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【WILDE】受け継がれる遺伝子

進化した「速さ」の定義。ALL-CITYからWILDEへ。

先日、ALL-CITYの名作、 Cosmic Stallion(コスミックスタリオン)をご納車させていただきました。

元々KONAのグラベルバイクをお持ちだったお客様。
「より速く、より遠くへ行きたい」という真っ直ぐな思いを形にするため、このフレームを選び、一台のバイクとして組み上げました。

Cosmic Stallionは、「スチールバイクの限界を超え、現代のグラベルレースで勝負できる最高の一台を作る」という情熱を込めて開発されたモデルです。

その設計思想は、ジオメトリーを読み解くほどに鮮明に浮かび上がってきます。

残念ながら、ALL-CITYは生産終了を迎え、現在では手に入れることが難しくなりました。

しかし、その「思い」と「思想」は、深く、正しく元ALL-CITY Jeffの手によってWILDE BICYCLE CO.へ受け継がれています。

遺伝という名の継承

Cosmic Stallionは、「スチールバイクでレースを走る」という命題に真正面から向き合ったフレームでした。ヘッドは寝かせすぎず、BB(ボトムブラケット)は高め。踏み抜ける剛性を持たせながら、トラクションを逃さないためのリア設計。

それはある意味、“スチールらしさ”という言葉に甘えない、明確な意志のあるジオメトリーでした。「スチール=コンフォート(快適性)」という短絡的な評価を否定し、1秒を削り出すための道具として存在していたのです。

そして、特にこのCosmic Stallionの遺伝子を色濃く受け継いでいるのが、Wilde の「Rambler SL」です。

Rambler SLが提示する「設計思想の延長線上にある別解」

一方で、WildeのRambler SLのジオメトリーはどうでしょうか。 まず大前提として、Rambler SLはCosmic Stallionの単純な後継モデルではありません。設計思想の延長線上にある「別解」と認識してもらうのが正しいかもしれません。

Rambler SLの核心は、その絶妙な「バランス」にあります。

Cosmic Stallionがレースでの勝利を念頭に、高い速度域での安定を前提としていたのに対し、Rambler SLはもっと現実的な速度域での扱いやすさに重きを置いていると感じます。

  • トレイル値: 過剰に長くせず、直進安定性だけに振らない。
  • BBドロップ:72mmで低重心を保ちながら、荒れた路面でのペダルのヒットリスクも意識した落とし所。
  • リアセンター: 438mm。Jeffは、この長さを“魔法の数字”と言っていました。意味はシンプルで、短くしすぎれば反応は鋭くなる代わりに、荒れた路面で挙動が神経質になる。
    逆に、長くしすぎれば直進は落ち着く代わりに、加速やライン変更のキレが鈍る。その両端を知ったうえで、「俊敏性を残しながら、リアエンドに“余裕”を持たせる」地点が438mmだという発想です。

一言で言えば、「攻めすぎない」

その結果、ハンドルを切った瞬間の“迷い”が少なくなり、下りでラインを変えるときの修正も自然に行えます。疲労が溜まったライド後半でも、挙動が荒れにくいということです。

結局、自転車の速さとは「ピーク値」ではなく、「平均値」で決まるのです。Rambler SLは、その平均速度を底上げするための設計なのだと思います。

「速く走る人」から「強くなりたい人」へ

Cosmic Stallionにはレースという明確な「用途」がありました。 対してRambler SLは、「用途を固定しない」という強みを持っています。

その強みはタイヤクリアランスにも現れています。

最大で700cだと50mm、27.5だと 2.2″のタイヤの装着が可能。
40cのタイヤで軽快にオンロードを駆け抜けることも、2インチ近いタイヤで林道の奥深くへ入ることもできる。ホイールの選択次第で、そのキャラクターは驚くほど変化します。

フレームのねじれ剛性も過剰ではありません。しかし、踏んだ分だけしなり、返ってくる。そのリズムが心地よいのです。
ペダリングの力がただ吸収されるのではなく、ちゃんと“溜められている”感覚。これは、スチールという素材でしか到達できない領域かもしれません。

そしてここが最も重要です。 Rambler SLは、「レースをしない人のためのハイスペック」です

Cosmic Stallionは「速く走る人」を想定していましたが、Rambler SLは「強くなりたい人」を想定しています。

思想は進化する。

もっと遠くへ。
もっと自由に。
もっと自分の力を信じて。
その欲求に対して、過不足なく応えてくれるバランス力がこのバイクにはあります。

スチールフォーク版のRamblerが“旅の道具”だとすれば、Rambler SLは“走る道具”です。

荷物を積む前に、まず自分の脚を試したくなる。
林道の入り口で引き返さない。
舗装路に戻ったとき、速度を落とさない。

Cosmic Stallionの遺伝子は確かに流れています。
しかし、それは決して模倣ではなく「思想は進化する」ということなのです。

そしてスチールはノスタルジーではありません。
今でも最前線で機能する、一つの優れた素材です。
Rambler SLはそれを証明するための一台ではなく、それを“当たり前”にするための一台なのだと思います。

速さの定義を、もう一段深く考えたい人へ。
Rambler SLは、確実にその問いに応えてくれるはずです。

先日のブログでもお伝えしたとおり、WILDEの定番モデルの再入荷がありました。Rambler SLも欠品していたサイズ含め揃っていますので、是非ご検討ください。

WILDE BICYCLE Rambler SL Frame Set – Disco Moondust

Size : XS / S / M / L
Price : 231,000円(税込)

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名古屋の自転車屋、Circlesです。This is Circles Bike shop in Nagoya Japan.
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