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RIDEALIVE Vol.1 Mie DAY-2

強風がもたらした快晴

風がシェルターを叩きつける音で目が覚める。

寝ぼけた頭で携帯電話を入れたであろうポケットをまさぐり、時刻を確認すると午前3時過ぎ。
再び眠りにつこうとするも、断続的に吹き続ける風に不安を感じ、揺れるポールを手で抑える。
何度かそれを繰り返しているうちに、いつの間にかまた夢の中へ落ちていった。

次に目が覚めたのは、人の足音と話し声が大きくなり始めたとき。 シェルターの壁越しに見える周囲は既に明るく、無事に夜を明かせたことに安堵した。

少し動きが鈍った身体を動かし外へ出てみると、そこには雲ひとつない青空が広がっていた。
各々起き出してきて出発の時刻に合わせて準備を始める。

すぐ横に流れている川で顔を洗い、水を汲んでいると、ようやく自分の意識がはっきりした。

RIDEALIVE 三重 Day2

2日目のメインイベントはハイキング。
昨夜の風で大気中のチリやホコリは吹き飛ばされ、穏やかで清純な空気となっていた。

鼻をくすぐる少し湿った空気と、夏を感じさせる懐かしい香り。
天候が味方してくれた時点で今日の行程は成功したようなものだ。

登山届けを提出しに案内所まで行くと、駐車場は登山客でごった返しており、ここが人気の場所であることがうかがえる。


出発前に全員に地図を配り、ルートの簡単な説明をする。 ブリーフィングによる意識の共有はとても大事だと思っていて、公私問わず自分が山へと誰かをアテンドする際には必ずやっていることだ。
それに、始まりの皆の一体感も心地よく、ブリーフィングのないイベントに参加したりすると、やはりチームの動きは鈍るしどこかで流れが悪くなってしまう。

この流れを上手く作ってくれる、シゲちゃんをはじめとするCirclesクルーにはとても感謝!

林道を辿り、いよいよトレイルヘッドから登り出すと、そこに現れたのは急登。
今回の登りで使った遠足尾根は、稜線に乗るまでは延々と登り続けるルートであるものの、景色が開けてからの多幸感はもはや言い表しようがない。 こんな天気の良い日であればなおさらだ。


自分だってここまでコンディションの良い竜ヶ岳は初めてだし、内心とてもワクワクしていた。 おそらく、ハイキングをいちばん楽しみにしていたのは他の誰でもない、自分だと言い切れるほどに。

バーリーという襷は、ベビーキャリア・バックパックへと器を変えていた。

今日も背負う人が交代していて、いざ自分が背負って歩き出した途端に突如の大泣き。 どうやら危険因子と判断されているよう(笑

そんなこともありつつも、いつの間にか皆の癒しの中心となっている今回最年少・超若手の彼。
今は分からないかもしれないけれど、いつか何かのきっかけから自分の足で登って実感してみてほしいな。
そこにはとても楽しい世界が待っている。

We all live for play

景色が開けて稜線歩きとなってからは歓声と笑顔が溢れていた。
スズカの山々はもちろん、近くは多度山、伊吹山、遠くは御嶽山、白山と展望も素晴らしく、こんな景色を見てしまったら山遊びを始めたくて仕方なくなるのではないだろうか。

なぜ山に行くの?と問われたとき、そこに山があるからと答えたのは有名な登山家だった。


この話は正確にはニュアンスが少し異なるようだけれど。
自分が答えるとするならば、楽しいから、のひと言に尽きる。
色々な言葉を頭の中で並べ立ててみるもどれも言い訳がましくなるし、難しい言葉で表したところで言いたいことは薄れて行くように思う。


ここ最近の想いとしては、この楽しさを共有したいということであり、ADAPTを立ち上げた理由のひとつにもなっている。 言葉や文章だけで伝えることもできるけれど、同じ時間を共有すればその伝わり方は異なるし、生の声を直接伝えることができるから。

これはこれからもずっと大切にしていきたいことだ。

山頂では思った通りの360度ビューが広がっていた!

