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【RETROTEC】Pure Single Speed Frame

Still too early to be forgotten.

こんにちは、Circlesの田中です。
気づけば一年も折り返し、雨が止んだらと思ったら、太陽がアッザムリーダーのスイッチを入れてしまった感じがしています。
それくらいじっとりとした暑さが続く毎日ですが、朝夕の少しの時間でも風を感じながら外を走れると、それだけで体も心も整う気がするのはありがたいですね。

さて、本題に移りたいと思うのですが、昨年8月にポートランドで開催された MADE Handmade Bike Show には、わたしの個人的趣味が詰まりに詰まったバイクが、ひっそりと一台展示してありました。

“誰にも相談せず、勝手にオーダーを始めていた” この独壇企画は、わたしが今アツいと感じているフレームスタイルを、サークルズに縁のあるフレームビルダーたちにプロダクションモデルとして製作してもらうという試み。

記念すべき第1弾は、Hunter Cyclesにお願いした「Pure Track Racer」。おかげさまでこちらは完売となり、胸を撫で下ろしながら、第2弾となる今回の企画をご紹介したいと思います。

なぜRETROTECだったのか

今回のオーダー先は RETROTEC、去年、池山くんが書いてくれたMADEのリポートブログを読まれた方も多くいらっしゃると思いますが、心優しき巨人族の一人、Curtis Inglis / カーティス・イングリス(以下カーティス)は1993年からカリフォルニア州で自転車フレームの製作を続けており、そのフレームフォームの美しさとその軽さ、そしてその絶妙なハンドリング、扱いやすさにはとても定評があります。

今回のオーダー先であるRETROTECは、カリフォルニア州 ナパバレーで活動を続けるフレームビルダー、Curtis Inglisのブランド。
1993年からビルディングを続けるカーティスは、独創的なフレームラインとともに、「人とのつながり」こそが自転車づくりの本質だと語ります。

「いちばん大切なのは、カスタマーとのコミュニケーションだ。」

30年にわたり付き合いを続けている顧客もいるそうで、自転車を届ける“その瞬間”のために、彼は今日も静かに溶接機に向かっています。

そして彼の持つ独創的な感性は、特殊なビンテージカーのカスタムプロジェクトを大好きな家族とともに繰り返し行ってきたために、多くのインフルエンスを強く受けたものだとも彼は語ってくれています。

古い車を修理する経験を毎年のように繰り返し、未完成、未達成のプロジェクトなども含めると手足の指では足りないくらい多々あるそうですが、本当に多くのビンテージカーのレストアを、自身の本業であるフレーム作りと並行作業で数々完成させています。
(トライアンフ3、イセッタ、ミニ、70’sシェビーなど、過去のCirclesのブログや彼のインスタなどを漁ってもらうと本当に様々な種類のユニークな車を見ていただけると思います。)

「1×1」への未練

今回のテーマは、どうしてもカーティスに作ってもらいたかった “ある特別なフレーム” の話です。

わたしも少しずつ年齢を重ね、新しいモノへの執着は少しずつ薄れていく一方で、逆に「無くなってしまったモノ」「失われてしまったこと」への想いが強くなってきてしまいました。
その流れの中で、ふと「自分が本当にやるべきことって何だろう」と考えるようにもなったのです。

少し個人的な話になりますが、Circles創業前に、わたしの頭を撃ち抜いたブランドがありました。
今では誰もが知るビッグブランドになったSURLY。その登場は、スチール製のフレーム文化にとって明らかに転機でした。

当時のSURLYは、1×1、Cross Check、Steamroller、Long Haul Truckerといった、今振り返っても“変態的”とも言えるようなラインナップを揃えていました。そしてそれを、ちゃんと理解して取り扱える自転車屋は、日本ではほんのわずかしかいなかったと思います。
(実際には、わたしが知る前からもっと深く理解していた友人たちもいたはずですが。)

Circlesではその素晴らしさを、言葉で、組み方で、実際に乗ってもらうことで、とにかく紹介し続けてきました。
※詳しくは、過去のアーカイブを探していただくか、サークルズの店頭で田中まで直接聞いてみてください。長くなりますが、語るのは好きなので大歓迎いたします。

パンクロックを、もう一度

SURLYは今でも素晴らしいバイクを作り続けていますが、やはりあの頃の「初期衝動的なユニークさ」は、その時代にしか生まれ得なかったいわゆる “パンクロック” のようなものだったのだと思います。

名古屋という平野に囲まれた街に生まれたわたしにとって、山へ行くには少し時間が必要でしたが、それでも猿投、足助、多度などへ通い、週に2〜3回はMTBに乗っていました。

しかし、いざ仕事として自転車販売に向き合うと、マウンテンバイクを街乗り用に勧めることには、少し躊躇があったのも事実です。
それでもやはり自転車のすべてを愛していたので、わたしが選んだアプローチは、Cross Checkを軸に、1台1台をその人に合ったスタイルで仕上げていくことでした。

