性を表現しつつ、友人や家族と楽しいひとときを過ごす場所として、一食一食を大切に励んでいきたいと考えています。 来年は今年以上に食、自転車、そして他の文化圏を愉快に絡めたイベントも積極的にやっていきたいと考えていますので、多くのみなさまにぜひご参加していただき、クロスオーバーするカルチャーを感じてもらえると嬉しいです。

ここまで話すとすべて順風満帆のように聞こえますが、17年の歴史の中で、私たちは多くの挑戦を行い、大小様々な失敗と成功を経験してきました。

自転車という乗り物が持つ可能性の拡大は当然として、その文化の発展、個人レベルでの技術と知識の向上、社会環境への配慮も含め、常に固定概念を破り、新たなオフロードを切り開くことを続けるように努力、挑戦をしてきました。 その多くは失敗ばかりです。 私自身の未熟さを今でも痛感しながら生きていますし、でも次こそはなんとかしたいという気持ちを持ってもいます。 でもこれらの多くの挑戦は間違いなく私を含めたスタッフ一同の成長と進化に対する原動力になっていると感じていますし、ならびに Circles の哲学として未来に引き継いでいくべきだとも考えています。

そして自転車がアクティビティのための純粋なファンツールであることと、人が生活するための大切なインフラツールであるという意識を、どううまく織り込んでいくのかが組織としての重要な課題としても考えています。 これが結構言うが易しで、バランスを保ちながらこの2つの要素をどう上手くレイヤリングしていくかは、きっと私たちの力のみでは無理だという結論にまで達していて、 私たちのこれまでのバランシングの軌跡とは、一重に皆様からの多くの協力、サポートと信頼そして意識共有によって支えられているということをスタッフ一同が忘れずに、皆様とともに新たなる未来軸へと進んでいきたいと願っています。

話は変わりますが、嬉しいお知らせがあります。 来年の2月に、Circles は新たな大きな冒険に挑みます。今年営業が開始されました東京虎ノ門ヒルズ内に新たな店舗、Circles Tokyo をオープンする運びになりました。

今までは名古屋という一地方都市から私たちの思いと考えをできるだけ丁寧に発信してきたつもりではありますが、このご縁を次への成長へと繋げるべく、日本の紛れもない中心都市であり、大きな発信源でもある東京から、私たちが信じるべき自転車哲学を発信することによって、より多くの方々に自転車の魅力とコミュニティを体験していただけるようになるのではないかと今から楽しみにしています。

詳細についてはまた改めて皆様にご案内いたしますので、楽しみにしていてください。

未来に向けて、既成概念を壊し、成長に基づく革新をつねに目指し、その過程としての新しいプロジェクトやアイデアを生み出し続け、より多くの皆様とともに歩み、成長して行きたいと私たちサークルズクルー一同は心より願っております。 自転車が持つ可能性は無限大だと思います。 そこに技術の進歩、文化の発展などを丁寧に折り込み、より多くの人たちとともにイメージを共有、考慮し、持続ができる正しい社会が成熟していく原動力を自転力を駆使して生み出していければ、これからの時代はもっともっと良くなっていくのであろうと信じています。

最後にあらためまして、Circlesの17周年を迎えるに当たり、今まで出会ってきたすべての皆様に深く感謝申し上げます。 これからも、自転車愛好家のみならず、遊ぶことが人生において大切であると考えていただけている同志、仲間のためにも尽力し、Circlesカンパニーをより魅力的なコミュニティにしていくことをお約束したいと思います。そしてなにより、日々我らの思う理想に近づけるよう努力し続けるスタッフの皆、そのスタッフを支えてくれている家族の皆さんに心から感謝しています。

これからも一緒に素晴らしい旅を続けましょう。

長文を最後までありがとうございました。

株式会社 Circles 代表取締役 田中慎也

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田中 慎也

空転する思いと考えを自転出来るところまで押し上げてみた2006年。自転し始めたその空間は更なる求心力を持ちより多く、より高くへと僕を運んでいくのだろうか。多くの仲間に支えられ、助けられて回り続ける回転はローリングストーンズの様に生き長らえることができるのならば素直にとても嬉しいのです。既成概念をぶっ飛ばしてあなただけの自転力に置き換えてくれるのなら僕は何時でも一緒に漕ぎ進めていきたいと思っているのだから。
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