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自転車(モノ)を選ぶときに本当に大切なこと by Kyutai

なんと! 久しぶりにメーカー完成車体の自転車を購入しました。
個人使用としてメーカー完成車体を買うのは20年ぶりという驚くべき事実です。
こんにちは田中です。

これは私のものではありませんが、運よく同型の画像を拾ってくることができました。

#MyFirstBike

思い出すこと27年前、初めて自分の力で買った完成車といえば、アメリカ留学時代に手に入れたシュインのマウンテンバイクでした。

通学に自転車が必要になり、地元のバイクショップで20%offの下げ札がついていた、ポリッシュ仕上げのエントリーラインのマウンテンバイクでしたが、シアトルという環境の利もあって、通勤の足としてだけでなく、地元で知り合った仲間に誘われ、バイクトレイルでの相棒役としても活躍し、アメリカで数々の大切な経験を共にしました。

帰国後はわたしも一般的日本人らしくカスタマイズにも夢中になり、数々の変態的なパーツ変更を経験した後、頭の回転がゆるめのわたしもようやく「完成車スペック」という意味を理解しはじめたので、購入時とほぼ同じような純正状態へと戻したのでした。

それ以降は父親の退職までの数年間は通勤の足として使われ、現在は私の大切な思い出としてカルチャークラブの2階に鎮座しています。

このようにわたしにも自転車との大切な初期経験期がありましたので、誰にとってもファーストバイクというものは、紛れもなく特別な思い出になるというイメージを持ちながら、ファーストカスタマーとの対応は特に気を配りたいと常々思うわけです。

最近別のお気に入りDOPPO HPD

自転車を選ぶときに大切なこと

その後、わたしは幸運にも様々な経験値を持ったサイクルエリートたちとの出会いがあり、自分が所有する自転車のそのほとんどは、日本製やアメリカ製のカスタムハンドメイドバイクへと徐々に変化していきました。

しかしながら完成車メーカーが提案する自転車を知っておくことは、現在の自転車事情を知るために一番手っ取り早く、そして大切なことだと断言できます。 今回は初めて自転車を購入される方がどんなことを考えて自転車を選んだらよいかをわたしが今回買った自転車の紹介も含めて解説ができればと思います。

個人的にまず自転車を選ぶことにおいて、どなたにも口酸っぱく言っていることがあります。

それは “自転車を知る” 前に、まずは “自分を知っておく” ということです

これは初めて自分の自転車を所有しようと思っているカスタマーであったとしても、また、何かしら自分の所有する自転車に問題を抱えている迷えるサイクリストであったとしても、まず自分は自転車で何がしたいのだろう、何をしたかったのかと問いかけてみることが必要だと思います。

どこに行きたい? 目的は? 週にどれくらい乗る? 自分の体形は? どんな性格? 好きな色は? などなど、自転車を使い切るということに対して純粋な気持ちになることがすごく大切で、ブランドやパーツグレードなどの余分な知識を一番最初に介入させる必要はなくていいと断言できます。

自転車に限らずですが、多くの人たちが間違った道具選びをしてしまう理由として、その使用用途よりも先に大量の知識を詰め込んだり、他人の意見を聞きすぎたり、あるいは見栄を張ったり、、、道具は使い切ることが大切で使い切った後に見えてくることも多くありますから、まずは自分がその自転車をどのように使って豊かになっているかの想像を膨らましてみることをお勧めします。

そんな純粋なイメージを頭に描いてサークルズに遊びに来てくれると、わたしたちはみなさんとの会話を通して、それら情報をできる限り引き出して、それぞれの気持ちに合った最良でリーズナブル ( reason-able ) な自転車を提供できればと、これこそが自転車屋サークルズの永遠のテーマであり使命だとも考えています。

話が長く脱線しましたが、サークルズがいわゆるビッグメーカーの完成車を敢えて取り扱わない理由はさまざまにあるですが今回はその話はおいておき、話の中心は、わたしが今回購入した KONA という中堅メーカーの話に移っていきたいと思います。

KONAとの出会い

この画像も拾いものですが、最終的にはこんな感じにして乗ってました

日本に戻り、真剣に自転車に “ハマり” 出した頃、当時KONAが販売していたクロモリ製のハードテイルマウンテンバイク “EXPROSIF” と言うモデルが気になり、完成車を手に入れ、そして遊び倒していたことを思い出します。

