こんにちは!
Circles Tokyoの吉本です!
今日は紹介したい人物がいます!
RALのモデルで登場したり、Circles Tokyoによく遊びに来てくださっている方は、店頭でその顔を見たことがあるかもしれません。このブログでは初登場となります。

彼の名は、ウィリアム。
台湾出身で、Circles Tokyoの立ち上げからマネージャーとしてこのプロジェクトに関わる、私たちの頼れる兄貴分です。いわば、Circles Tokyoの「裏方」で辣腕を振るうキーパーソンです。
そんな彼がこの度、RETROTEC Ti Double “Hella Monster Cross”をオーダーしました。
なぜこのフレームを選び、どんな意図で組み上げたのか? 同じ自転車屋のメカニックとして、その一台に迫りたいと思います。


このオーダーに至った経緯を聞きたいです!2024年のMADE Bike Showでのカーティス・イングリス氏との出会いが決定打になったそうですね。マネージャーとして、彼のどんなところに最も心を動かされましたか?

2024年MADE BIke Show のあの翌々日。
ビルダーたちと走るC2Cトレイルライドの中で、山奥の静けさを破って突然タイヤがパンクしました。
「Would you like me to help you?」
落ち着いた優しい声で声をかけてくれたのがCurtis Inglis(カーティス・イングリス)。RETROTEC / INGLIS CYCLES のフレームを作り続けて30年以上、ナパのガレージから世界へ送り出し続けてきた男です。これがファーストインプレッションでした。





カーティスは非常に静かで穏やかな印象だけれど、その奥には揺るがない芯がある感じています。自転車フレームビルダーとしてのキャリアは長く、1993年から作り続けてきたという事実だけでも、彼がどれほど“続けること”に強い愛情を持っているか伝わってくきますよね。
Circlesの紹介でも触れられていた通り、カーティスにとって自転車を作ることは、決して「パイプを溶接して形にする行為」だけではない。そこにあるのは、人との関係性。
注文してくれる人との対話の時間、相談する時間、送る瞬間までを含めて、一つのサイクルだと考えているんじゃないかな。
そして彼の作るフレームラインがどこかクラシックで、どこか可愛く、そしてなぜか力強い理由のひとつは、彼が古い車のレストアを愛しているからだと思う。ガレージでトライアンフを手直しし、70’sのシェルビーを蘇らせる。その“完成していないものを、自分の手で完成させる”行為が、フレームビルダーとしての彼の創造性の源泉になっている。
あの山奥でのたった一言は、まさに彼の人格そのものだった。
静かで、優しくて、プロとして自然で。
秒でチューブ交換してくれたお礼として、一蘭のカップ麺を笑って受け取ってくれたのも、彼らしい。





普段から様々なブランドを見ているウィリアムが、「今」ハンドメイドビルダーのチタンフレームをオーダーした理由は何でしょう?

2024年のあの出来事をずっと思い返していました。「RETROTECにいつか乗りたいな」とは思い続けていたけれど、ハンドメイドビルダーの一台を手にするにはまだ早いんじゃないか…という気持ちも正直あったんです。
でも、今年のMADE Bike Showの前からビルダー達のインスタ投稿でチタン製フレームをSHOW BIKEとして出すことを見ていて、さらに「まさかのタイミングでカーティスがポートランドへ行くからチタンフレームの新規オーダーを受ける*」と知った瞬間、迷いは完全に消えました。採寸シートをダウンロードし、自分の身体のサイズを測り、そしてCircles名古屋のシゲさんに連絡を入れました。あのスピードは、自分でも驚くほどでしたよ。





オーダーのコンセプトは? 去年のC2Cトレイルでは「苦い経験」をしたと聞いています。今回のオーダーは、その「雪辱」がコンセプトに深く関わっているそうですね。

コンセプトはとてもシンプル。もう一度、C2C Trail を最高に楽しめるバイクがほしい。
オレゴンの C2C Trail。全長100km、獲得標高1,300m。細かな砂利、深い森、時々現れる巨大な倒木。去年のライドでは、当時乗っていたバイクと装備がフィットせず、楽しむ余裕より、苦しさが上回ってしまった。あれは私にとって大きな心残りでした。
だからこそ、その雪辱を果たす。以前は2日間のバイクパッキングでゆっくりと味わいましたが、今度はもっと自由に、もっと気持ちよく走りたい。そのために選んだのが、このRETROTEC Ti Double “Hella Monster Cross”なんです。




ここからはメカニックとして、アッセンブルのこだわりを聞かせてもらいます!
【Frame / Cockpit】
| Headset | WHITE INDUSTRIES EC34 / EC44 |
| Fork | ENVE Adventure Fork |
| Handle | ENVE Gravel Internal 31.8 Bar |
| Stem | PAUL Boxcar Stem 50mm |
| Head Spacer | ENVE Spacer Kit 40mm |
| Bar Tape | ENVE Bartape Dual Grip |
| Saddle | BROOKS B17 Special Titanium |
| Seatpost | PAUL Tall And Handsome Seatpost |
| Seat Clamp | CHRIS KING Seatpost Collar |

チタンフレームのしなやかさを活かすため、コックピット周りは、どんな意図で構成を考えたんですか?

