東京の街を歩いていると、アスファルトの照り返しやビルの隙間を抜ける風の温度に、季節の移ろいを肌で感じる瞬間があります。
冬の間はコートのポケットに両手を突っ込んで足早に過ぎ去っていた道も、少し視線を上げるだけで、いつもとは違う景色が広がっていることに気づかされます。
そんな、街が動き出すような今の季節にちょうどいい1台を、Circles Tokyoの店頭にご用意しました。 ただ移動するためだけの道具ではなく、あなたの日常を少しだけドラマチックにしてくれる相棒です。
今回は、カナダ・モントリオール発のBASSI BIKES が誇る名作、Le Montréal V3(ル・モントリオール)を、Circles Tokyoならではの解釈でアッセンブルしました。

都会をクルージングするための「引き算の美学」
Le Montréalは、本来スポルティーフや軽快なツーリングバイクとして組まれることの多い、非常に汎用性の高いフレームです。
しかし今回、僕はあえてこのフレームの持つポテンシャルを「シングルスピード」というフォーマットに落とし込みました。
なぜか? それは、このフレームが持つ特徴的な逆爪エンド。
今は無きSURLY Crosscheckでも採用されていることが印象的なディティールです。


ディレイラーを取り付けて多段化することも、ホイールを後ろに引いてチェーンテンションを保ち、シングルギアで組むこともできる。この「どちらでもいける」という懐の深さを逆手に取り、今回はあえて変速機構を削ぎ落としました。
Circles Tokyoのある港区周辺は、平坦なだけでなく緩やかなアップダウンも多いエリアです。
その中でギア比を適切に設定すれば、シングルスピード特有のダイレクトな踏み心地と、トラブルの少なさが大きなメリットになります。
余計なことを考えず、ただペダルを踏み、街の鼓動と自分の心拍をシンクロさせる。まさに「アンレーサー」のためのソリッドな選択です。




クラシックな色気を宿す造形美。
Le Montréalのクロモリフレームが持つ最大の魅力は、その特有の「バネ感」と「しなやかさ」にあります。
ペダルを踏み込むとフレーム全体が微かにたわみ、それがリズミカルな推進力として返ってくる。まるで自転車自体が呼吸しているかのような、路面に吸い付く極上の乗り心地を生み出します。
そこに、同じくクロモリ素材で作られたBig Little Nick Barを合わせることで、その恩恵はさらに増幅されます。NITTOの職人技によって引き出された鉄のパイプは、アルミ製のハンドルにはない、振動吸収性を持っています。
クロモリチューブで作られたLe Montréalの美しいシルエットとともに、全体のプロポーションにクラシカルな色気を与えつつ、機能面でも理にかなっているのがこの組み合わせ。フレームとハンドル、ダブルの「鉄のしなり」が、アスファルトの無数の微振動や段差の衝撃を優しくいなしてくれます。結果として手元へのストレスを劇的に和らげ、長時間のクルージングでも不快な痺れを生まず、心地よい疲労感だけを残してくれるのです。



堅実な足回りのロジックと、ほんの少しのスパイス
SサイズのLe Montréalが採用する26インチホイールは、ストップ&ゴーが多い東京の街中で抜群の足つきの良さと安心感をもたらしてくれます。
そこに合わせたタイヤは、1.5インチ幅のPANARACER Pasela。
アスファルトでの「軽快さ」と、ちょっとした段差をいなす「安定感」のバランスが絶妙な、まさに街を流すための最適解です。
全体をブラックとシルバーでまとめた落ち着いた構成の中に、SDGのタイガー柄サドルをアクセントとして加えました。
主張しすぎない範囲で、きちんと個性が残る仕上がりです。



BASSI Le Montréal V3 Circles Tokyo Complete
価格:298,000円(税込)
| Frame | BASSI Le Montréal V3 (S / 49cm) |
| Headset | TANGESEIKI Technoglide Threadless Headset FL250C |
| Handle | SIMWORKS Big Little Nick CrMo Bar |
| Stem | NITTO Technomic Stem |
| Grip | WTB Original Trail Grip |
| Brake | SHIMANO BR-CT91 |
| Lever | DIA COMPE SS-6 |
| Tire | PANARACER Pasela |
| Rim | ALEX DM18 26.32H |
| Hub | SHIMANO |
| Rear Sprocket | GRUNGE Single Gear Set 16T |
| Saddle | SDG Bel Air V3 Animal Throwback |
共に歳を重ねていく。人生の相棒としての一台
今回の完成車は、Sサイズ(身長160cm〜170cm目安)でのご用意です。
シングルスピードは構造がシンプルな分、壊れにくく、日々のメンテナンスも難しくありません。
気兼ねなく使い続ける中でつく小傷や擦れも、そのまま時間の積み重ねとして残っていきます。
そしてこのフレームは、必要になれば多段化することもできます。
今はシンプルに、将来は拡張する。
その選択肢を持っていることも、このフレームの最大の価値です。
トレンドとして消費されるのではなく、気がつけば生活の中に残り続ける。
そんな一台になるはずです。
休日の朝、少しだけ早く家を出て、コーヒーを飲みに行く。
その行き帰りが、ただの移動ではなくなる。
このLe Montréalは、そんな時間を自然につくってくれる自転車だと思います。
ぜひ店頭で、その空気感を確かめてみてください。
機材のことも、使い方のことも、ゆっくりお話しできればと思います。
Circles Tokyoでお待ちしています。