そのフレームはシンプルなXC MTBジオメトリを持ち、他社ではあまり採用がなかったトゥルーテンパーのOXクロモリチューブを採用したマウンテンバイクでしたが、最初に買ったモデルのリアエンドには確かリッチーのドロップエンドがついており、その後のモデルチェンジで上記の写真に見れるように、近年のクロモリフレームでは割と一般的となっている、スライド式のエンドシステムへと進化してくれたこともあって、その時々の感覚で、時にはピュアなクロカンバイク、時にはサス付きのシングルスピード、最終的にはフルリジット(前後サスなし)のシングルスピードバイクへと進化?させ、このバイクでできる限りを尽くして遊び倒させてもらいました。 ゆえに? 度々フレームにはクラックが入り、合計で3本の年式違いの EXPROSIF を乗り継ぎましたが、このバイクとの出会いは、現在のわたしに自転車人生にとって素晴らしい思い出として残り、そして未来にも続く確かな経験値という財産にもなっています。

古くから今に至るまで、世界中のほぼすべてのビッグメーカーは車体販売台数を伸ばすためにレースというプロモーション活動を最優先し、勝利を重視したジオメトリやスペック展開、最終的にはファッションと同じく時代を意識した “お化粧“ 塗装 で変化をつけ、あたかもまるで違うものとして販売促進に努めています。 しかしながら、一般的なマーケットがイメージとはまったく異なったスタイルで自転車を愛してしまったサイクリストが起こしたムーブメント、つまりサーリーを代表とするサードウェーブ(小規模エンスージアストメーカー)の登場によって、現在ではかなりその市場の在り方が変化しつつあると思っています。

一方でKONAというブランドは、当時からそんなビッグメーカーが考えるバイク思想とはやや異なる道を歩んでいたと考えています。 KONAはどんなタイプのライドスタイルにおいても、それをいかに楽しい経験にするかという設計思想が中心にあり、一般的なアマチュアサイクリストが自転車遊びを行う際に求められる本当に重要なスペック、つまり「軽さ」以上に「耐久性能」重きを置く素材選びや、(ある程度まとまった数を作る必要があるマスプロダクションメーカーでありながら、現在においてもクロモリ製の完成車を作り続けていることにも現れていると思います。)ときには彼らの本質から外れていたするカテゴリーのバイクはあえて製造しないというかなり思い切った行動に出てしまう?など、一風変わった、でも常に一般的なサイクリストがどのようにバイクを使うのかという基本中の基本を大切にしたモノづくりを実践しているメーカーとして認知をしていました。

わたしが買ったKONA

そして近年のKONAのラインナップでずっと気になっていた完成車をついに約20年ぶりに自費で購入したのです。 それはDEWという、”自転車好き” にとっては何の変哲もない、言葉で表してしまうといわゆるエントリークロスバイクと呼ばれてしまうかもしれない完成車です。

薄々感じてはいましたが、しっかりと見てみたらやはりDEWのバイクスペックはすごかったのです。

日常使いを基本とするクロスバイクであるための耐久性しっかりと持った適度に軽いアルミ製のフレームにはクロモリ製のオリジナルフォークを搭載し、近年にはあえてホイールサイズを700cから650bのプラスサイズへと変更、さらにトップとヘッドチューブのロング化でさらに “土臭さ” を漂わせるバイクジオメトリーになったことによって、他社の多くが近年リリースしているワイドドロップバーやドロッパーポストを装備したアドベンチャーバイクとほぼ同様のバイクデザインを採用。

さらにはフレームのトップチューブやクロモリ製のフォークにはアディショナルに追加された、たくさんのアイレットを標準装備してしまったのです。 言わば “使い方さえ知っていれば” 非常に多機能でマルチな目的にすべて対応してしまう贅沢でモダンな “クロスバイク” に変貌していたのです。

 SIZESMLXL
1ST LENGTH420470520580
2TT LENGTH550597636686
3REACH398423439465
4STACK569607644682
5STANDOVER687722757798
6HT ANGLE70.070.070.070.0
7HT LENGTH135175215255
8ST ANGLE75.074.073.072.0
9CS LENGTH450450450450
10BB DROP70707070
11BB HEIGHT272272272272
12WHEELBASE1077111611461185
13FRONT CENTER636675705744
14FORK LENGTH410410410410
15FORK OFFSET50505050

近頃では多くの完成車がディスクブレーキを採用するため、スポーツバイクのノーカテゴリー化が進み、様々なクロスオーバーなフレーム、そして完成車体が市場に続々と登場しています。

