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【SKLAR BIKES】My PBJ

新年最初のニュースとしてお送りした、SKLARの新プロダクションモデル・PBJ / ピービージェイ

それが作られることになった背景や設計思想については是非下記のブログを読んでいただきたいと思います。

また昨夜アダムから連絡があって、いくつかのフィードバックからXSサイズもラインナップ追加することが決まりました!(こちらも29″ホイール設計となっています)

このブログでも触れているように、実はアダムの計らいでサンプルフレームをいち早く手配してくれたので、年末年始のお休みに滑り込みで自分用に早速組んで乗り始めました。

今回のブログでは、ファーストレビュー的な形でこのバイクのことをお伝えしながら、前回のブログでは触れられなかったトピックまでお話ししようと思いますので、是非お付き合いください。

グラベルバイク ≠ 90’s MTB

アダムにPBJの設計秘話を聞いていた時に、こんな話がありました。

インターネット上で私をイライラさせることのひとつは、「グラベルバイクは90年代のマウンテンバイクに過ぎない」と断言する人々がいることなんだ。彼らは30年前に作られたバイクの今よりはるかに少ない技術で同じ体験が得られると主張するんだ。

決してそれを真っ向から否定するつもりはないが、これらの人を称賛したいと思う。なぜなら、古いバイクを修理して、より楽しく現代的に改造することが、そもそも自分自身が自転車にハマったきっかけなのだから。


PBJ / Perfomance Basket Jammer というモデル名は、まさにそんなバイクに乗っていた時の気持ちを呼び起こすことを意味しているんだ。

僕自身も94年製のパナソニックのMTBにバスケットがついたバイクで色んなところに連れて行ってもらったよ。けれど、最新のバイクに跨るたびに、そのフィーリングの良さに圧倒されるんだ。

ディスクブレーキは最高だし、大きなホイールはより速くて快適だ。現代のチュービングは軽くて乗り心地が良いし、この2つの時代のバイクは同じスチールというフレーム素材でも全く違う世界にあると思う。

80年〜90年代のいわゆる黄金期に作られたMTBも、最新のグラベルバイクも、それぞれに良さがあり、どちらも優れたバイクであることには違いありませんが、それらは同じではないのです。

モノづくりをする上で、その設計者は、フレームがどのように曲がるか、どんなジオメトリーが速く走れるか、または最も効率的か。といったことに着目するかもしれませんが、アダムの場合は、どこでも楽しく乗れて、昔の感覚を呼び起こさせながらも、いざという時にはしっかりと背中を押してくれるようなバイクを生み出すことが設計思想の礎にありました。

2019年サクラメントで開催されたNAHBS会場に向けて、1泊2日のバイクパッキングをした時のアダムのチタンフレームのバイク。29×2.1″を履かせた通称 Ti Hybrid Bike。何を隠そう、PBJのルーツはここにあります。

バイクツーリングに夢中だったアダムは、

ハードテールバイク

27.5″のファットタイヤを履かせたドロップバーグラベルバイク

チタン製の29×2.1″を飲み込むハイブリッドバイク

といった形で様々なバイクを作ってはそれに跨ってツーリングをしてきました。それぞれに良いところも悪いところも見えてきて、それらの経験がPBJというバイクの発想につながったのです。

現状考えられるATBの最適解

ATB / All Terrain Bike という言葉はサークルズのブログでも今までたくさん使ってきました。そのルーツはまだMTBにサスペンションが付いていなかった頃に遡りますが、その名の通り、全地形対応型の自転車を指します。

それと同時に、個人的にATBという言葉は一種のマインドセットのようなものだとも思うんです。

例えば一括りにMTBといっても、そこにはクロスカントリー・トレイル・エンデューロ・ダウンヒルといったカテゴリーがあり、それぞれに特化したバイクが存在します。もちろんそれらはその特定の状況下において素晴らしい性能を発揮するのですが、速さやスペック至上な考え方から一歩引いてみると、ATBのような万能型のバイクでもライドを楽しむことができますし、そのシンプルに楽しむというスタンスこそがATBという言葉にはあるのだと思います。

そして、そういったスタンスで作られたバイクは、何より快適で楽しく、毎日乗りたいと思わせてくれるようなものが多いと思います。(これはPBJに限らず、現代のマーケットに存在する多くのATBに当てはまると思います)

また自転車業界に数多く存在する様々な規格の変遷に注目してみると、当時26インチだったホイールサイズは、29インチ・27.5インチとバリエーションが増え、またタイヤサイズもプラスサイズと呼ばれるようなセミファットサイズから、ファットバイクに採用されるようなサイズまで幅広くなりました。

またクイックリリースが当たり前だった時代から、今ではスルーアクスルの登場により、フレームのエンド幅の規格も様々なものが出現しています。

このPBJは29×2.6″のタイヤサイズをベースとし、ブーストスペーシング、そしてディスクブレーキを採用しているのですが、先人たちが育んできたATBという考え方、遊び方に対し、アダムが現代における最もベストだと思える規格を用いて形にしたのがこのPBJであり、それはまさしく現状考えうるATBの最適解だと思います。

