今回はBASSI BIKES / バッシ・バイクス(以下、BASSI)の代表的なモデルのひとつで、彼らが拠点を置いている街の名前を名付けられた Le Montréal / モントリオールについて紐解いていきましょう。
このモデル自体は、1980年代のクラシックなツーリングバイクに着想を得たモデルで、コミューターやポーター(大型のラックをつけた街中で荷物を運ぶバイクを指す呼び方)、ランドナー、シクロクロスと解釈次第で自由自在に組み上げられる柔軟さが魅力です。
と、その前にブランド&ショップスタッフのJulianとRovertoへのインタビュー形式でBASSIを深堀りした記事があるので、復習してから本編を読むと解像度がググッと上がります。ぜひチェックを〜。
スタッフが語るLe Montréalの進化とバックストーリー
Le Montréalは、リムブレーキでスレッドステムのクラシックスタイルのバイクですが、フレームの細部には彼ららしい考え方が込められていて、実はこれまでに2度のアップデートが行われています。そのアップデートについて、ブランドスタッフのSimon / サイモンが自身の愛車のアッセンブルを交えながら解説しているブログがあるので今回はそれをもとにお伝えしていきます。

Text by Simon from BASSI BIKES
2013年にBASSIが最初の「Le Montréal」をデザインしたとき、僕はすぐに「これは今までの常識から外れてるな」と感じた。クラシックなトラックフレームでもないし、イタリアンレーサーでもない。見た目はロードバイクっぽくて、細いチューブに軽快なジオメトリ。でも700×35mmのタイヤが入る余裕があって、ちょっと工夫すればフェンダーも付けられるし、前後にラックアイレットまで付いてたんだ。あの頃はよく「シクロクロスバイク」って呼ばれてたけど、僕の周りにクロスレーサーなんてほとんどいなかった。実際は、毎週ヴィルヌーヴ通りのショップで修理したり改造したりしてた古い街乗りバイクに近い存在だったんだよね。
2013年のMontréal V1は全部700cホイール仕様だった。小さいサイズに小径ホイールを入れるなんて当時は考えられなかったし、そもそも650Bのリムやタイヤを地元で探すのはほぼ不可能だった。ロードバイク的なタイトなジオメトリのせいで、50cmくらいの小さいサイズだと前輪が足にめちゃくちゃ近くて、トーオーバーラップが起きた。ハンドルを大きく切ったときに足とホイールが同じ場所に入り込んで、クリップペダルを使ってたらそのまま地面に倒れるってやつ。でもね、普通に走ってるときはハンドルをそんなに切らないから、危ないってほどじゃなかったんだ。


それでも「Le Montréal」は、BASSIが作れるバイクの可能性をガラッと変えてくれたんだ。クラシックなラインは今でもモントリオールの人たちが日常のライドに求めるものにぴったりで、控えめな美しさと街に馴染むスタイルを持っていた。しかも、買い物袋をたっぷり積めるし、子供用シートも後ろに付けられる。当時としてはかなり太めのタイヤも、穴だらけの路面ではずっと安全だった。
このフレームは成功して、派生モデルも生まれた。Villeneuve(ロードブレーキタイプ)やRachelは、Le Montréalの設計をちょっといじったバリエーションで、どちらも評判が良かった。そして2017年、新しいロットを作る準備が整ったとき、僕らはちょっと違うことを試すことにした。最小サイズ(49.5cm)に650cホイールを採用したんだ。700cホイールより直径が5cm小さいこの規格は、ロードバイク乗りには馴染みがあって、当時は小柄な選手向けのレーサーでよく使われていた。これでトゥオーバーラップ(ハンドルを切った時にタイヤが爪先に当たる減少)は解消されたけど、52cmフレームは700cホイールのままだったから、特にフェンダーを付けるとまだ少し干渉が残ってたね。


僕のバイクは「Le Montréal V2」の52.5cmだった。トゥオーバーラップは気にならなかったし、乗っているうちに自然と体が対応するようになった。普段より小さめのフレームを選んだのは、リーチがすごく長かったからで、700cホイールを小さめのロードジオメトリのフレームに収めるための妥協点だったんだ。あるセットアップではうまくいったけど、そうじゃない場合もあって、だんだん「もう少し大きいサイズにした方がいいかも」と思うようになった。ハンドルが近くて高くなるし、シートポストも長く飛び出さなくて済むからね。
そして2020年、Le Montréal V3として大きくリデザインされた。僕らはついにホイールサイズをサイズごとに変えることに本気で取り組んだんだ。タイヤやホイールを用意できる自信もあったし、それによってサイズ展開を広げて、もっと多くのライダーに快適にフィットさせられるようになった。新しい設計ではフレームサイズが6種類、ホイールサイズが3種類になって、トゥオーバーラップの問題は完全に消えたんだ。


