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Ridealive 2016 ROUTE-4

自分の足で、荷物を積んで300キロを走りきる。

そんな距離を自転車で走ろうものなら、大変な苦行であることは容易に想像がつく。

だが、生粋の自転車バカにはそんなことは関係ない。

自転車でなら、それすらも楽しいのだ。

僕の今年のRIDEALIVEのテーマは「リベンジ」そして「ファストバイクパッキング」
パインフィールズマーケットのミユキさんとは対照的な僕のチャレンジは、ルーツを辿れば去年のRIDEALIVEに遡る。

その頃、東京でメッセンジャー(自転車便)をしていて体力だけは自信のあった僕は、東京からキャンプ道具を持って18時間でRIDEALIVEに自走で行くという成功する根拠のない無謀な旅を計画した。

キャンプ道具がどれくらいの重さになるかも、その状態で100km走った感覚もわからずに。

案の定3回のパンクを経験し、敢え無く間に合わないと判断した僕は新幹線で豊橋駅まで輪行して、なんとかゴールにたどり着いたのだった。

そして1年後、名古屋に引っ越した僕は、再び自転車に乗って名古屋を目指していた。

現実逃避ではなく、みんなが待つ場所に帰るために!


仕事を早めに抜けさせてもらい、18時29分発のこだま676号に乗るために名古屋駅へ。

金曜日ということもあり構内は人がごった返している。
こんなときの輪行は正直面倒だが、ちゃちゃっと袋に詰めて切符売り場へ急ぐ。

券売機の列に並び、東京行きの新幹線自由席の切符を買う。
1万円を払って320km走るのは、SDA王滝の100kmのエントリーが1万円と考えると安いもんだなと思ってしまう自分がいた。

車内で寝れると思い、敢えてこだまにしたが、案の定緊張で寝れずに、1時間も寝れないまま東京駅に到着。

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今回の旅はジャイアントのカーボンロードバイクにサドルバッグやフレームバッグを装備したファストバイクパッキングスタイルで挑んだ。

自転車の重量が6.8キロと軽量なロードバイクには、もちろんキャリアを取り付けるようなダボ穴は装備されていない。

サドルバッグ、フレームバッグ、フロントバッグシステムをポーセリンロケットでまとめ、テントをファストパッカーに有名なシックスムーンデザインのタープ(約500g)にすることによって重量を抑えることができる。

そこに着替え、朝食を作るためのクッカー、修理キット、ミラーレス一眼レフカメラ、水などをフレームバッグ等に装備すると約15㎏にはなっていただろう。

キャンプライドをするための自転車にしては軽量な方だと思う。
さらに体にまとうバッグは無し。ロングライドでは自転車が重くなってもなるべく身体の負担は少なくしたいのだ。肩のこり方、お尻の痛くならなさに差が出る。

フロント周りのパッキングに多少不安はあるものの、輪行のとき解いていたパッキングも直し、写真を撮り終えSNSに出発報告をして、22時20分、東京駅のメインストリートである行幸通りからスタート。

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この辺りはメッセンジャー時代にイヤというほど走った道。懐かしい気持ちを噛み締めながら、芝、田町、品川と走っていく。

品川から川崎に抜ける国道15号線は花金を終えたサラリーマンを乗せたタクシーが忙しなく走っている。
東京都心の金曜日夜のタクシーの運転は、名古屋と比べてもだいぶ荒い。

名古屋の道は道幅が広く、車が少ない。
いや、名古屋が少ないのではなく東京が「多すぎる」のだ。

旅の始まりはアドレナリンがよく出るので脚はまだ軽い。

平均25km/hをキープしてあっという間に神奈川県に入り、いつものバイクとのフィーリングの差を少しづつ、少しづつ埋めながら、50km弱を走り、始めての休憩ポイントのコンビニでコーラを一気飲みした。

まだまだ旅は始まったばかりだが、ここまで来ると街の装いも首都圏とは変わってくる。
走る車も減っていき、暗闇の中ペダルを踏み続ける。チェーンとタイヤの走行音が東海道に響く。

