こんにちは!
Circles Tokyoの吉本です!
早いもので、Circles Tokyoがここ東京に根を下ろしてから、丸2年という月日が経ちました。
そんな2周年という一つの節目を祝うにあたって、僕らが選んだのは、華やかなパーティーでもなく、セールでもありませんでした。「みんなで自転車に乗り、日常の向こう側へ行くこと」。それこそが、何よりもCirclesらしいお祝いの作法だと思ったんです。
金曜日の夜9時半に集合というタイトなスケジュールの中、なんと11名もの方がこの企みに参加してくれました!
最高のライドになりましたので、その様子を皆さんのライドのヒントとしてお届けしたいと思います。



華金の喧騒を抜け出して。いざ、夜の東京湾へ。
20時の営業終了後、華金で賑わう新橋の街を横目にペダルを踏み込みます。金曜夜の都市が放つ特有の熱気と、これから向かう大自然との鮮やかなコントラスト。今回の周年ライドの行き先は、東京から南へ120km離れた伊豆大島です。
22時、ゆっくりと大型客船が竹芝埠頭を離れました。 乗船後、一度は各々の部屋へと散らばったものの、誰が声をかけるでもなく自然発生的にデッキへと人が集まってきます。普段の生活では絶対に見ることのできない、海側から見上げるレインボーブリッジの巨大なインフラの迫力や、東京湾の夜景をアテにしてまずは乾杯!
さっきまで見ず知らずだった参加者同士が、「自転車」という強力な共通言語を通じて一気に打ち解け、友達になっていく。まさに自転車が人と人を繋ぐライドイベントならではの最高の瞬間です。
船はお台場を抜け、東京湾を静かに南下していきます。明日のライドに備えて早めに休む人、海風を感じながら酒盛りを続ける人と、船上での過ごし方も人それぞれ。僕が自分の寝床に潜り込んだのは深夜1時を回った頃でした。 驚いたのは、その時間でもまだ浦賀水道を抜けきっていないこと。船の上にいることを忘れてしまうほど揺れが少なく、穏やかな海面を滑るような静けさの中、すぐに深い眠りにつくことができました。


翌朝、大島到着30分前の5:30。船内アナウンスで目を覚まし、身支度を整えて甲板に出れば、そこはもう別世界です。
海風を肺いっぱいに吸い込みながら、白みゆく空の下で全員で輪行を解除していく。スルーアクスルを通し、ディレイラーの動きを確認する間に、いよいよ始まるライドへのワクワク感が最高潮に達していきます。
前半にピークを持ってくる。大島一周ライドの全貌
今回のコースプロファイルは、岡田港を出発して時計回りに大島を一周する約55km。距離だけを見れば手頃に思えますが、獲得標高は1000mに達します。最大の目標である「裏砂漠」をはじめ、島のダイナミックな地形とフォトスポットを余すことなく巡るルート設計です。
岡田港を出発すると、まずはひたすら登りが続きます。ルートの断面図を見れば一目瞭然、文字通り「前半が最大の山場」なんです。ここで一気に標高を稼ぎ切ってしまうのが今回のキモ。というのも、ちょうどお腹が空き切った最高のタイミングで、昼食ポイントの元町港に到着できるという回り方なんですよね!
中盤は、裏砂漠を抜けてから昼食を予約している元町港の「寿し光」さんを目指します。その道中もただ走るだけではなく、波浮港のノスタルジックな景色や、地球の鼓動を感じる「地層大切断面」など、大島ならではのスケール感に立ち寄れるルーティング。
そして後半戦は、元町港から海岸線をなぞるように続く「サンセットパームライン」を走り抜け、再びスタート地点の岡田港へと戻ります。そんな、1日のストーリーが綺麗に完結するような日帰りライドプランです。


いざ出発。ペダルを回し、土地の文脈を読み解く
いよいよライドがスタート。前半の山場となるヒルクライムは、ひたすらそれぞれのペースでペダルを回していきます。心拍数が上がり息も絶え絶えになる中、まるでジブリ映画に迷い込んだような「泉津の切通し」に立ち寄って記念撮影。神秘的な空間に少し癒されつつ、さらに上を目指します。
延々と続く登りのしんどさは、周りの景色や地形をじっくり観察して気を紛らわせるのが僕のスタイルです。路面のコンディションを読むのと同じように周囲の植生を眺めていると、ふと「大島って、やけに椿の木が多いな」ということに気がつきました。

後から調べてみて合点がいきました。火山灰の土壌と、容赦無く吹き付ける強烈な潮風。そんな過酷な自然環境から家屋や畑を守るための「防風林」として、島の人々が古くから椿を植えてきた歴史があるんです。かつてはそこから採れる椿油が島の主要産業として栄え、一時は衰退してしまったものの、現在は復活に向けて地元の方々が活動されているとのこと。ただの風景に見えていたものが、途端に島の人々の暮らしの輪郭を帯びてきます。
今回は残念ながら花はほとんど散ってしまった後でしたが、満開の時期なら、赤やピンクに彩られた鮮やかな椿のトンネルの中を走れるはずです。 ペダルを回しながら、その土地の歴史や人々の営みをダイレクトに肌で感じ、想像できること。これこそが、僕らが自分の脚で進む自転車という乗り物に惹かれる最大の魅力ですよね!
裏砂漠の非日常と、ATBの真価
長く苦しいヒルクライムを登り切った先、ついに裏砂漠へと続く入り口に到着します。そこから1kmほどが裏砂漠に続く自転車が走行可能なグラベル区間です。進むと車両の乗り入れを制限する柵が現れ、バイクをデポして少し歩くと視界が一気に開け、圧倒的な展望が目に飛び込んできました。
三原山の噴火によって降り注いだスコリアで一面が覆われたその光景は、本当にここが日本かと疑うほどのスケール感です。真っ黒な大地を構成するこの小石、見た目はずっしりと重そうですが、手に取ると空気をたっぷり含んでいて驚くほど軽いんです。




