今の自転車趣味に繋がる最初の1台ということであれば、コルナゴのクロスバイク 初代”インパクト”でしょう。自転車を持っていなくてレンタルバイクでメッセンジャーの仕事を始め、最初の1週間で「レンタルのボロMTBやと稼げへん」と悟り、親にお金を借りて購入したバイクである。
自転車の事は何も知らなかったので、まずはネット(WEB1.0時代)で調べた結果、どうやら”デローザ”、”チネリ”、”コルナゴ”の3つがイケてるらしいという事を知った。
とはいえ、予算10万円で買えるものはほぼ無く、唯一買えそうだったのが15万円ぐらいのコルナゴのクロスバイクだった。新宿のワイズロードのブログに紹介記事が出ていたので早速出かけてみた。お店のスタッフに、「これはコルナゴジャパン企画の台湾生産だよ」って言われたのだけ覚えていて、その後半端な知識を身につけた後は「コルナゴって書いてあるけどほぼジャイアントやで」って卑下して説明していた…ひどい。
とはいえ、ちゃんとストレートフォークのコルナゴである。走りは遅いが頑丈で安定していて、Vブレーキでしっかり止まるし、アルミで軽いし、太めのタイヤも履ける、とにかく良いバイクだった。めちゃくちゃ気に入っていて、結局は購入価格以上のお金をかけてカスタムに精を出したのであった。
メッセンジャーの仕事用でもあったけど、日々の移動も、モノクサレーシングのレース参加も、初めてのシクロクロスレースも、Raphaジェントルマンズレースも、初めてのバイクパッキングも、全てこの自転車である。
今になって思うのは、あの時に予算オーバーしてでもちゃんと気に入ったコルナゴを(生活がだいぶ傾いてしまったけど)買って良かったという事。ブランドというのは良いものである証だという事も理解できたし、逆にブランドという基準に興味が無くなったきっかけでもあった。つまり、コルナゴ以上に良いブランドが無いから、次の興味はそれをどう使うか、どう手に入れるか、どう作られているか、といった事に向かっていく事になったのだった。そしてそのブランドの奥に何があるかを理解しようとする行為は、自転車の趣味嗜好に限らず、何か物を買う時の選択基準になっていった。
最初のバイクを買う時にサークルズがあったら何を勧めてくれただろうか?もしかしたら、もっと早くにモノを選ぶ自分なりの基準を作ることができたかもしれないし、サークルズをそういうお客様と一緒に成長していけるお店にしていきたいという思いがある。
どうやって使うか、どんなモノが好きか、どんな人が好きか。そんな基準が自転車を選ぶ時に関わってくる。予算というのも重要だ。コスパなんて言葉が流行っているけど、性能に対しての金額ではなく、何が得られるかという経験に対しての基準が大事なのかもしれない。
KONA / Dew
もしお金のない大学生だったら、それでも精一杯の自分のお気に入りを組んでみよう。例えばKONAのDEWなら86,900円。それをこんな風に自分のものにする方法だってある。
一方、しっかり働いていて収入があるのなら、極端な話、SEVENのオーダーを最初から考えてみても悪くないと思う。長大な物語になり、色々と学べることがあるはずだ。(自分はサーフボードを買うならそういう買い方をしたいと思っている。)
なんでもオンラインでポチッと買える時代に自分の愛車になるバイクに出会うには、(僕も得意とはいえないけど)ちょっと面倒でも地道なコミュニケーションが必要だ。色々な人と必要なバイクの話ができたら嬉しいし、メールを何度も往復させて少しずつイメージを固めていくのもOK!サークルズならがっぷり四つで取り組みますよ。