【ゴリスパ通信】地味だけど大切なニップルの話

サークルズのホイール組み部門である”ゴリラスパン”がお届けするゴリスパ通信。今回は車輪を構成する大切な部品の一つ「ニップル」の話です。自転車のパーツの中でも屈指の地味さを誇るパーツではないかと思います。

でもその地味さとは裏腹に、車輪の張力を保ち、地面からの衝撃を受け止め、ライダーの体重を支える、とても重要な役割を果たしています。

今回はそんなニップルの話をしてみたいと思います。

ニップルの種類は、サイズ、材質、色などで大別できます。

ニップルのサイズ

ニップルのサイズは大きく3つに分かれます。

  1. スポークの太さに連動するサイズ
  2. ニップル自体の長さのサイズ
  3. ニップルを締めるために必要な工具のサイズ

1.スポークの太さに連動するサイズ

これはスポークの太さの#14番 (2.0mm) や#15番 (1.8mm) というサイズによって分かれています。
スポークもホイールを構成する上でとても大切で、種類も多くあり、選ぶのも楽しいパーツの一つでもありますが、逆にニップルに合わせて、スポークを選ぶ人にはまだ出会ったことがないということも、このニップルが地味パーツの代表格になっている証の一つではないでしょうか。
*スポークの太さについては、以前の【ゴリスパ通信】スポークについて-その1をご覧ください。

2.ニップル自体の長さのサイズ

ニップルの全長にはサイズがあります。
代表的なメーカーの展開においては、

  • DT-Swiss : 12mm、14mm、14.5mm、16mm
  • Sapim : 12mm、14mm、16mm
  • 星工業 : 12mm、15.8mm

この使い分けの主な理由としては、リム内側の厚みにニップルを合わせる必要があるためです。
昔のリムやカーボンリムなどは、リム自体の素材に厚みがあるため、一般的に多く使われている12mmサイズのニップルでは、頭が飛び出てこない時などが稀にあります、そのような場合には12mmよりも長いものを使用します。

長いサイズのニップルを使えば、スポーク長は短くてすみそうな気がしますが、実際は中に刻まれているねじ山の長さはほぼ変わりませんのでスポークが短くて済むことはありません。

先に上げたように、スタンダードな長さは12mmです。
最近はこの長さでほぼ事足りますので、よほど特殊なリムでなければそれほど考慮しなくて良い部分でもあります。
車輪は外周部が軽ければ軽いほど漕ぎ出しが軽く感じますので長いよりは短い方が軽くなって良いはずです。

3.ニップルを締めるために必要な工具のサイズ

外観で区別するのはかなり難しい部分ですのでノギスで挟んでみました。写真の部分のサイズのことです。ニップル回し工具の種類が変わってきます。
意外に知られていない部分ですのでご注意ください。

それでは、自転車工具の代表格 PARK TOOL の工具を参考に見てみましょう。
通常の形状をしているニップル回しだけでも4種類。

  • 3.2mm : DT-swissやWheelSmithなど
  • 3.3mm : DT-swissやWheelSmith以外のヨーロッパブランド
  • 3.4mm : JIS規格の#14,#15
  • 3.9mm : #12用

と4種類に分かれています。

わずか0.1mm程度の違いですが、これを間違えて使ってしまうと、車輪組の最中にスポークテンションを上げて行く過程で、簡単にニップルが変形して破損してしまいますので、ホイールビルダーとしては決して間違うわけにはいきません。

ニップルの材質

ニップルの材質は大きく2つ。真鍮アルミが使われることがほとんどだと思います。
この二つの違いは主に重量耐久性です。

ニップルひとつの重量は微々たるものですが、車輪一本分となるとそこそこの重さになり、車輪の重量は外周部ほどその回転に影響力が増していきますので、外周部が軽い方がコギの軽い車輪を作る事ができます。

・真鍮ニップル

真鍮ニップルは、重いですが耐久性が高くツーリングバイクやマウンテンバイクなどで多く使われています。

・アルミニップル

アルミニップルは、軽いですが耐久性が真鍮に比べて低いので、ロードバイクやレースに使うバイクなどで多く使われています。

・チタンニップル

チタンもあるようですが、あまり一般的ではないと思います。25年メカニックやってますが、僕自身は触ったことがありません。

ニップルのカラー

色は、いろいろありますので好みで使い分けていただければ良いと思うのですが、真鍮製のニップルは色が少なく、アルミニップルは豊富です。
これは素材の特性が大きく影響していますので、真鍮に豊富なカラーをとはなかなかいかないのが現状です。