自転車はこれだからやめられない。

順調に走ると最大の難所である箱根峠に近づいてきた。
箱根は七曲りで有名な旧道ではなく国道1号線の箱根駅伝ルートを選択。

宮ノ下交差点を左折すると急激に斜度が急になるので初めて固定ギアで登った際はここで足をついてしまったが、今回はバイクパッキングで重量が重いがロードバイクだ。

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以前登ったのはいつ頃だろうか。そのときよりは楽に登れている。

カーボンホイールのお陰だろうか。いや、名古屋に来て自分はもっと走れるようになっている。
そんな感触を抱きながら軽いギヤでくるくるとペダルを回し峠を登っていく。

1時間ほど漕ぎつづけ、国道1号最高地点に到着した。874mの頂上は真夏だけど少し肌寒い。

新調した200ルーメンのヘッドランプを頭につけて再び出発する。ヘッドランプはブルベライダーの西田さんに持っていくといいと教えてもらった。先人の知恵はとても偉大だ。

沼津の夜景を見ながらリズミカルに峠のコーナーを処理していく。荷物のせいでバイクが重いが、ヘッドランプのお陰で道が明るく、安心して下ることができた。ここを荷物無しで下ったら相当気持ちいだろうな、と考えながら標高15mまで一気に駆け下りた。

この時点で午前5時30分。instagramを覗くと早い人はもうRIDEALIVEに向けてスタートしている。
僕は残り173km。気が遠くなるような距離だけど、絶対に乾杯の18時には間に合わせる。

気合を入れ直し、静岡の道を再び走り始めた。

外が明るくなり、走りやすくなったのだが「暑さ」に苦しめられることになる。
幸いコンビニはたくさんあるのでいつでも冷たいものは補給できるが、休みを多く入れてしまうと平均スピードが下がり、間に合わなくなってしまうので計画的に休まなければいけない。 

さらに200kmを超えたところで襲ってくる睡魔と疲労。
本来であれば50kmまたは2時間を基準に休む予定だったが、あまりの疲れに前回停まったコンビニから25km走ったところで再び休憩をとってしまう。

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アイスを食べるときにに#buildersdofuji2016のブログにあったアイスの本数という項目を思い出した。自分も今日何本のアイスを食べることになるのだろう。

保冷のないただのボトルを持ってきたことを悔やみつつ、コンビニで氷のみを買いボトルに詰め込んで走り、溶ける水を身体にかけて暑さをしのぐ。これが冷たい水を得る一番の方法だった。

序盤で積み上げたマージンが段々と削られていくことに焦りを覚えるが、まだ、まだ間に合う。そう思いながら宇津ノ谷峠を抜け、金谷の峠を越えた。

ここで目標にしていた18時間での到着は現実的に厳しくなってきたが、仮眠を含めた1時間の大休憩を思い切って取ることにした。

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楽しくなきゃRIDEALIVEじゃない。

ケイタさんに言われた言葉。
去年はこの言葉を聞いて新幹線に乗ったが、今年は違う。もうすぐ浜松だ。

掛川から東海道を外れ、ガーミンのルート頼りでキャンプ場までの最短ルートをトレースしていたのだが、途中高速脇のグラベルに迷い込んだ。25cのGP4seasonでパンクしなかったのはコンチネンタルタイヤのお陰か、はたまた不幸中の幸いだったのか。それでも僕は、これからもコンチネンタルのタイヤを使い続けるだろう。

今回の旅ではガーミンのライブトラッキング機能を使って現在地をリアルタイム配信していた。
先日行われていたTJAR(トランスジャパンアルプスレース)でもライブトラッキングを使い選手の現在地が公開されていて面白いなと思い導入してみたのだが、浜松の手前でまさかの出会いが。

道の先に見慣れた自転車と見慣れたテンスピードヒーローのジャージを着た人が。

先日のサークルズロングライドin浜松でルート作成を手伝ってくれた友人のオサムさんがモーニングライドの途中、ライブトラッキングを見て追いかけてきてくれたのだ。
これには自分も思わず声をあげて驚いてしまい、しばし談笑し、慣れないルートを走る僕を地元のオサムさんが一緒に走り、浜名湖の湖北に行くいいルートまで連れていってくれた。

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ひたすら一人旅になると思っていただけに嬉しさも倍増。やっぱり一人も好きだけど、誰かと走ってサドルトークをするのも最高に楽しいと改めて実感した。

補給食やドリンクを頂き、再び一緒にライドしましょうと誓いを立てて、オサムさんと別れて浜名湖へと向かった。

ただ、これだけで終わらないのが浜松。

湖北の外周を走っていると、急に沿道から大きな声が聞こえてきて、サークルズロングライドin浜松でお世話になった渡辺さんがさながらロードレースの応援のように「アレ!アレ!」(フランス語で頑張れ!の意味)と叫んでくれていた!

