さて、前回の【PIT TIPS】ディスク教本 vol.2-ディスクブレーキの導入準備- にて自分の自転車にディスクブレーキがつく旨を確認し、「ワイヤー引き」か「油圧」かの構造を決めたのであれば、いよいよレバーとキャリパーを選びましょう。
選び方の注意点、先ずは「油圧」の場合のキャリパーとレバーについて。
「油圧」の場合は、キャリパーとレバーの互換性が重要になってまいります。
よほど特殊な場合でないかぎり、レバーとキャリパーのメーカーとモデルは揃えましょう。
メーカーを超えての互換性は、全くないと言って良いです。
特にドロップハンドルで油圧ブレーキを使用の場合は、変速レバーと一体になっていますので、そのメーカーやモデル、変速の段数にも気をつけておく必要があります。
続いては「ワイヤー引き」を選ぶときの注意点。
今お使いの自転車に「ワイヤー引き」のディスクブレーキを導入もしくは交換となるときは、レバーはそのままの使用となることが多いかと思われます。
その時は、特に注意していただくポイントがあります。
それは、使用されるレバーの「レバー比」。 これが用いるレバーによって異なるということにお気をつけください。
難しいことを言えば色々出てくるのですが、自転車の場合は2種類の違いだけを覚えればOKです。
「ロングリーチ」と「ショートリーチ」の2種類です。
もう一つの言い方は、「Vブレーキ比」と「カンチブレーキ比」ですが、同じ事を言っていますのでどちらかをご記憶いただければ十分です。
この二つ、普通のリムブレーキを選ぶ際も重要となってくるのですが、全く互換性がありませんのでご注意ください。
もしミックスして使ってしまうと、コントロール性が著しく悪くなり、ブレーキが効きすぎたり、効く力が弱かったりと走行に際して重大な事故の発生原因となりますので本当にご注意ください。
自分のブレーキのレバー比がわからない時は、各メーカーサイトでモデル名を参考にお調べくだくかショップスタッフにお問い合わせいただくのが一番です。
何がどう違うかは、PAUL COMPONENT の Klamperのキャリパーを例に見てみましょう。
黄色の線で描かれている部分がレバー比の違う部分です。
先ずは正面から。
続いて真横から。
このワイヤーを保持し、中のピストンを動かすレバー部分の長さを変えることでレバー比を変えています。
比較できれば簡単なのですが、一つしかないと違いを判別するのは難しくなってきますので、必ず購入前に確認してください。
さあ、レバー比が判別できましたらいよいよ、キャリパーを選びましょう。
「ワイヤー」「油圧」を問わずキャリパーには、パッドを動かすための動作が2通りあります。
それは。「両押し」「片押し」です。
これは、レバーを引いた時、ローターに接触して制動力を生み出すためのパッドを動かすピストンが、「両側とも動くか」「片側だけ動くか」の違いです。
このような感じで動きます。
両押し
片押し
それぞれの利点・欠点は、
両押し:ピストンが平行に動くためブレーキのタッチが良い
構造が複雑化するので重く高価になりやすい
片押し:構造が簡単なため壊れにくく軽い
片側しかパッドが動かないのでパッドの削れ方が均一にならない
簡単に書くとこのような特徴があるのですが、最近は「油圧」で片押し構造のモノを見かけることは少なくなりましたし、「ワイヤー引き」ではTRP以外で両押しのものは見かけませんので、「油圧=両押し」、「ワイヤー引き≒片押し」と思っても大きく間違いにはならないかと思います。
さあ、これでキャリパーとレバーを選択する条件は整いました。
沢山のメーカーとモデルがありますのでワクワクして選んでください。
迷った時は、いつでもお気軽にご相談を。
長々続く、ディスク教本も残りあとわずか。 もう少し頑張っていきましょう!!
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