アルミニップル

アルミニップルは、アルマイトがかけてありますのでかなり豊富にお好みの色を選ぶことができます。
カラーニップルを使ったホイールは止まっている状態だとそれほど目立たないのですが、車輪が回った時、1本の色線が残影として見えるのがとても綺麗で、個人的にはとても気に入っています。

ただ、目立ち過ぎるのはちょっとなぁという方は、バルブコアの両サイドのニップルだけ色を変えてみるなどすると個性豊かなホイール組が楽しめるのではないかなと思います。 総じてアルミニップルのカラーバリエーションは豊富に選んでいただけますので、カスタムホイールを組む際のパーツ選定はとても楽しいと思います。

真鍮ニップル

真鍮ニップルの色はCPメッキ、黒、で99%です。
でも、残り1%に食い込むべく我らが SimWorks by Hoshi では、真鍮の素材剥き出しのRaw Brass Nippleを製造しております。 素材剥き出しの真鍮ニップルは、メッキのモノに比べ強度と耐久性はやや落ちますが、その素材の特性である経年での変色を楽しめるようになっており、こだわりの強い方にはうってつけの一品になっております。


その他の特殊ニップル

特殊な形をしているものは、特定のリム形状に適した専用の形をしたニップルであったり、緩み留めの機構が最初からつけられたニップルなどがあります。使用用途やお好みに合わせて選んでみるのも楽しいかと思います。

最初に述べたように、自転車パーツとしては比較的地味なパーツと思われるニップルも細かく見てみるとこんなにも選択肢があり自転車の奥深さを感じることができるのではないでしょうか?

たかがニップル、されどニップル。
一個が数十円程度の小さな部品ですが、自転車を大きく支えているのです。
数年に一度は、ニップルを入れ替えてホイールをシャッキリさせるのも、自転車を丁寧に乗り続けていくためには最良の選択肢かと思いますので、ぜひこの機会にご検討してみてはいかがでしょうか。


ゴリラスパン(ゴリスパ)はサークルズの手組みホイールビルディング部門です。

リム・ハブ・スポーク・ニップル・タイヤ・チューブなど、車輪という一つのパーツを作る構成部品はとても多く、本来であれば無限に近い選択肢を作れるにも関わらず現状はそうなっていません。

これはなぜなのでしょうか?
そう、多すぎる選択肢がかえってその選択を狭めているということです。
1人で車輪の全てを決めようとした時、与えられている選択肢の多さがかえってその視野を狭め、完璧なものを求めるが故に結局はその選択すらをなくしていってしまっているのです。

でも、断言しましょうこの世に『完璧な車輪』は存在しないということを。
だから、私たちGorilla Spunの車輪は、一人一人に寄り添うようなベターな車輪な目指しています。

完組と言われる味も素っ気もない車輪が世界に溢れる中、一本一本を人の手で組み上げるメリットは、人の意志がその車輪に宿ることでもあります。 そして乗り手の意志、組手の意志、その二つがうまく重なった時、今よりとてもベターな車輪が生まれて来てくるのです。

そして、そのよりベターな車輪はあなたに新たな世界を見せてくれるのです。
見た目・回転力・重量など新たな車輪にもとめるものは、人それぞれ。
それでも今よりベターな車輪を作る喜びを楽しんでもらいたい、そして車輪組の奥深さをより簡単に楽しんでもらいたい、そのためのGORILLA SPAN Order Made Wheelになっています。

WEB SHOPに掲載できる選択肢は、まだまだ限られていますが、そこにご紹介させて頂いている部品達は、必ずや皆様に新たな力を与えるものたちであり、車輪組の深淵を覗くことができるようになっています。

乗り方や身長体重に合わせたホイールをカスタムメイドで組み上げます。リム、ハブ、スポーク、ニップルなど、それぞれのパーツも選べますし、持込みもOKです。ホイールをご検討中の方はぜひご相談下さい。

より細かなオーダーがご希望であれば、メールにてご要望をお伝えください。
より深いお望みにも答えていきます。



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makoto
横山誠

ふと気がつくとスポーツバイクと触れ合い始めてもうすぐ30年。 ゆっくり長〜く乗り続けるためのあれやこれやを考察中。 乗るのも、触るのも、直すのも、作るのも、やってます。
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