浜松ナベタク応援団!! #ridealive2016 #circlesjapan #rideinhamamatsu

Tsuyoshi Watanabeさん(@jane1990t)が投稿した動画 – 2016 8月 26 10:22午後 PDT

 


渡辺さんもライブトラックを見て追いかけてきてくれたのだ。驚きすぎて一度そのまま通り過ぎてしまったが(笑)、引き返してお礼を言い元気をもらい新城の登りに向かった。

お二人とも、本当にありがとうございました。泣きました。元気もらいました。

浜名湖を抜け、新城に向けて国道301号を登り始めた。あと20キロ、のはずだった。
ここから地獄を見ることになるなんて。

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さっきまでなんとか持っていた雨が降り出し、平均4%の登りが10km続く壁のような峠へ入っていく。
もう300km走った身体には堪える登りだ。

ガーミンに入れたデータが道路をトレースしていないので正確な斜度と距離は出ない。
この雨の登りがいつまで続くかわからなくなった。

思わず誰もいない峠で自分に喝を入れるために吠える。

まだか、まだかと必死で登った。

登りきったその先には高原が広がっていた。
いつのまにか雨も上がり、雲の切れ間からは斜陽が覗き、雨を照らす。濡れてミューの減った平坦路を必死に走る。

そして記憶に新しいグルメセンチュリーライド足助のグッドルートの一つだった三河湖の外周に入ってきた。

ここまで来たら残り5キロ。いける、いけるぞ!と今まで走ってきた道のりが走馬灯のように頭を駆け巡る。

最後のどぎつい登り坂を死ぬ気で登って、キャンプサイトまでのグラベルを走りきって、みんなの待つキャンプ場にゴールした。

18時5分、時間にして19時間45分で完走。
結局走ったのは334km、獲得標高は2937m。当初の予定より10km長く走り、400mも多く登っていた。

いろんな人からお疲れと言ってもらい救われた気分だった。
到着したらヘトヘトですぐ寝てしまうかなと思ったけれど、みんなと喋れることが嬉しくて、ついつい夜更かししてしまい、それでも早いが、スタートから24時間後の22時、慣れないタープの中で熟睡し、僕のRIDEALIVE1日目が終わった。

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走り終わった後はもう1週間ぐらい自転車乗らなくていいや、とも思った。

こうして寝ずにロングライドをするのは3回目になるけれど、毎回使っているバイクも違うし、走っているルートも違っている。
新しい自転車を買うと、長い距離を一緒に走りたくなる。

一緒に旅をすると、普段の生活では見えてこなかった「自分の自転車」のこと、そして「自分」をもっと知ることができるのだ。

それに、今回は「仲間」が待っててくれたから頑張れた。

200キロを超えるロングライドは、しんどいし、あまりオススメできない。
けれど自動車や電車にはない「自分の力で行った」という感覚は自分の中で自信として残り続ける。

さぁ、次はどこへ行こうかな!


TODAY’S RIDER

Ridealive 2016

BikeGIANTTCR ADVANCED SL2
TireContinentalGrandPrix 4season 25c
NaviGarminEdge 810J
LightCATEYEVOLT 300&RAPID X
SeatFabricLine
Main GroupShimano ULTEGRA 6800
PEDALShimano PD-M8000XT
Handle BagPorcelain RocketMCA
Seat BagPorcelain RocketVERA
Frame BagPorcelain RocketFramePack Large
HelmetLAZERBLADE
ShoesSuplestCrossCountry Carbon
SocksRALRS HOSE

RIDE ROUTE


TEXT by ナベタク / PHOTO by ナベタク


Ridealive 2016