こんな非日常のロケーションに飛び込むと、大人になっても本気ではしゃいでしまうもの。ザクザクとした火山礫の上を自転車で走るという圧倒的な非日常感にテンションが上がりすぎて、バランスを崩して転倒してしまう人も(笑)。でも、それが最高の遊びってもんですよね。
「じゃあ、オフロード用の太いタイヤじゃないと走れないの?」と思うかもしれませんが、ご安心ください。 ところどころタイヤが埋まるようなルーズな区間はあるものの、基本的には固く締まった路面です。重心の位置を意識して、後輪に上手く荷重をかけるペダリングさえできれば、ロードバイクでも十分に前に進むことができます。
実際、今回の参加者の中にはトラックバイクや、小径ロードのBIKE FRIDAY / Pocket Rocketでこの区間を走り切った強者もいました!どんな機材であっても、乗り手のスキルと「走ってみたい」という純粋な好奇心さえあれば、道は切り拓ける。機材のスペックにとらわれず、自由に自転車を楽しんだ瞬間でした。


重力に身を任せる極上ダウンヒルと、数万年のタイムスケール
裏砂漠の荒々しい黒の世界を抜けると、今度は真っ青な海へと飛び込んでいくような極上のダウンヒルが待っています。実は走り始めからずっと感じていたのですが、大島はとにかく路面の舗装が綺麗なんです。タイヤのグリップをしっかりとアスファルトに伝えながら、不安なく重力に身を任せてコーナーをクリアしていく感覚は辛いヒルクライムを耐え切った人だけに訪れるご褒美ですね。下り切った先の高台から見下ろす「筆島」や波浮港の景色は、まるで映画のセットのような美しいコントラストを描いていました。




気がつけば、朝6時半に岡田港を出発してかれこれ4時間。11時半に予約している元町港の「寿し光」さんへ向けて、いよいよラストスパートです。 しかし、ここで海岸線特有の細かいアップダウンと、補給ができないコースがじわじわと脚を削ってきます。巨大なバームクーヘンのような「地層大切断面」が見えてくれば、ゴールはもう目の前。
過去数万年分の火山の噴火史が幾重にも重なったこの壮大な地層を前にすると、僕らがこうしてペダルを回している時間なんて、地球の歴史から見ればほんの一瞬のまばたきみたいなものだと思えてきます。そんなロマンを感じながら、最後の登りを乗り越えます。

島の恵みが染み渡る昼食と、海面を滑空する帰路
たどり着いた寿し光さんでいただいたのは、大島名物の「べっこう(白身魚の唐辛子醤油漬け)」と新鮮な地魚がたっぷり乗った『島丼』。ろくに補給できずにカラカラになった身体の隅々にまで、島の恵みが染み渡りました。この一口の美味しさを全身で味わうために走ってきたと言っても過言ではありません。


元町港から岡田港までは残り10kmほど。美しく整備された海沿いの「サンセットパームライン」を、満腹のお腹を抱えながら、景色を楽しむ心地よいスピードでクルージングしていきます。
帰路は岡田港からジェット船で約1時間半の船旅。ガスタービンエンジンで海水を強力に噴射し、船体そのものを水面から浮上させて進むという構造のため、波の影響を受けにくく揺れは最小限に抑えられます。まるで飛行機で海面スレスレを飛んでいるかのように、見たことのないスピードで進む感覚は、旅の締めくくりにふさわしいちょっとしたアトラクションでした。



3年目もペダルは止まらない
1週間前までの土砂降り予報から一転、見事な快晴に恵まれた今回の2周年記念・大島一周ライド。島一周のルートがもたらすダイナミックな景色の変化や、補給ゼロの区間を仲間と励まし合いながら乗り越えたリアルな手応え。これらはすべて、自分の脚でペダルを回したからこそ得られた、かけがえのない経験値です。
僕らCircles Tokyoが、ただ自転車を整備して販売するだけでなく、こうしてお店を飛び出してライドイベントを企画し続けるのには理由があります。 それは、自転車という最高にアナログな機材が、人と人、あるいは人とその土地のカルチャーを繋ぐ機能を果たす瞬間を、皆さんと直接分かち合いたいからです。
ここ東京の街に根を下ろして丸2年。いよいよ3年目へと突入するCircles Tokyoですが、これからも奥深い魅力を発信し続けていく決意です。
機材の相談から、次の週末の遊び方の作戦会議まで。 3年目のCircles Tokyoも、皆さんと一緒にペダルを回して笑い合えたら最高です。これからも、どうぞよろしくお願いいたします!