My PBJ

身長163cm、サドル高は66cmの私が乗るのはSサイズ。正直なところ背も低いですし、初めての29インチということでサイズ感の心配はありましたが、そこまでバランスが悪くなるということもなく組めたと思います。

コクピットは Fun3 Barの750mmに、Rhonda Stemの50mmを。本当は35mmのステムも検討していましたが、Fun3の35度のバックスィープのおかげで無理のないポジションに落ち着きました。長めのフロントセンターに、短めのステム、そして程よく手前に戻ってくるハンドルというスタイルは、正直最初は抵抗があったというか、しっくりくるのか不安な部分がありましたが、快適なポジションながらそれなりにアグレッシブにも乗れて、この二面性にアダムらしさを感じました。

タイヤは標準の2.6インチに若干届かないものの、TERAVAILのEhline 29×2.5″をチョイス。アグレッシブすぎない独特なタイヤパターンがPBJの使い方にマッチすると思い、このパターンに決めました。タイヤは乗っていけば減っていくのでまた色んなパターンを試してみたいと思います。

ロングライドやバイクパッキングなども想定してブレーキは整備性重視のメカ引きディスク(奮発してPAUL COMPONENT / Klamper)。そしてベアリング周りはCHRIS KINGと、久しぶりのニューバイクっていうことでついつい気合が入りすぎた感は否めませんが、パーツチョイスに死角はなしです。このあたりはご予算に応じてもう少し現実的なチョイスも全然アリですからね。

早速シェイクダウン

というわけで、組み上がって年始に早速シェイクダウンへと行ってまいりました。

ダブルトラックの未舗装路を登って、シングルトラックを下ってくるというレイアウト。今まではSKLAR MonsterCrossで走っていたところで、それはそれで何不自由なかったといえばそうなのですが、PBJで走ってみて、正直世界が変わりました。

まず何より29インチというビックホイールの恩恵が大きいこと。登りではギア一枚余力があるような登りっぷり、そして下りでもその大きさが気にならないほどの軽快感と、27.5″のグラベルバイクでは躊躇するようなドロップオフも難なくクリアできる走破性。ちょっと「自分が上手くなったんじゃないか?」と勘違いしてしまうほどの経験でしたね。

もちろん、下ることに特化したバイクには劣りますが、あくまでも楽しむというベクトルにおいては、山遊びも十分に楽しめるバイク。
トレイルを走る時のこの独特の浮遊感は、タイヤの恩恵も大きいですし、アダム自身のスタンスとしてトレイルライドにおいて速さをもとめるのではなく、楽しさを追求するというスタイルがよく現れているなと思います。

それでいて、バイクパッキング装備やラックをつけてのツーリングもこなせて、通勤など日常的なライドにも対応する懐の深さを持っているので、本当にこれ一台でどんなところにも行けるなぁというバイク。渓流シーズンが始まったら、これでBikeToFishingに行くのが今からとても楽しみです。

それ以外にも、スペックシートだけでは伝わらないディテールのこだわり方にはアダムの本気を感じました。ハンドメイドのときにやっていたディティールを台湾プロダクションでもしっかりこだわって落とし込んでくるあたりは流石だなと。

この週末、店頭にて試乗車として展示しておりますので、気になる方は是非一度跨ってみてくだい。マジで世界変わりますよ。

FrameSKLAR BIKES PBJ Frame Set / Size : S / Salmon
HeadsetCHRIS KING NoThreadSet Tapered 1.5″ + Baseplate Devolution
HandleSIMWORKS Fun 3 Bar / 750mm
StemSIMWORKS Rhonda / 50mm
GripWTB Original Trail Grip
TireTERAVAIL Ehline 29×2.50″ Light & Supple
RimVELOCITY Blunt 35 / 29″ / 32H
HubCHRIS KING Boost Centerlock Hub / 32H
Main GroupSHIMANO XT M8100
CrankWHITE INDUSTRIES M30 Crank
BrakePAUL COMPONENT Klamper Disc Brake Post Mount / Long Pull
Brake LeverPAUL COMPONENT Love Lever Compact
SaddleSELLE ANATOMICA X1 Leather Saddle
SeatpostNITTO S92 Seatpost / 31.6mm
PedalSIMWORKS Taco Pedal / Bronze

SKLAR BIKES PBJ Pre Order

サイズ:XS, S, M, L, XL
カラー:Moss Green, Salmon

プレオーダー期間:1月7日(火)〜1月23日(木)
入荷予定:2025年6-7月頃
価格:264,000円(税込)

※1月10日 追記:XSサイズもサイズラインナップに追加されることとなりました!(こちらも29″ホイール設計となっています)

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Ikeyama Toyoshige
池山 豊繁

Circles / SimWorks / CWD 学生の頃のメッセンジャー・サークルズでのアルバイトを経て、今に至る。 サークルズスタッフ最年少を公言していたが、今ではニュージェネレーションも加わり古参の存在。 でも身長は最小です(#163cmですがなにか)。 CXレース経験もありますが、今はのんびり瀬戸のグラベルを走ったりするのが専らで、過去の面影はどこへやら。自転車で釣り場にアプローチするBikeToFishingのスタイル研究にも余念がない。
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