東京上馬にあるREW10WORKS。長年の友人であり、メッセンジャーの先輩でもあるブレンディ (メッセンジャーネーム) がシンプルで美しいロウ付けが特徴のフレームを制作している。フレームだけでなく、植木鉢やアパレルなどのラインナップもあり、どれも重厚で長寿命のしっかりしたプロダクトばかりだ。
メッセンジャーの仕事で使うカーゴバイクの制作依頼に行ったのが最初だった。やたらこだわりの強い職人肌の性格で一筋縄ではいかなかったけど、何度も行き来しているうちに、自分のフレームもオーダーするという話が進んでいった。
オーダーする時に考えていたのは、”1台で何でもできる自転車”。いまではオールロードやグラベルバイクなんてジャンルがあるけど、当時はそういった概念は無く、シクロクロスのレース車をベースに固定ギアにしたり、ツーリングに使ったりしたいという個人的な実用の追求だった。
ビルダーには使い方を延々と説明した。そしてそれをどう実現するかはほぼお任せ。だからこの自転車を紹介する時に、細かいスペック、例えば、ダボ穴が多いとかデモンタブルであるとかロッカーエンドであるとか、少しスローピングしているとか、レバーがアルフィーネDi2だとかいった事は、我が物顔で語るよりも、それを実際にどう使ったのかという結果こそ、ビルダーとの関係における自分の役割であり、この自転車の特徴であるといえる。
そろそろ次のアップデートが迫ってきたMy REW10WORKS。これまでのまとめ的に、どんなライドをどんなスタイルで走ってきたのがざっとまとめてみよう。
1DAY ライド編
矢作川を河口から遡って豊田まで走った #BIKEto鬼まつり の時の装備。フレームバッグにはカメラの三脚と雨具とパンク修理キットなどが入っている。CXレースにむけて、チェーン落ちを防ぐ目的でクランクをアルテグラからGRXに交換したのもこのあたり。
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1−2泊のライドやバイクパッキング編
BIKE to 山道祭へ参加するためFDA飛行機輪行しているところ。ライドとハイクをするための装備が全て積載されている。フラットバーにしてフロントバッグを大型化できたので寝袋などを収納した他、岩手山に登るためのザックもフロントバッグに押し込んである。
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梅雨の時期に開催されるSwift Campoutに合わせて日本でも有数の多雨地帯である大台ケ原で雨中キャンプライドをやってみた時の装備。担ぎがあるグラベル林道ライドなのでフレーム前三角は肩を入れるために開けておき、荷物は完全防水のパニアとサドルバッグに詰めてある。ポーセリンロケットのマイクロウェーブパニアは本当に良くできていて、いまだこれを越えるパニアバッグは無いなと思えるほど。
1週間以上のロングライド編
中国の雲南省へライドへ行った時の装備。飛行機輪行、標高3000mオーバー、気温5~30℃という条件だった。増設したフレームダボをフル活用して10泊11日分の荷物が積載されている。King cageのメニシングケージは2階建て。ダウンチューブ下にはカーゴケージに工具類が入っている。
新島へ行った時の装備。羽伏浦海岸のメインゲートでYouTuberらしい女の子にモデルをしてもらった。サーフボードの他にキャンプ道具や結婚式参加道具、八ヶ岳への登山道具など、その後の予定の荷物まで満載する必要があったため、バーレーのトレーラーTravoyを引いていった。荷物はキャンプ地にデポしてライドにも出かけた。
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レースや競技編
必ず持たなければならない装備が決められているOMM BIKEのレース。その必携品だけならフレームバッグかサドルバッグどちらかでOKだけど、この時は他にも色々持っていた。担ぎや押しがあるので歩きやすいようにフラットペダル+ストラップにしてトレランシューズで出場。ハンドルの上に自作マップホルダーが載っている。
九州シクロクロス原鶴温泉の回に遠征した時の装備。この他にメッセンジャーバッグも背負った。博多から自走で向かったけど、予想外に猛吹雪でこれまで最も過酷だったライドのひとつ。ディスクブレーキって凍るのね。寒くない九州CXに行ってみたい。他にも野辺山や東海CX、トラクロ世界戦などもこれで走っている。
最初期の頃
ミャンマーを走って仏教遺跡バガンまで行った時の装備。まだ旅や自転車のスタイルが固まる前で、とにかくバタバタと準備して出発した感じだった。1週間ほどのライドだったが、意外と必要な荷物が少なくパニアにも隙間が多かったり、レバーで手が痛くなったり、様々な発見がある良い経験だった。
この人にしてこのバイク有り
ここに挙げた他にも様々なライドにでかけ、レースに出場し、日常的に通勤や移動にも使っているREW10製のタフで万能のバイク。依頼当初の理想はしっかり体現できているように思う。
オーダーした当時は友人に仕事を依頼するぐらいの感覚だった。でも実際にこうやって時間をかけて使い込んでいくと、ただ友人という関係だけでなく、ビルダーとユーザーとしての関係も相当に良かったんだという事に気づく。フレームビルダーに制作をオーダーするという事は、その人の作品を買うという事と同義である。何でも作ってもらえるわけではなく、REW10のバイクを作ってもらう事。その上で自分の乗り方や使い方とフィットするかどうかが問われる。REW10との相性が良いのはおそらく偶然ではないだろう。自分のバイシクルライフのルーツであるメッセンジャーという職業でつながっているからだ。デリバリーと遊びを拡張していくようなライドに、同じルーツをもつモノづくりは密接にリンクしていたのだ。
カスタムオーダーバイクの魅力はそういったビルダーとの関係にもある。自分の場合はちょっと特殊な関係だったけど、一般的にはそこに自転車店というもうひとつの重要要素が入ってきてさらに面白くなる。
サークルズでは多くのフレームビルダーとコミュニケーションして、専門的な知識と経験を元にユーザーとの関係を取り持っていく。時間もお金もかかるし、コミュニケーションも大変だ。色々な問題が起こるけれど、最終的に”この人にしてこのバイク有り”となるのが本当に面白い。そして、それがしっかり使い込まれていくのを見ると本当に嬉しい。ぜひ、こんな感じで、これまでのライドの様子と、これからやりたいライドのイメージを大量に持ってカスタムオーダーに挑んでみて欲しい。世界をぐっと広げるために。
6月に開催した白州のバイクロアの時にブルーラグのYouTubeでもこの自転車の事を話しているのでこちらも良ければ見てください。自転車の話は中盤から後半ぐらいです。
これまでサークルズで組んだバイクのフォトアーカイブ公開中。
バイクのカスタムイメージを膨らませてみてください。