「一目惚れ」はやっぱりあるのだと、改めて思ったは昨年の春。
ふらりとお店を訪れたお客様。店内を隈なくチェックした後に足を止め、その頭上を見上げていた。
そこにあったのはカリフォルニア・ナパで生まれたRETROTECの26インチのMTB。

滑らかに繋がるトップチューブとシートステーの曲線。
ダウンチューブからシートチューブへと、もう一本のラインを描くように伸びるチュービングワーク。
そして、淡いグレーとライラックのツートーンカラー。

「これはRETROTECという〜」「フレームの造形は特徴的で〜」なんてお話をしたのですが、その前にすでに答えは出ていたのでしょう。
目に留まったその1本のフレームに惚れ込み、どんなアッセンブルにしていこうかという妄想が、頭の中でぐるぐる巡っていたようです。
特別な目的があったわけではありません。
それでも、その佇まいに魅せられ「これに乗りたい!」と自然に決意されたのです。まさに一目惚れです。
そしてかたちとなったのが今回ご紹介する1台です。

山の中を駆け回るためではなく、街の中をゆったりと、気ままにクルージングするためにシングルスピードのクルーザースタイルとして組み上げました。
フォークはSIMWORKS Doppo Roninを手掛けるSHIN・服部製作所へオーダー。

このRETROTECのフレームが持つ、特有の有機的なラインに呼応するように、クロモリ製のリジットフォークを製作。しなやかさと直感的な操作感を優先しました。また、フレームとの相性を考慮したユニクラウンスタイルのものとなっています。
もともとはサスペンションフォークを装着することを前提に設計されたフレームですが、乗り方の好みによってはこのようなフォークを選択するのも正解です。
パーツ構成は、オーナー様がこれまで使ってきたものと、新たに選び直したものを丁寧にアッセンブルしました。



| Frame | RETROTEC The Double 26″ MTB |
| Fork | SHIN Custom Unicrown Fork |
| Headset | CHRIS KING NoThreadSet 1-1/8″ |
| Handlebar | WHISKY PART CO Mil House Carbon Handle Bar |
| Stem | PAUL COMPONENT Boxcar Stem |
| Grip | OURY GRIP Dual Clamp Lock-on Grip |
| Brake Lever | PAUL COMPONENT Canti Lever (Pair) |
| Brake | GROWTAC Equal Mechanical Disc Brake Caliper Drop(Post Mount) |
| Saddle | BROOKS C17 |
| Seatpost | WHISKY PART CO No.7 Carbon Seatpost |
| Seatpost Collar | CHRIS KING King Seatpost Collar |
| Crank | WHITE INDUSTRIES M30 Crank |
| Chainring | WHITE INDUSTRIES TSR Chainring |
| Chain Tensioner | PAUL COMPONENT Melvin Chain Tensioner |
| Bottom Bracket | WHITE INDUSTRIES BSA Bottom Bracket 30mm |
| Front Hub | WHITE INDUSTRIES CLD Hub Front 100mm QR |
| Rear Hub | WHITE INDUSTRIES CLD Hub Rear 10mm x 135mm QR |
| Rim | VELOCITY Blunt 35 Polished |
| Tire | ULTRADYNAMICO Cava Race |
| Pedal | SIMWORKS Taco Pedal |




クランク、ハブはWHITE INDUSTRIES製品を、リムはVELOCITY のBLUNT 35のポリッシュカラーをチョイス。そしてULTRADYNAMICOのCava Raceのグレーカラーがフレームの淡い2トーンカラーをバランス良く引き立てています。


また、ハンドルとシートポストには、お持ちだったWHISKY PARTS COののカーボンパーツを組み合わせました。アンバランスな気がするのですが、なぜかすとんと腹に収まる、不思議な感覚。でもそれがとても良いものだということは自信を持って言えるのです。


シングルスピードにするために装着したPAUL COMPONENT のMelvin Chain TensionerとBoxcar Stem Face Plateの鮮やかなパープルは良いアクセントになっています。


こうして完成したRETROTEC The Double MTB。
用途から入るのではなく、惹かれた形から始まる選択。
そこに正解も不正解もありません。
ただ、自分が乗りたいと思ったかどうか。
その一点だけで、すべてが決まる。
特別な遊びだけでなく日々の移動そのものを少しだけ豊かにしてくれる存在。
そんな一台に仕上がったのではないでしょうか。

タイミング悪く納車に立ち会うことはできませんでしたが、その当日にすぐにライドに出かけられたそう。内海峠の切り通しへ行ってきたご報告がとても嬉しかったです。