このあたりは“真面目な組み合わせ”。
チタンフレームの最高の振動吸収性を活かしきるために、ENVEの軽さと剛性、PAULの精度と遊び心を加えています。この組み合わせが、チタン特有のしなやかさにコントロール性と快適性に無駄がないというスパイスを与えてくれる。
BROOKS B17 Special Titaniumというクラシックなサドルもルックスと機能の両立を狙っています。



【Wheel / Tire】
| Rim | ASTRAL Serpentine Carbon X 29” |
| Frony Hub | SON28 Dynamo Hub |
| Rear Hub | WHITE INDUSTRIES CLD Boost |
| Spoke | PHIL WOOD Double Butted Spoke |
| Nipple | SimWorks Alloy Nipple |
| Tire | TERAVAIL Ehline 29×2.3″ |
| Valve | PEATYS × Chris King MK2T Valve |

このアッセンブルのハイライト、フロント100mm、リアあえてBOOST(148mm)という攻めたハブのチョイスについて、技術的な狙いを教えてください!

ここが一番のポイントです。リアをBOOST規格(148mm)にしたのは、タイヤクリアランスを確保するという狙いもありますが、後輪の横剛性をしっかり上げ、スポークテンションを左右均等に近づけるためです。モンスタークロスとしてのタイヤボリュームと、バイクパッキングでの荷物積載を考えると、この「安定感」は非常に大きい。29er ホイールに 2.3 の Ehline。これはもう“グラベル”というより、あのタフなC2Cを走破するための“なんでも来い”に近い仕様ですね。



【Drivetrain / Brake】
| Crank | 100% Pure PAUL Cranks |
| Chain Ring | 5DEV 3Bolt Titanium Chainring 32T |
| BB | WHITE INDUSTRIES Square Taper Bottom Bracket 73-121mm |
| Pedal | LOOK Geo Trekking Roc Vision |
| Main Group | SHIMANO GRX 820 12s |
| Disc Rotor | Breaking Stage 0 Centerlock |
| Rotor Lockring | CHRIS KING Lockring |

ドライブトレインは1×12。PAUL Cranksに5DEVのチタンチェーンリング、このシンプルかつタフな構成に込めたメッセージは?

「悩みは少ない方がいい」。これに尽きます。上りも下りも荷物があっても、脚が回れば前にすすむ。シンプルで、正確で、タフ。このバイクに必要なことだけが残っている。
WHITE INDUSTRIES BBやCHRIS KING Lockringなど、最高峰の精度を選んだのは、長距離をストレスなく走るための信頼性を追求した結果です。



【Utility / Light】
| Front Rack | PASS AND STOW 5 Rail Rack |
| Light | SON Edelux II |

最後はこのオプションですね!まさに旅装備。何も気にせずにどこへでもいけそうですね!

ライトをDynamoにする感覚は、電源から自由になるだけでなく、旅の中で心も軽くなるんですよ。
夜が怖くなくなるし、結果的に寄り道が増えて、ライドの幅も広がる。最高のゆとりです。


ここまではアッセンブルを見てきましたが、もう完璧にC2Cトレイルで「リベンジするぞ!」という気合いが伝わってくる組み合わせですね!

ええ。“Hella Monster Cross”っていう名の通り、ジャンルとしてはグラベルだけど、その枠を「一つ超えた存在」に仕上がったと思っています。
- 29×2.3″のタイヤによる絶対的な安心感
- チタンフレームの心地よいしなやかさ
- ENVE のカーボンならではの剛性感と振動吸収
- リアドロップをブーストにしたことよるガッチリした安定性
- Dynamo+ラックという最強の旅装備
- そして RETROTEC らしい美しい造形と遊び心
どんな道でも、自分のペースで進んでいける。その「余裕」こそが、このバイクの一番の魅力だと自信を持って言えますね。




組み上がったこのバイクを見て、ウィリアム自身が最も「特別」だと感じる点はどこでしょうか?

技術やスペックは、どんなバイクにもありますが、最終的にこのチタンフレームを「特別」にしているのは、カーティスというビルダーの哲学に触れた中で生まれた「ストーリー」です。あの山奥でのパンクから始まり、多くの人の手を経て完成したこの一台。これは、人とのつながり、Peace and Loveが詰まった、世界に一台の私のバイクです。
Next Ride With You?
ウィリアムのRETROTEC、いかがでしたか? 「スペック」だけでなく、「誰が作ったか」「どう遊びたいか」という文脈(ストーリー)を大切にする。それは僕たちCircles Tokyoが最も大切にしていることです。
もしあなたが、 「自分の遊び方にフィットする一台が見つからない」 「カタログスペックではなく、自分の物語のある自転車を組みたい」 そう感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。
ちなみに、半年に一回くらいのスケジュールで受注しているRETROTECのチタンフレームですが、現在ちょうどオーダーウィンドウが開いておりますので、気になる方はもぜひお声がけいただければと思います。
あなたの「Ride & Life」を最高のものにするお手伝い、僕たちに任せてください。 店頭でお待ちしています!