けれど、わたしがずっと心の奥底で恋い焦がれていたのは、1×1(ワンバイワン)でした。
SURLYがSURLYになる前から存在していた、まさにオリジナルと呼ぶにふさわしいモデル。

Circlesでも何十本も組み上げましたが、なぜか自分自身が所有することは一度もなかったのです。そしてその1×1は、いくつかのマイナーチェンジを経て、やがてLowsideにその座を譲り、退役していきました。

わたしはこの“空白”を、チャンスとして捉えることにしました。
そして思ったのです。

「このバイクを、あの頃よりもっと良いものとして、今の技術と感性で再構築できたら…」

見た目はもちろん、溶接と塗装の精度、そしてジオメトリーまでも含めて、すべてをアップデートできる。
そう確信して、シングルスピードMTBを心から愛し、世界中のマニアックなサイクリストと交流のある、あの男=カーティスに、白羽の矢を立てたのでした。

世界に5本だけの、純粋なフレーム

RETROTECにお願いしたこのシングルスピードバイクは、90年代後半〜2000年代初頭においては、ある意味「普通の誰か」がオーダーしそうな、日常的な1台だったはずです。

しかし、今の時代にこのスタイルを再び形にすることには、大きな意味があると感じています。

近年のサイクル業界では、スペックや数値が重視される傾向が強まり、多くのモノが入れ替わる中で、いつの間にか静かに忘れられていくものも増えてきました。

けれど、自転車という身近な文化には、もっと自由で、ちょっとユニークで、そして長く大切に使われることの美しさが、本来は求められているのではないでしょうか。
いまのスポーツバイク業界を見ていると、そんな当たり前のことに、もう少し立ち止まって考える余白があってもいいように思えるのです。

スペックの進化や買い替えが悪だとは決して思ってはいません。
けれど、ほんの少し立ち止まって、“変えなくてもいいもの” のことも考えてみたいと思うのです。

RETROTEC 26″ Single Speed MTB Frameset

Size : One Size Fits All
Color : Turquoise Blue, Traffic Purple, Gentian Blue, Ochre Brown

価格:638,000円(税込)

[SPEC]

フレーム素材 Steel
ヘッドチューブ 1-1/8″
対応ヘッドパーツ EC34/34
ブレーキマウント Vブレーキ
BB BSA/JIS, 73mm Threaded
フロントエンド100mm QR
リアエンド 135mm Horizontal Dropouts
タイヤクリアランス 26×2.4″
適応身長170-185cm前後 / One Size Fits All

[GEOMETRY]

Top Tube Length Effective (C-C)595mm
Top Tube Length534mm
Seat Tube Length (C-T)410mm
Seat Tube Angle73.0°
Chain Stay 420mm
Head Tube Length140mm
Head Tube Angle71.0°
Standover Height775mm
BB Drop42mm
Front Center648mm
Fork Length400mm
Fork Rake45mm

今回は「ワンサイズフィットオール」のシンプルな設計思想で、世界に5本のみのプロダクションモデルを製作しました。
すでに写真のコンプリートバイクは、素敵なオーナーさまのもとへ旅立ちましたので、残りは4本となります。

もしサイズが合わない方は、Circlesまたはお近くのCWD販売店にてカスタムオーダーも可能ですので、ぜひご相談ください。

30周年記念アイテムもあわせて入荷しています

また、一昨年フレームビルダーとして30周年のキャリアを迎えたカーティスですが、それを記念して作られたRETROTEC 30周年記念のアイテムとして、Tech TeeとT-Shirtsが入荷しています。

RETROTEC 30th Anniversary Tech Tee

Size : S, M, L
Made by VOLER in USA

価格:19,250円(税込)

RETROTEC 30th Anniversary Tee

Size : S, M, L, XL

価格:5,500円(税込)

Tech Teeはトレイルやダートライドに調子の良い、ジャージ素材の速乾性の高いロングスリーブ。カーティスはモーターサイクルのツーリングでも着ていて大のお気に入りだとか。また、TシャツはカーティスらしいLAMBRETTAのクランクケースをモチーフにしたもの。いずれも彼の大親友であり、本人も数多くのRETROTECをオーダーしてきた Jeff Hantman によってデザインされています。

自転車のスペックは進化しても、“好き”という気持ちの原点は変わりません。

カーティスとわたし、そしてこのフレームを愛してくれるあなたとで、「まだ忘れられない」物語を一緒に紡いでいけたら嬉しいです。

それでは皆さん、遊び心を忘れずに。
また山のどこかでお会いしましょう。

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kyutai
田中 慎也

空転する思いと考えを自転出来るところまで押し上げてみた2006年。自転し始めたその空間は更なる求心力を持ちより多く、より高くへと僕を運んでいくのだろうか。多くの仲間に支えられ、助けられて回り続ける回転はローリングストーンズの様に生き長らえることができるのならば素直にとても嬉しいのです。既成概念をぶっ飛ばしてあなただけの自転力に置き換えてくれるのなら僕は何時でも一緒に漕ぎ進めていきたいと思っているのだから。
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