山道祭が台風のために開催中止になるかもしれません…
それは絶望のお知らせだった。新型コロナで過去2年連続で開催できなかった山道祭にようやく参加できるとワクワクしながらパッキングした道具を前にしばし呆然とした。台風の進路予報を見るとほぼドンピシャだ。
いっそ潔く諦めるか…という考えも頭をよぎったが、よくよく天気図を見ると、予定短縮して2日間で走り抜ければ大丈夫そうだという事に気づく。祭りは無くてもとりあえず走り出してみよう。
久々のFDA飛行機輪行
荷物の内容を少し見直して家を出た。名古屋空港までは約30分。
FDAは日本の地方をつなぐローカルエアライン。輪行ボックスを無料で貸してくれる。もう恒例となっているFDAの飛行機輪行。本当に素晴らしいサービスなのでぜひこちらでその内容を確認して利用してみて欲しい。高知まで片道13,500円ほど。安い。
一時間ちょっとで高知空港に到着し、すぐに自転車を組立てて空港から走り出す。高知市街までは30-40分だ。
かつおのタタキは高知で食べなければならない
高知に来たらまずカツオ。前にアリバのケイタと来た時に入れなかった名店どんこでいただく。
高知のカツオは形骸化した特産品ではなく、今でもダントツのカツオ消費量日本一が示す通りの地元民の好物。不味いカツオは見向きもされないので、様々な技術革新とともに高品質化がはかられ、良いものはまず地元で消費されるのだとか。ここまで来ないと食べられない味があるのだ。
高知に移った元サークルズのユーヤに、この時期しか食べられないカツオがあるからと誘われ久礼大正町市場へ。8月中旬から9月中旬まで約1ヶ月しか食べられないメジカの新子(しんこ)と呼ばれるマルソウダガツオの生後1年未満の幼魚。朝釣ったら昼までに食べろと言われるぐらい痛むのが早い魚で、四国以外に出る事はほぼ無いそうだ。こうやって目の前でライブでさばいてくれる。
この久礼大正町市場は高知県民がカツオを食べに来るような一大産地であり、その情熱はものすごい。ぜひこのページから「カツオHANDBOOK」を読んでみて欲しい。カツオを食べるプロ、たぶんこれがその秘密だと思う。
石槌山へ登ってみよう
奈良時代から山岳信仰の聖地として知られる霊峰石鎚山。西日本最高峰であり、開催予定だった山道祭の会場でもある。
麓にある石槌神社をスタートし、美しい渓谷沿いを石鎚ロープウェーまでヒルクライム。山の中腹までロープウェーで登り、20分ほど歩いて中宮 成就社へ。さらに登って山頂まで行くと奥宮 頂上社になる壮大な参拝ルートである。今回は中宮まで。難所の鎖場を越えて頂上へ参拝するのはまた今度。
山道祭は次回へ
今回は中止となった山道祭。だけど、会場までの行程も祭りの重要な要素という事で、すでに歩いて向かっていた人もいて、山と道スタッフと地元の協力者達が集まってBBQが開催された。
oji君達は7泊8日の日程ですでに歩いていたし、しまなみ海道を自転車で走ってきたチームもいた。山道祭を一番楽しんでいるのは山と道のスタッフ達というのがまた良い。そして松山のアウトドアショップT-mountainのテツさんや、地元西条のあいちゃんなど、急遽集まった地元関係者も熱かった。
このままでは終わらない、次回の開催に向け期待が高まる。
初めてのしまなみ海道
エスタブリッシュメントへのささやかな反抗からか、自転車乗りの聖地!って喧伝されているものを何となく避けてきたのもあって、これまで走った事がなかったしまなみ海道。申し訳ございません、食わず嫌いでした。こんなに良いとは思ってなかった。
今治から尾道まで、島に寄り道しながら走って約100km。
雨予報とはうらはらに、晴れ間も見えた瀬戸内海の島々。南西から接近してくる台風の追い風に乗る予定だったのになぜかずっと向かい風だったのが誤算だったけど、次々と現れる絶景がそんな事を忘れさせてくれた。
なにより驚きだったのは、たくさん初心者が自転車で楽しんでいる風景。初心者というより、普段全く自転車に乗ってないであろう普通の観光客がレンタルバイクでちょっと大変そうにしながらもペダルをこいで島をホッピングしていた。他のサイクリングロードではほとんど見られない光景だった。
景色もきれいだし、運動した後のごはんは美味しいし、そうやって自転車が好きになる人が増えると嬉しい。自転車ツーリズムのひとつの理想がしっかりあった。
橋以外の場所にもしっかり自転車道があり、ブルーラインが引いてあって道に迷いにくくなっている。行く先々にバイクラックがあり、案内看板があって、トイレの場所と食事できる場所を知る事ができる。
お店に入るとボトルの水の心配までしてくれるし、この時期の旬だと言っていちじくをサービスしてくれたり、人々のホスピタリティも良かった。
いつも誰もいない山の中を走って生き延びて来たけど、ちゃんと自転車用に整備された道路があって、人が迎えてくれる、過剰なほどのバイクフレンドリーな環境も、それはそれで自分が大切にされているようで嬉しい事だった。やっぱり愛情表現って重要なんだな。
フォトジェニックなデカいやつ
しまなみの島々をつなぐ橋が高い位置にあって、そこまで登るためのアップダウンが地味に体力を使うのだけれど、その理由のひとつはやはりこのエリアの造船業にあるのだろう。大型船が建造され出入りするための高さが必要なのだ。
ところどろにヌッと現れる巨大な船がまたかっこいい。できれば、工場の中にもブルーラインを引き入れて見学させて欲しいところである。
最後に短い連絡船に乗って夕方には尾道に到着。なんとか台風から逃げ切った。尾道の夜も楽しみたかったが、翌日には新幹線が止まる可能性があり、ひなびた銭湯で汗を流してすぐに新幹線に乗り込んだ。
来月にはもう一度しまなみに来る予定があり、楽しみはとっておく。
荷物を持っても軽快に – バイクチェック!
前回に五島列島へ行った時はロードバイクだったけど、今回はそれの固定ギア版という感じ。雨予報だったのでサドルバッグとフロントバッグを外防水にし、フレームバッグは内防水。
特に完全防水のフロントバッグは雨天時のカメラや電子機器の避難所としてとても重宝している。
サポートフープ付きのサドルバッグは全く揺れないので走行に影響が少なくて、長距離や山を走るのに最適だ。このスタイルがバイクパッキングのひとつの完成形だと言っても過言ではない。
★FDA飛行機輪行の記事はこちら
見たい景色と会いたい人を訪ねて丘の町- FDA飛行機輪行で美瑛へ
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絶景に魅せられて – FDA飛行機輪行で阿蘇・雲仙へ
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雲の上の四国カルスト – FDA飛行機輪行で高知へ
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PFMうつわ探しの旅 – FDA飛行機輪行で出雲へ
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島にタッチして帰ってきた話 – FDA飛行機輪行で佐渡島へ
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美しいビーチとダークツーリズム-FDA飛行機輪行で五島列島へ
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★★★FDA飛行機輪行のススメ
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