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【ゴリスパ通信】「スポークについて」その2

かなり時間が経ってしまいましたが、ゴリスパ通信「スポークについて – その1」に続きスポークのお話です。
前回までは、形状に注目してまいりましたので今回はその材質についてです。

材質について

まずは、材質の種類について。
スポークに使われる材質としては、スチール、ステンレス、アルミ、チタン、ナイロン樹脂など多種存在します。
その中で手組みホイールとしてよく使われるものは、スチール、ステンレス、チタンあたりとなっています。

それぞれ材質の特徴は以下のような側面があります。

 

アルミスポーク

アルミスポークは、軽量ではあるのですがその製造や扱いが難しく、完組ホイールメーカーにて採用されることはありますが、スポークのみの販売はされていないのが現状です。
その効果も、評価する人によって都市伝説のように賛否両論飛び交っているのが現状で、実際のほどはまだ多くの実例が必要になるのではないかと思います。
ただ、大きなメーカーが開発の過程で効果のないものを採用するはずもなく、実際に自分が使った感想においては良いと思われるものですので全くの無駄といことはないと思います。

 

スチールスポーク

スチールスポークは、一部ママチャリで見かける程度です。

 

チタンスポーク

チタンスポークは、スチールやステンレスに比べ大変軽量です。鉄に比べて60%と言われる比重の軽さがその効果を発揮します。ただ大変高価であり、ステンレスに比べて耐久性も著しく低くなります。
ただ車輪の軽量化は、車輪外周部が軽くなればなるほど漕いだ時のフィーリングが軽くなると言われますので大きな効果があります。
よってヒルクライム決戦用のホイールなどに使われることが多いのではないでしょうか。

 

ステンレススポーク

そして手組みホイールで最も使われるのがステンレススポークになるのですが、ステンレスポークも細かな違いがあり、メーカーやその種類によって違います。
例えば日本でも最も流通し競輪でも古くから使われる星スポークについて見てみましょう。

星スポークからは、材質の違いにより三種類のステンレススポークが販売されています。
ステンレススポーク、スターブライトスポーク、ウィングスタースポークの3種類です。

ステンレススポーク:その素材にSUS304を使用し耐食性に優れ、引っ張り強度が高くパリッとした硬めのホイールを好まれる方にオススメのスポークです。

スターブライトスポーク:その素材にSUS430を使用しています。このステンレスはSUS304に比べ引張り強度や耐食性は劣るものの金属疲労に強くスポークの破断を強く嫌う競輪などで使用されているスポークです。

ウィングスタースポーク:その素材はステンレススポークのSUS304と同じながら特殊加工をほどこすことでより高い破断強度を持たせています。

このように同じ星スポークでもそのモデルによって特性が大きく変わっています。
では、他の主要メーカーも見てみましょう。

各メーカーの特徴

DT-SWISS

DT-SWISSのスポークは、その種類にかかわらず18/10 Stainless Steelが使用されています。
これはSUS304Lと呼ばれるSUS304にニッケルの含有量を増やし耐食性と耐久性を向上させたものが使われています。

 

SAPIM

SAPIMのスポークは、オリジナルブレンドのステンレスを使用しているとのことで詳しい素材は公開されていません(一部モデルに限りは公開されています)。
ただ、SAPIMの珍しいところはその他メーカーが公表していない車輪にした時のスポークテンションを各モデルごとに公開しているのです。
これによって、ホイールビルダーはテンションを正確に計測することができ、より細かな調整もできるようになるのです。

このように各スポークメーカーが使う材質や公開している情報からもそのメーカーが持つスタンスを感じることができ、その中からより自分の使用用途にあったスポークを選ぶのは大変面白い作業です。

組み合わせを考え始めると無限とも言える組み合わせになってくるのですが、そこは僕らメカニックにご相談いただくもよし、車輪組という無限に広がる平地へ自らの力で漕ぎ出していただくもよし、最高のライドのために車輪組の際にはリム、ハブだけでなくスポークにもぜひこだわっていただけらと思います。

次回は、車輪組のパーツの中で最も小さな部品、「ニップル」についてお伝えしたいと思いますので、お楽しみに。


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makoto
横山誠

ふと気がつくとスポーツバイクと触れ合い始めてもうすぐ30年。 ゆっくり長〜く乗り続けるためのあれやこれやを考察中。 乗るのも、触るのも、直すのも、作るのも、やってます。
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