次々と登ってくる皆とハイタッチ!
最後はなかなかの急登だったにもかかわらず、満面の笑み。それぞれでもその喜びを讃え合う。
全員で飛び上がって写真撮ってもらったりなんかした。

みんな揃って無事登頂できたことにそっと胸をなでおろしながらも、下山のことに頭を切り替える。
戻ってくるまでが登山なのだから。

下山も大変だったと思うけれど、幸いなことに何事もなく下山することができた。
昨日のライドに続き、ハイクもタフな行程だったのは事実。
けれど、思い返してみたら楽しい思い出しか残らないのもまた事実。


下りてからは最終目的地までに少し間があることもあり、旧知の仲であり、ハイカーでもある姉妹パンさんにパンの販売をお願いしていた。
本当の姉妹がやっているから姉妹パン。
三重県産の素材を中心に、身体に良くないとされるものは一切使わずに作り上げられるパンの数々はとても優しい味で、気持ちもほっこりする。
実店舗はまだないけれど、マルシェなどにはよく出店しているので、見かけたらぜひ立ち寄ってほしいと思う。

いよいよクライマックスへ

ハイクで消費したエネルギーを補給し、お腹も心もほっこりした後には最終目的地である上木食堂へ自転車を向ける。
宇賀渓からは距離にして10kmもなく、幹線道路から一本入った、交通量の少ないロードをまったりと走る。
だんだん日差しは柔らかくなり、旅の終わりを感じさせる緩く穏やかな風が、この2日間で日焼けした肌を優しく撫でていった。

阿下喜温泉でさっぱりした後には、いよいよ上木食堂へとイン。 昼は喫茶だけれど、夜は居酒として稼働しているのだ。
以前訪れた時にはなかった縁側の席も追加されていて、さらに雰囲気か良くなったことが見てとれた。

全員が着席。
飲み物をオーダー。
今か今かと乾杯の時を待つ。
最後の1人にも飲み物が行き渡る。
軽くひとこと。

乾杯!

皆の緊張が解けた瞬間だった。

もう後はとにかく食べるだけ。 飲むだけ。
コウタ君の作る料理が乗ったお皿が次から次へと空いていき、そして入れ替わり新しい料理が出てくる。
少し間が空けば、それぞれの楽しい思い出話をアテにもう一杯と、グラスが進む。
それの繰り返しの幸せなひと時。

バイクとハイク、それと少しのキャンプ。
ひとつひとつで楽しむことももちろん出来る。
今回、これらが合わさったことで新たな化学反応が起きた。
自分は何気なしに始めたことだけれど、bike to hikeという遊びに対してここまで反応してもらえたことを素直に喜びたいし、遊びのジャンルを超えてミックスするということに将来性を感じることとなった。
そして、自分が欲しいカテゴリの自転車が増えてしまったというのも見逃せないポイントである。
参加者はもちろんのこと、この記事を見た全ての方に少しでもこの面白さが伝わるといいなと思う。

このイベントに誘っていただいたサークルズクルー、シムワークスクルー、カフェコブさん、姉妹パンさん、上木食堂さん、宇賀渓の皆さま、参加者の皆さま、その他関係各位にはこの場を借りて多大なる感謝を申し上げます。
ありがとうございました!
ぜひまた遊びましょう!


TODAY’S RIDER

RIDEALIVE Vol.1 MieRider : 中村 キョーヘイ

FrameCielo By ChrisKingMTB / Size:XS(650B)
ForkX-FusionVerbet
HeadSetChrisKingInset7
RimWTBST TCS i29 650B
HubShimano XTHB/FH-M8000
TireMaxxisArdent Skinwall
StemNSB
SeatPostSimWorks By NittoBeatnik
Main GroupShimano SLX
Handle BagPorcelain RocketMCA(Custom)
Frame BagPorcelain RocketSingle Compartment
Seat BagPorcelain RocketCharlene(Custom)
PantsRAL By Deeper’s WearFastPass Short

TEXT by キョーヘイ! / PHOTO by Eri Tanaka & Shige


RIDEALIVE Vol.1 Mie