今年(2025年)になって「そろそろだな」と思って、55cmフレームに乗り換えることにした。僕の身長は約180cm、PBH(Pubic Bone Height。地面から恥骨までの高さ)は86cmだから参考までに。これまで650Bホイールは持ったことがなくて、ずっと700cばかり。だから今回は自分で650Bホイールを組む必要があったんだ。
結局、古いフレームとホイールを友人に渡して、その代わりに彼のアート作品と使ってなかったホイールをもらった。だからこのバイクのハブとスポークの半分はすでに世界を旅してきたものなんだよね。リムは新しいZac-19で、Rivendellが2000年代に650Bを再導入したときのオリジナルモデル。ちょうど適切な穴あけ仕様のものが手元にあったから、それを使った。


もちろんフェンダーは交換しなきゃいけなかった。タイヤが太くなって径も小さくなったからね。前に使っていたHonjoのは、傷だらけでグレーがかったアルミの質感が最高だったんだけど、古いホイールと一緒に手放した。今はピカピカの新品フェンダーを背負ってるけど、まあ数年もすればいい感じにパティーナ(経年変化による風合いや味わい)が出て「beausage(使い込まれた美しさ)」になるはず。
写真を見ればわかると思うけど、リアの取り付けはかなり雑。でもその角度からしか見えないし、普段は気にならない。Honjoのフェンダーを完璧に付けようとすると数時間かかるんだよね。でも「そこそこ良い」で満足するなら、1時間半で取り付けられる。僕はそのくらいで十分だと思ってる。


残りのパーツは全部、前のバイクからそのまま持ってきた。もちろん最初からぴったりフィットして、調整なんて必要なかった。ケーブルハウジングすらやり直してない。
ちなみに、このバイクは飛行機旅にめちゃくちゃ向いてるってことが分かった。今後そのコンセプトについてもっと掘り下げる予定だけど、どこかに持っていて行って走るなら、頑丈でシンプルで、できるだけ小さく分解できるバイクが本当に役立つんだ。ダウンチューブシフターはその点で大きいし、シンプルなブレーキレバーやカンチブレーキもすごく助かる。僕の「コックピットをすぐ交換できる」っていうちょっと変なアイデアも意外と便利だった。ラックもすぐ外せるしね。時間がかかるのはフェンダーを外すときくらいで、ホイールを外してしまえばそんなに難しくない。フェンダーはホイールと一緒に縛って梱包する。ちなみに、Weraのロングアーレンキーはすごく役立つ。マルチツールだとちょっと面倒なんだよね。



正しいサイズのフレームに乗ると、長距離でも本当に快適なんだ。トゥオーバーラップがないっていうのは驚くほどの解放感で、前のフレームではホイール位置を意識して乗るのが当たり前になってたけど、今はもう全く気にしなくていい。42mm幅の太めタイヤと大きなフェンダーを付けても問題なし。
このバイクは「なんでもできる相棒」で、特別な理由がない限り玄関を出るときはいつもこれに乗ってる。ラックはすぐに付け外しできるから愛猫の餌や砂を買いに行くときも便利だし、ダイナモライトがあるから日没を気にしなくていい。42mm幅のタイヤは新しいアスファルトでも、岩やダートでも同じくらい気持ちいい。飛行機旅にも簡単にパックできるから、急なツーリングにも持っていったし、冬に最後までしまわず春に最初に出すのもこのバイク。見た目もすごく気に入ってるけど、それは僕のバイク全部に言えることだね。



なんでもできる相棒に心奪われそう….
どうでしたか?(個人的にはパーツのアッセンブルも気になる気になるところですが…)サイモンの記事からはLe Montréalがただのクラシックバイクではなく、街乗りからロングツーリングまで柔軟に応えてくれる“相棒”として進化してきたことが分かりますね。 シンプルな設計の中にサイズやホイールサイズの選択、日常とツーリングを両立させる考え方が秘められているのが伝わってきます。
サークルズでもダウンチューブシフターやランドナーバーを合わせてクラシックさを引き立てつつ、太めのタイヤが入るメリットも活かしながら普段使いにツーリングやグラベルバイクの要素をミックスした、「なんでもできる相棒」として提案することが多くあります。今までに組ませていただいたバイクの写真からそれぞれのアルバムにも飛べるので、細かい部分までじっくりと見てもらえます。




僕自身、このバイクが「どんなコンセプトをベースにしているのか」、「軸となるパーツをなんで選んだのか」を知るのがとても楽しいんです。今回のサイモンの記事やバイクカタログを行ったり来たりしていると、「自分だったらこのパーツを選んで、こう組んで…」と妄想が広がってしまいます。気付いたら、自分のLe Montréalを組み始めないように、もう一度サイモンの記事を読み返して気持ちを落ち着けようと思います。みなさんも同じ症状にならないように注意してくださいね…