そんな中で、本当にこのKONAのDEWという車体は、自分がまだ何をしたいのかわからなくても、その懐の深さによって将来的には大体何でもしたいことができてしまうその多様性、そしてプライスレンジも含めて、多くの初めての人にとっての 最高な最初の一台 になるのは当然です。

さらに”自転車に乗ることの本質” や “バイクデザイン” 、そして “自転車が持つ自由” までも理解してしまったピュアサイクリストにとっても実は、最良の一台になる可能性がある とわたしは考えています。

BIKE OF MINE

とても重要なことなのでここで再度お伝えしておきますが、自転車の真の評価とは、”地域性” に基づいた個人レベルでの基本的な “要求” 、そして “好みに正しく合わせて選ぶべき” ものであり、可能であれば実際に乗車して “自分自身の素直な感想を持つこと” なのだと考えています。 このDEWという完成車体の持つ懐の深さを知るために、また現代の完成車の実情を知るためにも、今回このDEWを購入する決断に至ったわけなのですが、一応個人的美学も有るわけで、バイクスペックと少しにらめっこをして、わたしなりのライトカスタムを施したものにしてみました。 それを以下にてご紹介したいと思います。

先の述べたようにわたしも一応の立場にあるので、やはりバイクの見た目や、使い勝手など、自分の好みを正しくバイクへと反映させたいと当然ながら考えています。

今回のDEWのベースコンポーネントは絶対的安心メーカーのシマノ社。現状のわたしのニーズにおいてはオリジナルスペックで十分に走ってくれることを知っていますので、現状では手を入れません。(使い切れるようになって、自分の感性が成熟してから手を入れても決して遅くないと思います。もしくははしゃぎすぎて壊してしまったらが一番いい変更のタイミングだと思います。)

それ以上に重要と考えるべきことは、やはりポジショニングを正すということ、そのためにハンドル、ステム、シートポスト、そしてバイクのスタイリングと性能にちょっとだけ関わるワイヤリング、SimWorks by NISSENのケーブルでお化粧かつ官能性アップなカスタムを施しました。

そしてSimWorks by NITTOの新製品であるLittle Nick Alloyはわたしにとってロングタイムフェイマスなハンドルシェープ、大のお気に入りなのでそれをカスタムの中心に。

ステムとシートポストは土臭いフレームデザインを活かすために多少値が張りましたが、私たちの盟友でもあるポールコンポーネントをピックアップ。今年のテーマカラー、ブルーコレクションを選んだことによって、なんとなく古き良き西海岸バイブスが漂っていると自画自賛。

ペダルも土臭さに相性の良いSimWorks by MKSのTACO PEDAL、面の広さと食いつきが勝手のいいペダルだと自負しております。

最近は少しずつ休みが取れるようにもなってきたので、今後は状況に応じて、microShft社のバーエンドコントローラーを採用することによって、ワイドドロップバーやそれこそドロッパーポストなども視野に入れ、軽めのツーリングなどもできると嬉しいななどと目論んでいます。

これから実際に最高のシーズンが始まりますので、まずはこのバイクスタイルで走ることがめちゃくちゃ楽しみなのですが、サークルズの店頭にはいつでもDEWの試乗車を用意していますので、ぜひブログを読んで気になってくれたかたは、実際に試乗体験をしてみてください!

KONAだけでなく、サークルズでは創業以来、本質的に優れた製品を選び、お客様に提案してきました。

SURLYやCRUST、最近ではBIKE FRIDAY、BASSI、そしてみなさんがたどり着くべき場所でもある、カスタムハンドメイドフレームなど、これらすべての自転車は、お客様の地域性や遊び方、使い方に合わせて選ばれるべきものです。 わたしたち自転車人は常にみなさまの問題解決のお手伝いをさせていただきたいと考えています。 何か気になることや質問、疑問などがあれば、店頭やメールでも喜んでお答えします。 サークルズには、みなさんのバイクライフをより良いものにするためのヒントがたくさんあると思いますので、ぜひご来店いただければ幸いです。

みなさまのご来店を心からお待ちしております。

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kyutai
田中 慎也

空転する思いと考えを自転出来るところまで押し上げてみた2006年。自転し始めたその空間は更なる求心力を持ちより多く、より高くへと僕を運んでいくのだろうか。多くの仲間に支えられ、助けられて回り続ける回転はローリングストーンズの様に生き長らえることができるのならば素直にとても嬉しいのです。既成概念をぶっ飛ばしてあなただけの自転力に置き換えてくれるのなら僕は何時でも一緒に漕ぎ進めていきたいと思っているのだから。
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