昨日のSEVEN CYCLES A-Frame Gravel+Road 743のブログはご覧頂けたでしょうか?

私がなぜSEVENに乗り始めたか、その経緯をお話しさせて頂きました。 今後、バイクの詳細はもちろんですが、それと並行して「ジオメトリー」が乗り味にどう影響するのか、少し専門的なお話も混ぜていきたいと思っています。
昨日のブログの中に、こんな一文があったことを覚えていますか。
『最初のオンロードでは、ロードバイクと乗り味を比較して「タイヤも太いしジオメトリーも異なるので多少まったりするのも仕方がない」とマイナスイメージを持ちましたが、それはこの時だけでした。』
今日は、この時感じた「乗り味の正体」について、
BBドロップという視点から紐解いてみたいと思います。
ではBBドロップとは何か?
タイヤの太さによる変化は想像しやすいですが、ジオメトリーの影響は少しイメージしづらいかもしれません。今回は私が所有するバイクの数値を比較しながら解説します。

まず、BBドロップ(ハンガー下がり)とは、
「前後輪の車軸を結んだ水平線から、BB(ペダル軸の中心)がどれだけ下がっているか」を示す垂直距離の指標です。
この数値が大きいほど、車軸に対してBBが低い位置にあることを意味します。
所有バイク ジオメトリー比較
| CIELO Road Racer Disc | SEVEN CYCLES A-Frame Gravel 743 | WILDE BIKES Rambler | |
| Top Tube Length, Horizontal (mm) | 535 | 530 | 538 |
| Frame Stack (mm) | 522.2 | 583 | 565 |
| Frame Reach (mm) | 379.2 | 372 | 376 |
| Head Tube Length (mm) | 112.2 | 122 | 130 |
| Head Tube Angle (degrees) | 73° | 70.5° | 70.5° |
| Seat Tube Length (mm) | 455 | 440 | 450 |
| Seat Tube Angle (degrees) | 73.5° | 75° | 74° |
| BB Drop (mm) | 68 | 78 | 68 |
| Trail (mm) | 58 | 68 | 76 |
| Fork Length, Full (mm) | 366 | 395 | 407 |
| Fork Rake/Offset (mm) | 43 | 55 | 49 |
| Front Center (mm) | 609 | ||
| Chain Stay Length (mm) | 415 | 438 | 438 |
| Bike Standover Height (mm) | 749 | 772 | 772 |
CIELOの68mmに対し、SEVENは78mm。
その差は10mm。
たった1cmと思うかもしれませんが、自転車の世界で10mmの差は性格を根本から変えてしまうほどの大きな数字です。
この数値が異なると何がどう変わってくるかというと…。
わかりやすく表にしてみました。
| メリット | デメリット | |
| BBドロップが大きい (数値が大きい) | ・安定性が高い : 重心が下がるため、特に高速走行時や下り坂での安定感が増す。 ・コーナリングが容易 : バイクとの一体感が高まり、コーナーでの挙動が安定する。 | ・ペダルヒットしやすい:コーナーでクランクを回した際に、ペダルが路面に接触しやすくなる。 ・機敏な操作がしにくい:安定性が高いため、タイトなコーナーでのハンドル操作がまったりとした感覚になる場合がある。 |
| BBドロップが小さい (数値が小さい) | ・ペダルヒットしにくい:ペダルがヒットしにくいため、荒れた路面や障害物の多い場所を走りやすい。 ・バイクの振りがクイック:重心が少し高いため、クイックな操作性、軽快なハンドリング感になる。 | ・安定性が低くなる:高速走行時にバイクが安定しにくく、怖さを感じる場合がある。 ・重心が高くなる:バイクの安定感が低下する。 |



比較するとわかりやすいですね。
もちろん乗り味に影響するのはBBドロップだけでないですが、その1点が異なるだけでも違うバイクになってくるというのは事実です。
「まったり感」の正体と、タイヤ外径の深い関係

私がSEVENに乗り始めた瞬間に感じた「まったり感」。その理由は、この78mmという深いBBドロップにありました。
実は、現代のバイクにおいてBBドロップの設定は、装着する「タイヤサイズ」と密接に関係しています。
現代のバイクはタイヤのワイド化が加速しています。タイヤが太くなれば、タイヤ全体の直径(外径)が大きくなるため、車軸の位置そのものが地面から高くなります。
- 細いタイヤ(25C等): 車軸が低いため、BBドロップを深くしすぎると地面に近くなりすぎる。
- 太いタイヤ(40C等): 車軸が高くなるため、BBドロップを深く設定しないと、乗り手の重心が高くなりすぎて不安定な「腰高感」が出てしまう。

つまり、SEVENの78mmという設計は、太いグラベルタイヤを履いた際に、ロードバイクのような安定した重心バランスを維持するためのビルダーの計算なのです。

私がオンロードで感じた違和感は、ロードレーサーであるCIELO(68mm)の「キレの良さ」に身体が慣れていたから。 しかし、ひとたび荒れた路面や長距離のグラベルライドに連れ出せば、この深いBBドロップが生み出す「低重心による安心感」が、路面の凹凸によるフラつきを抑え、疲労を軽減してくれる素晴らしい武器になることに気づきました。
ちなみに、近年のロードバイクも、安定性と低重心化を求めて、より深く設計される傾向(概ね70〜80mm前後)に移行しています。700c x 28mmの想定でBBドロップは74mm、エンデュランスモデルでは700c x 32mmの想定でBBドロップが80mmというバイクもあります。

もう一点、RamblerのBBドロップ68mmについてですが、これは荒れた路面や障害物の多い場所を走破していくためのものと言えるでしょう。
ジオメトリーはビルダーからのメッセージ
数値のひとつひとつには、ビルダーがそのバイクで「どこを、どう走ってほしいか」という意図が隠されています。 自分の感覚をジオメトリーから読み解くようになると、バイク選びやセッティングはもっと楽しくなります。
さて、次回はハンドリングの「キレ」や「直進性」に直結する重要な要素、「ヘッド角とトレイル」について深掘りしてみたいと思います。
お楽しみに。